- 就職/転職
- 2021.03.12 (最終更新日:2022.04.06)
生理休暇とは?取得の現状やその課題、申請の仕方を解説します
生理休暇について
生理休暇とは
生理休暇は、生理の日に働くことがとても難しい女性に対する措置として決められたものです。事業者は、生理の日に働くことがとても難しい女性が休暇を申請したさい、その女性を働かせてはいけないと定められています。とはいうものの生理が来たからと言って、むやみに休めるようなものではありません。お伝えした通り、生理が原因で働くことが難しい場合が取得の条件なのです。生理休暇の要点をおさえておこう
生理休暇の要点をおさえておきましょう。ここでは、以下3つの要点について解説します。1.取得に雇用形態は関係ない
2.特別に証明が必要なものではない
3.給与が発生するかどうかは事業者と取り決める
「正社員でないと、取得が難しいのでは。」と考えた人も多いことと思います。しかし生理休暇を取得するために、雇用形態は関係ありません。雇用形態がアルバイトでもパートでも、申請することが可能な休暇です。働くことが困難な状況にもかかわらず医師の診断書が必要になると、休暇を取得しても休めなくなりますよね。そのため基本的には医師の診断書がなくても、一緒に働く労働者の証言など簡易的な証明で許可するべき、と考えられています。
生理休暇で給与が発生するかどうかは、事業者との取り決めになるのです。休暇で給与の支払いが発生するのは、年次有給休暇のみ。それ以外の休暇に関しては何も決められていないので、生理休暇を取得した女性へ事業者が給与を支払う義務はありません。
生理休暇を取得するときに注意したいこととは
生理休暇を取得するときに注意したいことを確認しましょう。生理休暇の取得が多ければ、有給休暇に悪影響を及ぼす可能性があります。労働日の8割を出勤していることが、事業者から有給休暇を与えられる条件だからです。8割の基準として出勤扱いとなる休暇は以下の通りです。【出勤扱いとなる休暇】
・労災による休業
・出産による休業や育児休業
・有給休暇
つまり上記に生理休暇は含まれていないため、欠勤扱いになってしまうのです。生理休暇の取得が多い場合は、有給休暇を貰えなくなる可能性を考える必要があります。
お伝えした通り生理休暇は、生理によって働くことがとても難しい場合に与えられるものです。生理休暇を偽って外出したことが判明し、申請した労働者が懲戒処分を受けたことがあります。この事例では生理休暇を取得した日の仕事内容まで考慮し、働くことがとても難しい状態だったとは言えない、と判断されました。働くことがとても難しいわけではないのに生理中なら誰でも休めるようになってしまえば、会社の経営に悪影響を及ぼします。生理休暇を取得するときは、決まりに従って適切に取得してください。
生理休暇の取得の現状とは
お伝えした通り就業形態がどのような状態であっても、生理休暇は申請できます。しかし生理休暇の取得は著しく低いのが現状です。生理休暇のピークは意外にも昭和40年で、20%以上ありました。ところが現在は1%未満です。男女雇用機会均等法が成立した流れによって、生理休暇の取得率は減っていったと言われています。当時女性の残業や深夜労働は制限されていましたが、平成11年に法律が改正された影響もあり、生理休暇の取得はさらに減っていきました。女性活躍の考え方が広まったことで、今まで女性を守っていたものが撤廃されたとも言えます。生理休暇申請の課題とは
誰でも取得できるはずなのに、まるで始めからない制度のようになっているのはおかしいですよね。どうして生理休暇を使えないのでしょうか。
生理休暇の取得率が低い理由とは
生理休暇は労働者なら誰でも取得が認められているのに、どうして取得していない女性が多いのでしょうか。取得していない理由の多くは、人手不足によって職場が忙しいため生理休暇を取れる雰囲気ではないというものです。生理自体がそこまで辛くないので、生理休暇が必要ではない人もいます。生理休暇の取得が減った理由を別の視点から見てみると、薬が普及したことや生理用品が改善されたこともあるのです。多くは職場の人手不足によるものですが、中にはネガティブな理由ではないものもあるのですね。生理休暇の取得は非常識?
