- 健康経営
- 2023.01.27 (最終更新日:2023.01.30)
睡眠が仕事に及ぼす影響とは?睡眠の質を上げる3つの方法について解説
睡眠不足が続いたために仕事でミスをしてしまった。早く寝ようと思いつつ、長い時間スマホを見ていて、気が付くと夜ふかししている。自分もまさにこの状態だと思われてる人もいるのではないでしょうか。
経済協力開発機構(OECD)の2021年版統計によると、日本の15~64歳までの男女の平均睡眠時間は7時間22分でした。これは調査対象となった33か国の中で最も短いものです。
睡眠不足は心身両面だけではなく、仕事面にも大きなダメージを及ぼします。逆に言うと、充分な睡眠をとることで、心身の状況及び仕事によい影響を与えるのです。
この記事では睡眠不足による悪影響・睡眠の質を左右する行動・仮眠の効果について解説します。よい睡眠で仕事のパフォーマンスをあげるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠不足がもたらす3つの悪影響
- 血圧を下げる
- 免疫力を上げる
- 記憶を整理、定着させる
現役で働く世代の場合は、最低でも6時間の睡眠が必要です。可能であれば7~9時間の睡眠が望ましいでしょう。
もしも最低限の睡眠が確保できなければどうなるのでしょうか。ここでは睡眠不足による悪影響を3つご紹介します。
1.身体面への悪影響
睡眠不足は、生活習慣病発症のリスクを高めます。主なものを以下に示しました。- がん
- 高血圧
- 心筋梗塞
- Ⅱ型糖尿病
- 脳梗塞
睡眠不足の状態は、肥満やメタボリックシンドロームの危険性が高くなります。睡眠不足によって、食欲をつかさどるホルモンのバランスが乱れるためです。
2.精神面への悪影響
睡眠不足が精神面の及ぼす悪影響は、主に以下のとおりです。
- 集中力が低下する
- 記憶力が低下する
- 意欲が低下する
- 感情の抑制がきかない
また睡眠時間が短い人ほど、不安・抑うつ傾向が強くなるという研究結果も出されています。
3.仕事面への悪影響
睡眠不足は集中力や記憶力の低下を引き起こし、作業効率を悪くさせます。言い換えると、睡眠不足はミスを引き起こす原因です。ミスが重なることで、重大事故につながる危険性があります。
睡眠不足は個人の健康問題だけにとどまらないということを知っておきましょう。
睡眠の質を悪化させる就寝前の4つの行動
ここでは、睡眠の質を悪化させる就寝前の行動を4つご紹介します。
1.カフェイン飲料を飲む
コーヒー・紅茶・ココア・煎茶などの飲み物に含まれるカフェインは、眠気を促す物質であるアデノシンの働きをおさえます。そのため就寝前にカフェイン飲料を飲むと目がさえてしまうのです。また利尿作用があるため、就寝前にカフェインを摂取すると睡眠中に尿意を感じて目を覚ましてしまいます。
カフェインの覚醒作用は4~6時間ほど続くといわれています。コーヒーや紅茶などを飲むのは、遅くとも寝る4時間までにしましょう。
2.お酒を飲む
アルコールは寝つきを良くする反面、夜間覚醒を促す作用があります。またカフェインと同じく利尿作用があります。そのため睡眠の途中でトイレに行くこともあり、睡眠を妨げてしまうのです。
アルコールが代謝される過程で、アセトアルデヒドという物質が作られます。アセトアルデヒドの影響により、深い睡眠より浅い睡眠が増えてしまうので注意が必要です。
3.たばこを吸う
たばこを吸う人は吸わない人と比べると寝付くまでに時間がかかり、睡眠が浅い傾向にあります。
たばこに含まれるニコチンには強い覚醒作用がありますが、悪影響はそれだけにとどまりません。血圧を上昇させたり、心拍数を上げたりする作用もあります。そのために眠りそのものを妨げてしまうのです。
4.パソコンやスマホを見る
パソコンやスマホを見ることは睡眠の質を低下させます。液晶画面から出ているブルーライトがその原因です。
ブルーライトは紫外線の次に強い光であり、その刺激は体内時計を狂わせてしまいます。光の刺激による影響はそれだけではありません。睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌も低下させてしまうのです。
睡眠の質を改善させる行動3選
1.適度な運動
10~30分程度のウォーキングがおすすめです。朝もしくは日中に行うとよいでしょう。運動することに加えて、日光を浴びることができるからです。朝、太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされます。また日中に光を浴びると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が増えるので、夜自然と眠くなるのです。
2.朝食を食べる
朝食を食べることで体内時計がリセットされるのが大きなメリットです。また朝食は脳のエネルギー源にもなります。メラトニンの材料は、トリプトファンというたんぱく質です。トリプトファンは体では作られません。そのため食事できちんととることが必要なのです。
3.起床後すぐにカーテンを開ける
朝目が覚めたら、すぐにカーテンを開けて体に光を入れましょう。 朝の光は体内時計をリセットしてくれるはたらきがあります。また体内時計のはたらきにより、メラトニンの分泌が低下するので、日中の眠気を抑えられるのです。
仮眠のすすめ
お昼ご飯を食べたあと、眠くなる人も多いのではないでしょうか。眠気と闘いながら仕事を進める人もいることでしょう。
しかし最近の研究結果では、眠気を我慢せずに仮眠を取る方が仕事の成果が上がるというデータもあるのです。ここでは、仮眠のメリットや効果的な仮眠方法についてご紹介します。
1.仮眠のメリット
仮眠のメリットは主に以下の2つです。
- 午前中の疲れが回復される
- 作業効率が改善される。
NASAの研究では、「宇宙飛行士に26分間の仮眠をとらせたところ、認知能力が34%改善され、注意力は54%改善した」という結果が出されました。
厚生労働省の健康づくりのための睡眠指針2014でも、午後の早い時間に30分程度昼寝をすることが作業効率の改善に効果的と記載されています。
2.効果的な仮眠方法
仮眠をとるのは、昼食をとった後にしましょう。時間は30分以内を目安にしてください。30分以上の長い仮眠になると、深い睡眠に入ってしまい目覚めるのが難しくなるからです。
仮眠する直前におすすめなのが、コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料を飲むことです。カフェインは摂取してから20~30分くらいで覚醒作用が出てきます。そのため仮眠が終わるタイミングで自然と覚醒できるのです。
3.パワーナップとは
パワーナップとは「パワーアップ」と「ナップ(昼寝)」を合わせた、昼寝を意味する造語です。アメリカでは、グーグルやマイクロソフトなどの大企業で取り入れられており、 日本でも導入する企業が増えています。
睡眠の質を改善して、仕事のパフォーマンスをあげよう
この記事では、睡眠不足が及ぼす悪影響と睡眠の質改善法についてご紹介しました。
睡眠の量と質をよくすることで、心身の健康状態も改善されます。睡眠の質改善は自分でできるセルフケアであり、健康経営の助けになります。
また、心身ともに健康な状態で働くことで仕事のパフォーマンスも上がり、企業の業績アップに貢献することが可能です。
残業続きで慢性的な睡眠不足であれば、よい仕事はできません。常に残業がある企業やサービス残業が続く企業に勤務されている人は、健康経営に取り組む企業への転職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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