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  • 2021.02.11 (最終更新日:2022.04.06)

出版社の仕事内容を雑誌ができる流れから解説|出版業界の動向は?

目次

雑誌ができる流れとは

出版社 わたしたちの生活に馴染みのある雑誌。しかし、雑誌がどのようにできるかを深く知る人は少ないですよね。雑誌ができる流れを見ながら、編集者の仕事内容を確認しましょう。

企画立案

企画を持ち寄って、取り上げる企画やページ数などを決めます。1人およそ15本から20本の企画案を提出するので、日ごろからどれだけ面白いと感じることにアンテナを張っているかが鍵となるのです。編集会議には編集者のほかに編集長も出席して、より良い雑誌を作るためにはどんな企画がいいのかを考えます。

原稿制作

企画が決まったら原稿制作に入ります。この時点でライターやカメラマンに仕事の依頼をして、企画の内容を説明するのです。店舗への取材があるときは、撮影の許可を取ったり日程の調節をしたりする作業が欠かせません。人気の店舗の場合、既に多くの取材を受けている例も多いです。

店舗に目的をきちんと伝えられなかったり、忙しい時間帯に電話をかけてしまったりして、掲載できなくなることも少なくありません。忙しい中でも、取材を受ける側の気持ちを考える必要があるのです。記事の作成では、編集部の方針に従いつつライターのアイディアも入れながら、具体的に構成を決定。カメラマンから撮影した写真が届いたら、編集者は写真を選びます。

レイアウトの制作

「ラフレイアウト」とは、題名や写真などの配置方法を示した書類のことです。ラフレイアウトの書き方は、人によってさまざま。一見ただの落書きにしか見えない場合でも、誌面の構成に必要な情報が分かるように書かれています。

ラフレイアウトではどの部分を目立たせたいのかをしっかり書いて、デザイナーに依頼するのです。ライターには、正式にレイアウトが完成したら書き始めてもらいます。ライターの書いた原稿は編集者・編集長の確認を経て、通ったら印刷会社に持っていくのです。

校了作業

レイアウトに写真や文字が入ったものを「ネーム校正紙」と呼びますが、これが出るのは雑誌発売の半月前です。ここでは、これまで雑誌作成に関わってきたさまざまな人に確認を依頼して、修正を繰り返していきます。さまざまな場所から修正が入ったら印刷会社へ戻して、修正されているかどうかの確認をするのです。その最終段階を「校了紙」と呼びますが、校了紙が出たら前回の修正箇所を確認、追加の修正箇所を記入してから編集長が確認をします。

編集者の仕事は、印刷会社に校了紙を戻した段階で完了。しかし、そのあと別の部署へ引き継ぎ雑誌が製本され、店頭に並んでいくのです。

その他の仕事内容や出版業界の動向について

出版社 出版社の仕事と言えば編集者というイメージの人も多いことでしょう。しかし当然ですが、編集者以外の仕事もありますよ。営業やデジタル推進の仕事内容と、出版業界の今後の流れを解説します。

仕事内容・書店営業

書店営業では、自社の制作した雑誌を書店に置いてもらうよう交渉します。書店営業の目的は、書店が雑誌を「自分の店舗に置きたい」と思ってもらえるようにすることです。書店に「自分の店舗にその本を置きたい」と思ってもらうために、雑誌の魅力をアピールします。合わせて市場の流れを調べて解説すれば、交渉に説得力が出るのです。

また、雑誌を置いてもらってもあまり人目に触れない場所だったら、売り上げを伸ばせません。そのため雑誌を見つかりやすい場所に置いてもらったり、必要に応じて書店に配置するPOPなどの制作を手伝ったりします。

仕事内容・広告営業

広告出稿費も、雑誌の売り上げに大きく関わる費用の1つです。広告営業では、雑誌に掲載するクライアントを探します。雑誌を読んでいて、今までの内容とは異なる商品や店舗の紹介をしているページを見たことがあるのではないでしょうか?このページは広告枠で、クライアントが広告を掲載しているのです。

自社の制作している雑誌をよく購入するのはこのような人たちだから、こんな影響がありますよ、と具体的な情報を開示しながら説明します。積極的に広告を掲載する意思のあるクライアントを見つけられるかどうかが、広告営業の実力を発揮できるところだと言っても過言ではありません。

仕事内容・デジタル推進

漫画雑誌を読んでいると、さまざまな漫画雑誌がデジタル化を進めていることが分かると思います。電子書籍を使う人も増えたため、時代の流れによって雑誌などの媒体はデジタル化を余儀なくされているのです。出版市場が落ち込む中で、デジタル化に踏み切り業績を上げた出版社もあります。大規模な組織再編を行い、デジタル化に対応したのです。これからは、時代の流れに対応するため大規模な変革も必要になりますね。