「生理は恥ずかしいもの」との考え方が未だに根強いことも、生理休暇を取得しにくい理由のうちの1つです。申請することで生理休暇の取得ができますが、申請するため自分から男性に伝えるのは勇気が必要だと言えます。生理による体調不良は個人差が大きいので、1日何もできなくなる人がいれば、体調不良を経験したことのない人までいるのです。生理を理解できないのは男性だけだと思いがちですが、女性にも理解されない例があります。生理のことを職場に伝えられないために、年次有給休暇を使って休んでいる人もいますし、休みたいことを言い出せない女性も多いです。体調不良の有給休暇を認めない企業も多い
生理休暇に限らず、体調不良の年次有給休暇の取得を認めない中小企業もあります。年次有給休暇は体調不良のために使うものではなく、休むために使う休暇という位置づけです。そのため生理中だからといって年次有給休暇を申請しやすくなるのかと言えば、そうではありません。飲食店のパートが休むとシフトに穴が開きますし、1人で事務をしている女性が休めば、会社の機能が停止してしまいます。中小企業には、まだまだこのような例が多いのも現実です。生理と病気の区別が曖昧である
「生理だと伝えてしまうのが良くない」との考え方がありますが、その一方で「生理は病気ではない」との考え方があります。病気との区別が曖昧であることも、生理休暇を取得しにくくしている原因の1つではないでしょうか。しかし生理痛が重い場合は、何らかの病気が原因の可能性があります。一方で病気があっても、中には通院したり薬を飲んだりして体調を整えながら働いている人もいます。生理だけを特別視するのは違うのではないか、と考える女性がいる中で、休むとしても2日程度だから病気と同じ扱いは違うのではないか、と考える女性もいるのです。個人が感じている体調不良を数値化して共有するのが困難だということが、生理休暇の取得を難しくしているとも言えます。キャリアのことを考えると休めない
キャリアを積みたい場合、休めないことも課題の1つです。少しぐらいの辛さなら耐えてキャリアアップを目指す女性も多くいます。生理による体調不良が辛くても耐えながら働いてきた女性管理職には、生理休暇の取得に否定的な人もいるのです。少し辛さを我慢する程度で収まればいいのですが、そのときに辛さを我慢したせいで大きな病気に繋がる可能性も考えなくてはいけません。生理休暇という制度があって、周囲に体調不良への理解者がいるのなら、利用してもいいのではないでしょうか。人によって男性上司に理解して欲しいことはさまざま
男性上司に生理のことを伝えたくないと感じる女性は多いです。女性が男性上司に対して、生理について理解して欲しいと思うことはたくさんあります。生理中よりも生理前の方が辛い人もいるので、そのような事情を知って欲しい人もいるのです。PMSに関するイライラなどの症状は、努力でどうにかなる問題ではありません。生理に理解がなく休むことを認めようとしない上司に、このことを分かって欲しい人もいます。男性には生理の症状に個人差があることを理解できない人が多いです。ですから「平気な人もいるのに、どうして辛い人がいるのか」と考えて欲しくないという人もいます。生理のときに働くのは非効率との考え方もある
生理休暇を取得して休みにくい現実がある中で、生理のときに働くのは非効率だと考える会社もあります。女性の社会進出増進の影響により、生理に対して理解のある会社も少しずつ増えているのです。たとえばある会社では、生理休暇だけに限らず婦人科の受診や不妊治療の受診などを、全て同じ名前の休暇として伝えられるように工夫しています。男性上司に生理のための休暇であることや、不妊治療をしていることを伝えなくていいため、精神的な苦痛が少し楽になるのです。また別の会社では、設立時から仕事量が多いときでも生理休暇を取れるようにしています。
当コラムでは、健康経営について情報発信をしています。以下のコラムでは、女性の健康維持のためにどのような取り組みがあるのかを紹介しているので、合わせてご覧ください。
おすすめコラム
女性社員と向き合って健康経営を進めていく
生理休暇の申請の仕方
生理休暇はどうやって申請するのか
生理休暇の申請は、できるだけ口頭で伝えるようにします。当日に分かる体調不良も多いので、当日に申請することができますよ。口頭で伝える場合、「生理休暇を取得します」と伝えれば取得可能です。男性の多い職場では言いにくいですが、生理休暇を申請したからと言って、会社はその女性を退職させることはできません。生理による体調不良が重くて出勤が不可能な場合は、電話にて生理だから休みたい旨を伝えます。体調不良が午後まで続くか分からなければ、午後は体調次第で出勤できると伝えましょう。会社により、欠勤連絡をメールで行うことが認められているときがあります。メールで連絡するさいも、同じように生理のため出勤が難しいと伝えてください。生理のことを言いたくなくて体調不良と伝える人がいます。しかし曖昧な理由の体調不良を繰り返しているうちに、体調管理のできない人だと捉えられてしまう可能性があるのです。休む原因は生理だとはっきり伝えることには、今後も生理で休みやすくなるとのメリットもありますよ。生理休暇を取得したい旨を強く伝えるのが、取得時のポイントです。
