- 健康経営
- 2023.02.06
積立休暇とはどんな制度?制度の概要やメリット、導入状況もご紹介します
「有給休暇が10日間あったけど、全て使い果たしてしまった」
「忙しさのあまり有給休暇を使わずにいたら失効してしまった」
企業に雇用されて働いている人の中には、このように「有給休暇がない」という状況に直面した人も多いのではないでしょうか。
有給休暇が0日となり、困った人の助けになるのが、積立休暇の存在です。
積立休暇は法的なものではなく企業任意の制度で、働く従業員にとってはありがたいものです。
この記事では、積立休暇の概要やメリットとデメリットなどをご紹介します。
積立休暇とは?
労働基準法で決められた年次有給休暇は、与えられてから2年たつと失効してしまいます。積立休暇は、失効した年次有給休暇を積み立てていく制度です。
積立休暇は年次有給休暇と違い、失効することはありません。しかし法的義務はなく、制度導入は企業の任意になります。
法律上の年次有給休暇との違い
年次有給休暇は労働基準法第39条で義務付けられているものです。そのため、勤続日数ごとの付与日数や、繰り越しの年数なども法的に定められています。これに対し積立休暇は、企業が福利厚生の一環として任意で導入するものです。
- ストック休暇
- ライフサポート休暇
- 保存休暇
- 消滅有給休暇の活用制度
など、企業によりさまざまな名称が付けられています。
有給休暇積立制度の事例については、
働き方・休み方改善ポータルサイト内「特別な休暇制度導入事例」
をご覧ください。
サイト内で、「有給休暇積立制度」と検索すると事例が出てきます。
積立休暇の導入状況
人事院が行った「平成28年民間企業の勤務条件制度等調査結果」の概要によると、正社員に積立休暇制度を導入している企業は29.6%でした。また、有期雇用従業員に積立休暇制度を導入している企業は12.1%となっています。
正社員に対しての積立休暇制度を導入している企業の74.9%で、使用事由に制限が設けられていました。
詳しくは、下記のサイトをご覧ください。
平成28年民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要
積立休暇の活用による従業員のメリット
有給休暇は、与えられてから2年たてば失効してしまいます。しかし積立休暇制度があれば、失効せずに残るので、休暇日数が増え、従業員にとっても大きなメリットになるのです。
精神的に安定して働ける
積立休暇があると、有給休暇が失効しても休暇が残っている形になります。家族の病気など不測の事態のときに使うことができるので、安心して有給休暇を使うことが可能です。
安心して休みを取れることが分かれば、精神的に安定して働けます。
経済的な不安なく仕事を休める
子どもの看病や家族の介護などで仕事を休む場合は、子の看護休暇・介護休暇を使うことが一般的です。しかしこれは無給なので、休むことによる給与減のリスクがありました。有給休暇の一種である積立休暇を利用することで、給与減の不安なく休みを取ることができます。これは従業員にとって、大きなメリットといえるでしょう。
積立休暇の活用による従業員のデメリット
積立休暇活用そのものには、従業員にデメリットがないと考えて差し支えがありません。しかし、職場によっては、積立休暇制度の恩恵を充分に受け取れないというデメリットがあるのです。
職場によっては制度があっても休みにくい
従業員にとってデメリットがほとんどない積立休暇制度ですが、職場環境によっては利用しづらいという状況があります。2019年4月に労働基準法が改正されました。これに伴い、企業には従業員に対して年5日有給休暇を取得させる法的義務が発生したのです。
しかし、年5日の有給休暇以外に休みを取らない従業員が多ければ、自分だけ休みを取ることに気が引ける場合もあるでしょう。
また、積立休暇には取得義務もないので、有給休暇の取得以上に周りの目が気になる可能性が大きいといえます。
職場によっては使用事由に制限がある
「積立休暇の導入状況」でもご紹介したとおり、積立休暇を導入している企業のうち、74.9%は使用事由に制限を設けています。主な使用事由は、
- 本人の病気療養
- 家族の看病及び介護
- 不妊治療
- ボランティア活動
- 自己啓発のための研修参加
などです。使用事由に制限があると、プライベート充実のためには使えないというデメリットが生じます。
退職時の積立休暇の取り扱いについて
年次有給休暇は、退職時に一括消化することや、勤務先に買い取ってもらうことができます。では、積立休暇はどうでしょうか。この項で解説します。
退職時に積立休暇を消化することは可能
年次有給休暇は法的に認められた権利の休暇です。そのため、未使用の休暇を退職時に一括消化することができます。これに対し積立休暇は、あくまでも企業が任意で設けている制度です。そのため退職時に消化できるかどうかも企業の判断となります。退職前には、就業規則を改めて確認してください。
退職時の積立休暇の買い取りは会社の判断による
年次有給休暇は退職時に買い取ることが可能ですが、積立休暇の場合、買い取りの可否は企業の判断にゆだねられます。一括消化と同様、退職時に就業規則を確認することが必要です。
積立休暇制度を有効活用して、自分自身の健康管理に努めよう
積立休暇制度の導入状況は企業によって異なりますが、自分の勤務先にこの制度があれば積極的に利用しましょう。
休みが必要なときにきちんと休むことで、心身の健康を保つことができます。元気に働くためには心身の健康が不可欠です。自分自身の健康を管理することで、健康経営という視点でも企業に貢献できます。
勤務先に積立休暇制度がなく、有給休暇も取りにくい雰囲気であれば、積立休暇制度がある企業への転職も検討しましょう。
社員の健康管理を経営的視点で考えている、健康経営を実践している企業であれば、休暇がとりやすい雰囲気も作られていることも多いので選択肢に入れてみることをおすすめします。
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