- 健康経営アドバイザー
- 2021.08.02 (最終更新日:2022.03.26)
健康経営とSDGsのマルチベネフィットの関連性とは?
はじめに
企業として生き残るためにもこのSDGs(持続可能性)ということを無視することはできません。
これからは企業の相互関連性としてのマルチベネフィットが必要になってきます。この記事では健康経営を実践することで発生するマルチベネフィットについて解説します。「健康経営とSDGsはどのように関わっているの?」「なぜ必要なの?」などという疑問をお持ちの企業担当者の方に向けた記事となっております。
健康経営とは?
健康経営は、会社として社員のこころと身体の健康維持・増進へ取り組み企業の経営目的を達成をめざすという考えがもとです。経済産業省は以下のように定義しています。
従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことで、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。
こうした健康経営の考え方は、もともとアメリカの臨床心理学者であるロバート・ローゼン博士が提唱した「ヘルシーカンパニー」に基づいています。従来別々のものとして考えられていた「経営」と「健康」を統合させ、従業員の健康増進を行うことで、結果的に企業の業績向上に繋がるというものです。
データドリブンな健康経営
こうした健康経営は、しっかりとしたデータを元にした健康経営であれば従業員の健康状態を可視化できるだけでなく、分析・効果検証が可能となります。反対にデータに基づかない施策を行えば、どのように健康施策や健康行動が従業員に寄与できるかが明確にならず、PDCAも回りにくいという課題を抱えてしまうからです。
実際に健康経営に取り組むと、次のようなメリットが得られます。
- 従業員の心身の健康維持・増進
- 労働生産性や業績の向上
- 優秀な人材の確保・採用力の向上
- 企業ブランドイメージの向上
- 医療費の削減
- 離職率・定着率の改善
- 従業員エンゲージメントの向上
- 従業員の安心感や満足感につながる
健康な身体作りをすることで、一人一人が豊かな人生を過ごすことが出来ると思います。健康経営は会社のためだけでなく、社員一人一人のためでもあるということを取り組みの中で大切にしていきましょう。
SDGsとは?
「開発目標」と聞くと開発途上国への支援などを想像しますが、SDGsは先進国も含めた全ての国が取り組むべき普遍的(ユニバーサル)な目標とされています。また、政府だけではこのような目標を達成することは困難であり、企業や私たち一人ひとりにも行動が求められているのが特徴です。SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称です。2015年の国連サミットで採択された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標です。
持続可能な世界を実現するために17のゴール・169のターゲットから構成され、「地球上の誰一人として残さない(leave no on behind)」ことなどが誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。
SDGsの誤解や問題
SDGsは広く知られるようになった一方で、ビジネスの世界では SDGsに対して「見返りを求めない社会貢献だ」「余裕がある大企業が取り組むの良いことだ」「実際何をしたら良いかわからない」「中身はよくわからないが乗り遅れないようにとりあえず参加しておこう」などの誤解や問題があります。企業としてSDGsの関連性は?