女性が働きやすい職場をどうやって見分けるか
社内の男女比の確認をすること
女性が働きやすい会社かどうかを見分けるには、まず社内の男女比を確認するのがおすすめです。女性が少ない職場が必ずしも働きにくい会社だとは言えません。しかし今まで女性が少なかったために生理休暇や育休制度を取りにくい可能性があります。自分の年齢と社内にいる女性の年齢層がある程度一致しているかどうかも、確認しておくといいでしょう。お伝えした通り自分自身が辛いときも我慢をしてキャリアを積み上げてきた女性は、ほかの社員が休暇を取得することを嫌う傾向にあります。社内に年齢層の異なる女性しかいないことによって、生理休暇や産休制度の取得に理解のない女性が多いこともあるのです。女性社員の勤続年数を確認する
キャリアコンサルタントに尋ねるなどして、社内の男女別の勤続年数を確認しておきましょう。女性社員の勤続年数が短い職場なら、女性の健康に関する気配りや産後の休暇制度が整っていない可能性もあります。女性の活躍を増進している会社は、女性の健康維持や気配りに対して理解のある会社だと言えるのです。女性の働き方と言えど、人によりさまざま。全員が出産すると決まっているわけではありませんし、全員が生理による体調不良が軽いわけではありません。多くの女性社員が長く働いている会社なら、女性社員の身体の事情に気配りできる可能性があるのです。仕事のメインがチームプレイである
「男女比や勤続年数だけを見て、働きやすさが分かるのだろうか。」と疑問を持った方もいるのではないでしょうか。男女比や勤続年数などとは異なり、仕事内容の視点から女性の働きやすさを見てみましょう。仕事のメインがチームプレイの場合も、女性が働きやすい会社だと言えます。個人でするような業務内容が多いほど、仕事を休むわけにはいかないので休みにくくなるためです。仕事が多くの社員に共有されており、チームで助け合える職場なら生理休暇や育児休暇などで休んでも助けてもらいやすいと言えます。自分が働きやすい会社を見つけるには
どのような環境が働きやすいと言えるのかは、人により違います。女性の昇進実績がありキャリアアップができる会社でも、長時間労働や飲み会の出席を求める会社があるのです。生理休暇や育児休暇に理解のある会社は、仕事量を考えて配分してくれたり助けてくれたりします。その反面出産する予定の無い女性は、制度の不公平さや一部の子どものいる女性の態度などに不満を覚えることがあるのです。女性が働きやすいといっても、個人の価値観によってその内容に差があることを覚えておいてください。健康経営の取り組みから女性の働きやすさを見る
社員の健康を維持・増進するために、健康経営という取り組みがあります。社員は会社にとって大事な資産であると考え、健康を増進することで生産性の向上を図るのです。体調が良好な社員と体調不良の社員が同じ仕事をしたとすれば、体調が良好な社員が働いた方が仕事の効率も良くなります。体調不良の社員を休ませず無理に働かせれば、いずれは業績の低下に繋がるのです。健康経営を行う会社では女性の健康維持に配慮のある会社もあります。生理休暇や育児休暇が形だけあるのではなく、社員が参加する講習会などを開いて理解を広め、取得しやすい雰囲気作りをしているのです。
健康経営を行うことで会社が得られるメリットは1つではありません。どのようなメリットがあるのかを知ることで、理解を深められます。以下のコラムも合わせてご覧ください。
コロナ対策と健康経営については、以下のコラムもご覧ください。おすすめコラム
健康経営とは? 企業にとってのメリットと取り組む方法
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健康経営からみる感染症予防対策
まとめ
生理休暇について解説しました。生理による体調不良が発生する女性は多いですが、生理休暇を取得した女性は著しく少ないのが現状です。生理休暇を取得しやすい雰囲気にすることも大事ですが、不正に利用しないことも大事なのですね。生理による体調不良を強く感じる方は、生理休暇のことを覚えておくといいでしょう。
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