デジタル推進担当は、デジタル化を進めるうえでどうやって売り上げを伸ばすかだけでなく、紙のメディアと共にどうやって生き残っていくかを考えるのです。

出版業界の動向について

スマートフォンや電子書籍を使う人が増えたため、紙媒体の勢いは減速しています。売り上げが伸びずに休刊する雑誌も増えているのです。そのため、出版各社は新たなビジネスモデルを手探りで進めています。ある出版社は、動画を運営する会社と経営統合し、ゲームやグッズなど多数のコンテンツを展開。女性ファッション誌では、雑誌サイズを軽量化したり豪華な付録をつけたりしています。

今後は電子書籍やオーディオブックなど、書籍購入の選択肢も増加するのです。オーディオブックとは、本の朗読が録音されたもののことで、手が空かなくても読書ができるメリットがあります。出版業界全体が低迷しているように思われますが、今後伸びる可能性のあるジャンルも存在しており、どのように注力していくかが鍵となるでしょう。

編集者に向いているのはどんな人か

編集者 編集者は文章だけではなく人との関わりも多いため、さまざまな能力が必要です。

人と異なる視点で物事を考えられる人

人と異なる視点で物事を考えられる人は、編集者に向いていると言えます。お伝えした通り、編集者は雑誌を制作するため10以上の企画を考えるのです。雑誌は、ページを見たときに気になってもらわなければ、続きを読んでもらえません。

続きを読みたいと思わせるキャッチコピーをつけなければ素通りされてしまいます。続きを読みたいと思わせるには、今までに使い古されたキャッチコピーでは弱いわけですね。そこで、人と異なる視点で物事を考えて、目に留まる言葉を考える必要があります。

専門的な知識よりも、人と異なる視点や発想が新しい雑誌を作っていくのです。このようなことが得意な人は、編集者に向いていると言えます。

緻密な作業を同時にこなせる人

緻密な作業を同時にこなせる人も、編集者に向いていると言えます。編集者はカメラマンやライター、取材先の店舗などさまざまな人と連携するのです。撮影をするのなら、10名ほどのスタッフとスケジュールの調整があります。これだけたくさんのスタッフがいれば、全員のスケジュールが1回で揃うことはありません。連絡を取るだけで、たくさんの時間がかかるわけです。

そのうえで、自分で進められる作業は進めておかなくてはいけません。文字のミスを目視で確認する緻密な作業を、ストレスが溜まるスケジュール調整と同時進行で行います。テレビドラマなどでよく見る、撮影などの華やかな業務は全体のごく一部。

そのため、撮影で華やかな有名人と関わる仕事を想像していると、現実とのギャップに落ち込むこととなるでしょう。

機敏に動いてマメな性格の人

編集者は、カメラマンやライター、デザイナーなど多くの人と関わる仕事です。そのため細やかなスケジュール管理もこなして、機敏に動きマメな人が向いていると言えます。少しでも時間ができたら連絡を取ったり足を運んだりすると、また一緒に仕事がしたいと感じてもらえるでしょう。

関わる人もさまざまな仕事があり忙しいので、場所や時間の変更は多いです。そのときに、なかなか連絡をよこさない人では信用を得られません。機敏に動いてマメな人の方が、信用を得やすいのは明確です。

コミュニケーション能力のある人

編集者の関わる人は多いので、コミュニケーション能力が求められます。編集者が関わる人の中には、態度が悪い取引先もありますし、個性が強くコミュニケーションが難解な人もいます。上手く話ができないから、態度が悪いからといって交渉をやめられるわけではありません。必要な情報を聞き取るために、工夫をしてコミュニケーションを取る力が必要です。

編集者に向いていないのはどんな人か

NO ここでは、編集者に向いていない人を解説します。

体力がなく精神的に弱い人

納期が目前に迫ると仕事に追われるので、体力がない人は向いていないと言えます。編集者が仕事で使うのは体力だけではありません。会社とライターの要望が異なるので板挟みになって解決したり、原稿が完成するのを根気よく待ったりすることも必要。精神的に疲れる場面も多くあります。体力がなく精神的に弱い自覚のある人には、おすすめしない仕事です。

仕事とプライベートをしっかり分けたい人

編集者は常に最新の流行に敏感でなければいけません。たとえ休日であっても、テレビから流行を知ったり情報収集のために本屋に行ったりします。仕事とプライベートをしっかり分けたい人に、この作業は苦手かもしれません。情報収集は仕事中だけだという人と、休日もしっかりしている人とでは、情報量に差が出ます。休日まで仕事のことを考えて行動している人と差が出てしまい、成果の面でやるせない思いをすることになるでしょう。