依然として目標人生に向けた取り組みでは多くの課題が存在します。現代社会では社会問題や環境問題の深刻化があり、例えば自然災害の大規模化や環境・感染症によるパンデミック、少子高齢化による市場の縮小と労働力不足などによってその持続可能性を脅かされています。
これは企業のビジネス環境の持続可能性も脅かされていることを意味します。だからこそ大企業や規模の大小や業種にかかわらず SDGsの実現に向け本業のプロセスでこれからの問題に取り組むこと、つまり社会問題や環境問題の解決に役立つビジネスへの進化会社の生存戦略として不可欠になってきます。もはや社会問題や環境問題は時差に無関係でも国や地方自治体などが何とかしてくれる問題ではなく、自社の持続可能性を左右する経営課題となってきているのです。
健康経営とSDGsのつながり
SDGsでは「持続可能性」という共通キーワードで、経済のみならず環境や社会などの幅広い内容をカバーしています。企業が持続的に成長していくためには従業員が心身共に健康で働けることが重要であり、SDGsへの取り組みは健康経営の実現につながっています。
具体的に健康経営はSDGsの以下3つの目標に深く関連しています。
目標3:すべての人に健康と福祉を
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
目標8:働きがいも経済成長も
※健康経営における取り組みがSDGsの目標3達成につながっています。
目標3:すべての人に健康と福祉を
・ヘルスリテラシー向上、感染症予防対策、保健指導、メンタルヘルス対策、喫煙対策、受動喫煙対策目標5:ジェンダー平等を実現しよう
・ワークライフバランスの推進、健康増進・生活習慣病予防対策・パワーハラスメントの防止・母性健康管理目標8:働きがいも経済成長も
・ワークライフバランスの推進、職場の活性化、両立支援、過重労働対策ビジネスの常識になりつつあるSDGs
SDGsは私たちの社会の持続可能性を脅かす社会問題や環境問題の深刻化を受けて、登場した国際目標です。持続可能な社会の実現のためのすべての組織と個人がその実現に向けて努力することが求められています。 SDGsが登場してだいぶたちビジネスの世界では今や大企業だけでなく中小企業にもその存在が知られるようになりました。労働観の変化の影響
現在は小学校・中学校・高校そして大学の教育プログラムでも、 SDGsの考え方が反映されるようになりました。学校における SDGsの普及によって将来の企業を背負って立つ生徒や学生の企業への労働観も変わることが予測されます。彼らの価値観の変化は必然的に企業の在り方にも大きな影響を与えることでしょう。近い将来彼らが企業を選ぶ基準として、健康経営とSDGsのキーワードは外せないワードとなることでしょう。健康経営とSDGsの相互関連性とマルチベネフィットが必要
パワーハラスメントの例では…
社内の問題であるパワーハラスメントを予防するために検証を行ったとします。しかしスタッフが少ないために過労過重労働という問題が常態化し、スタッフが常にストレスを抱えた状態であればいくらパワーハラスメントの予防研修を行っとしてもパワーハラスメントを誘発しないしやすい環境は改善されません。1つの問題だけに取り組んでも問題に対する効果が期待されないのです。
人材難の例では…
健康経営の取り組みの中でSDGsのつながりでは、目標間に相互関連性のある実践によるメリットつまりマルチベネフィットが求められます。例えば人材難という経営課題があったします。そこで人材ないの解消のために経済的に弱い立場にあるシングルマザーを採用し、同時に彼女たちの労働環境に配慮している企業内保育所を開設します。すると健康経営の「母性保護の取り組み」とSDGsの【目標1:貧困をなくそう】【目標8:働きがいも経済成長も】【目標5:ジェンダー平等を実現しよう】に貢献し相互連関するマルチベネフィットとなります。
これは既存事業の課題解決して取り込み、その実効性の確保のために新規事業を立ち上げる躍進的な取り組みと言えます。また取り組みが自社単独では難しいと判断し他の企業とのパートナーシップを結んだとします。そうすると取り組みは SDGsの【目標17:パートナーシップで目標を達成しよう】の実践につながります。こうした社会的問題は複数の問題が複雑に絡み合っているため一つの取り組みだけでは成功し難いという特徴があります。健康経営とSDGsの実践はマルチベネフィットにつながる取り組みと社外とのパートナーシップを視野に入れる柔軟性が鍵になります。
まとめ
健康経営が社内に浸透・定着していくことで、社員が元気に、そして笑顔になることができて、会社の組織活性化につながっていきます。その結果事業を成長させていくことができます。健康経営が定着すると、会社の組織が活性化することで、新たなアイデアの創造につながったり、社内コミュニケーションやディスカッションの活性化にもつながり、自社の強みや特徴を活かして、新たな事業へのチャレンジや展開へのつなげていくことができるようになります。
持続可能な企業としての利益を追求するためにも、まずは従業員の健康維持・増進を考えた経営戦略を検討してみてはいかがでしょうか。
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