1つのことが長続きしない人

1つのことが長続きしない人にも、編集者の仕事はおすすめしません。出版社では、おおよそ2ヶ月間に渡って月刊誌の制作を続けます。その間は何度も確認と修正をしますし、同じ企画と関わるのです。1つのことが長続きしない人は、雑誌の制作途中で飽きてしまう可能性があります。

しかし、当たり前ですが仕事なので途中で飽きたからと言って投げ出せません。集中力が続かなければ、修正や確認でミスをすることもあり得るのです。

時間を守らない人

時間を守らない人は、編集者に向いていないと言えます。仕事で関わる人の多い編集者は、スケジュール管理を徹底しなければ成り立ちません。原稿自体の納期だけではなくデザイナーの納品や撮影の日程など、守るべき日程がたくさんあります。1つでも予定が遅れると、ほかに仕事を依頼した人にも迷惑がかかるので時間を守らない人が編集者になるのはおすすめしません。

人見知りで緊張しやすい人

人見知りで緊張しやすい人も、編集者に向いていないと言えます。編集者は毎回同じ人と仕事をするわけではありません。モデルや取材など、初めて会う人と関わる仕事も多いです。ですから、初めての人と関わるたびに緊張していたら、仕事の進行が遅くなってしまいます。全体の流れを意識して、なるべく円滑に進めるのも編集者の仕事のうち。人見知りをしがちな人には、おすすめしない仕事です。

未経験から出版社に転職する方法はあるのか

未経験 未経験から出版社に転職する方法はあるのでしょうか?出版社は即戦力を求めるイメージが強いので、「そもそも未経験を募集していないのでは」と感じる人は多いことと思います。確かにそうなのですが、近年は自分で経験を積むこともできるのです。ここでは、未経験から出版社に転職する方法を紹介します。

未経験を募集している出版社は少ない

未経験で出版社に転職するのは、難易度が高いことは否めません。しかし、数は少ないものの未経験の採用を行っている出版社もあります。ポテンシャルを重視した採用方法で、第二新卒や20代のうちの転職なら採用される可能性もあるのです。出版社においては、営業も大事な役割。ですから、編集者が未経験でも営業の経験があれば採用の可能性もありますよ。

自分で経験を積むことができる

お伝えした通り、出版社では雑誌のデジタル化が進んでいます。Webメディアなら自分で1から作り上げることもできますから、企画や記事の作成、取材を通して経験を積むことが可能です。取材や撮影の方法などを身につければ、出版社で重宝されることでしょう。

出版業界と似ている業界への転職も意識して

出版業界と似ている業界があります。たとえばWebメディアの制作会社や、広告業界ですね。広告制作でも、仕事によりライティングなどの知識が身につくので編集の仕事でも活かせます。
Webメディア制作会社では仕事により、メディア運営の知識を身につけられます。メディア運営の基礎知識があれば、どんな媒体を作るときにでも活かせるのです。このように、出版社に未経験で転職することは難しくても、似た業界を経験することによって転職しやすくなる可能性があります。共通の仕事がある似た業界に転職してから、出版社へ転職する方法があることも覚えておくといいでしょう。
当コラムでは、広告代理店についての記事を執筆しました。広告代理店の仕事内容や、ブラックだと言われる理由をまとめています。業界自体にブラックのイメージが強いですが、そんな中で「健康経営優良法人 ホワイト500」の認定を受けた企業もあるのです。以下の記事で紹介しているので、合わせてご覧ください。

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健康経営のことをご存知ですか?

健康 あなたは、健康経営のことをご存知ですか?健康経営では社員の健康問題は企業の課題だと捉えて、健康問題の解決に取り組んでいます。健康経営に取り組む企業にも、働いている社員にもメリットがあるのです。ここでは、その一部を紹介します。

【健康経営に取り組む企業のメリット】
・医療費が削減できる
・労働生産性が向上する
・企業のイメージが良くなる

【社員のメリット】
・健康のことを意識する機会が増える
・活発に働ける
・モチベーションの向上に繋がる
当コラムでは、健康経営について情報発信しています。仕事とプライベートのバランスを整えることを「ワークライフバランス」といいますが、それは企業が考える時代になっているのです。日本は会社に帰属する意識の高い国民性のため、実現が難しいように思われますが、ワークライフバランスの実現に取り組む企業も出てきています。以下の記事も合わせてご覧ください。

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まとめ

出版社、とくに営業や編集者について解説しました。1つの雑誌が完成するまでには、たくさんの人が関わるのですね。編集者は、文字や写真と向き合うだけじゃなくさまざまな人とのコミュニケーションが必要な仕事です。雑誌の制作や流行を作ることに携わりたい人は、出版社への転職を考えてみてはいかがでしょうか。
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