- 健康経営
- 2022.10.16 (最終更新日:2022.10.18)
フリーランスが会社員に戻るために|廃業の手続きと就職活動のポイントをご紹介
- 目次
フリーランスとして開業した数年後に、会社員として再就職する人は多くいます。会社などに属さず、仕事に応じて自由に契約するため、金銭面や働き方に不安が残る現状もあります。そのため、会社員とフリーランスという2つの働き方を経験することで、自分にあった働き方を選択できるでしょう。
しかしフリーランスが会社員に再就職する方法は、あまり知られていません。今回はフリーランスが会社員に戻るために必要な手続きと再就職のためのポイント、今後拡大するであろう健康経営が認める自由な働き方についてもご紹介します。
フリーランスも会社員に戻れる?
結論から言いますとフリーランスも会社員に戻れます。実際に2017年版 中小企業白書で発表されている企業生存率は、1年後に95.3%、5年後に81.7%。開業後、年数を経るごとに閉業する企業が増える現状です。フリーランスとして開業しても、会社員に戻る決断をするのは選択肢のひとつといえるでしょう。
フリーランスが会社員に戻る理由として以下のようなものがあります。
金銭的な不安
毎月決められた給料が振り込まれる会社員に対して、フリーランスは仕事の量や内容に応じた報酬が収入になります。仕事がなければ収入を得られず、仕事が毎月必ず入る保証もありません。さらに金銭的に不安定な理由のひとつとして、仕事を思うように獲得できないことがあげられます。フリーランスの場合は自ら仕事を開拓し、企業など依頼主と関係構築をして受注につなげなければいけません。長時間労働になりやすい
フリーランスになると、会社員時代より長く働いたり、働きすぎによって体を壊したりして、会社員に戻る選択をする人もいます。仕事量が報酬に直結するため、つい頑張りすぎて長時間労働になりやすい傾向があるのです。会社員ならば働きすぎると同僚や上司からとがめられ、業務量の調整や休暇をすすめられることもあるでしょう。しかし、フリーランスは注意してくれる人がいないため、気づかないうちに業務時間が長くなり、体を壊してしまうケースも多くあります。フリーランスゆえの孤独感
個人で働くフリーランスは孤独を感じやすい傾向にあるでしょう。好きな時間・場所で働けることはフリーランスのメリットであると同時にデメリットでもあるといえます。仕事の受注から作業、納品までを1人で行うフリーランスにとって、チーム作業や同僚とのコミュニケーションがあった会社員時代と比べたときに孤独を感じることがあるようです。フリーランスとして個人でこなせる業務量には限界があるため、もっと大きなプロジェクトを動かしたいといった想いから孤独感をつのらせるケースもあります。フリーランスを辞めるための手続き
フリーランスの多くは独立にあたって開業届を提出しているでしょう。開業時に必要な手続きと同様に、閉業時にも取らなければいけない手続きがあります。閉業の手続きは以下の通りです。
個人事業の開業・廃業届出書
開業届を提出している人は、廃業から1か月以内に廃業届を提出しましょう。提出先は管轄の税務署です。インターネット上で書類をダウンロードし、提出も可能です。ただし廃業届を提出すると取り消しはできません。会社員として復帰したあともフリーランス時代の事業を継続する人は、廃業届を提出するタイミングに注意してください。所得税の青色申告の取りやめ届出書
廃業届と一緒に提出したいのが、所得税の青色申告の取りやめ届出書です。青色申告の取りやめを申請する書類で、フリーランス時代に青色申告を行っていた人は確認しておきましょう。提出期限は青色申告を停止する年の翌年3月15日まで。管轄の税務署に提出します。事業廃止届出書
消費税を納めている個人事業主が出すべき書類が、事業廃止届出書です。消費税の課税は前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合、もしくは前年1~6月までの課税売上高が1,000万円を超え、かつ給与等支払額が1,000万円を超える場合、対象となります。廃業後、所轄の税務署に提出しましょう。給与支払事務所等の開設・移転廃止の届出書
従業員や事業専従者を雇用して給料を支払っていた場合、提出しなければいけないのが、給与支払事務所等の開設・移転廃止の届出書です。廃業日から1か月以内に、所轄の税務署へ提出します。届出書の作成についてわからないことがあるときは、税務署の源泉所得税担当に相談してみてください。フリーランスの再就職活動
フリーランスが会社員に戻るには、就職活動の進め方も会社員の転職と異なるでしょう。会社員とは異なる経歴をもつからこそ、フリーランスならではの方法があります。
フリーランス時代のクライアントからオファーを受ける
フリーランスが会社員に戻る際に多いのが、業務を受注していたクライアントからスカウトを受けるケースです。信頼関係を築いているクライアントからスキルを買われ、よりよい雇用条件を提示された場合には会社員として就職するのもよいでしょう。業務内容を把握しているので、採用後のミスマッチや環境の変化に対する負担も少なく、スムーズに仕事ができます。ただし会社員となれば、それまでフリーランスとしてこなしてきた業務範囲以上の仕事を与えられたり雑用をこなす必要があったりします。慣れた仕事と油断せず、新しいことを始める心構えが必要です。
ハローワークを活用する
地域のハローワークを活用するのも有効な手段です。ハローワークは地域の総合的雇用サービス機関として全国に設置されています。居住地域の求人を多く取り扱っているので、民間の職業紹介サービスには掲載されていない情報を得られるかもしれません。自宅から通える範囲にある場合が多いので、求人紹介はもちろん、就職相談や面接対策など気軽に相談できるでしょう、就職に関わる幅広いサービスを無料で受けられるのもポイントです。利用にあたっては窓口で求職の申し込みをしてください。
転職エージェントを活用する
スキルや希望条件にあわせた就職活動をするなら転職エージェントを活用するとよいでしょう。専任のアドバイザーが就職活動をサポートするのが特徴です。経歴や希望条件をヒアリングして、求職者にとってよりよい求人を紹介します。近年、さまざまな転職エージェントがサービスを提供しています。複数社に登録して自分にあった転職エージェントを見つけると、納得のいく就職活動になるかもしれません。医療職やエンジニア職など職種に特化した転職エージェントもあるので、資格やスキルをもつ人は参考にしてください。
SNSを活用する
近年ではソーシャルリクルーティングが注目されています。大手からベンチャー企業までがSNSを通じて採用活動を行っており、企業と個人がマッチングして就職に至るケースが多いようです。SNSを活用することで、企業は採用活動にかかる時間や金銭的コストを削減できます。また求職者の投稿内容を見ることで人柄や性格を把握できるでしょう。求職者もSNSによって手軽に求職活動ができ、就職後のミスマッチを減らせるメリットがあります。実際にSNSを通じて仕事を得るフリーランスは多い傾向です。就職活動に活用するのも一手でしょう。
再就職を成功させるポイント
フリーランスが会社員に再就職するためには、面接時のアピールが重要です。特に以下の点を意識的に伝えるとよいでしょう。
- 正社員を目指す理由
- フリーランスとしてつちかったもの
- 応募先企業ならではの志望動機
- 応募先企業のニーズに沿った知識・スキル
一方、企業はフリーランス経験者に対して自己主張の強さや行動力の高さゆえに、協調性に欠けるのではと懸念します。個人業務とチーム業務は、フリーランスと会社員の大きな違いです。会社員はチームで大きなプロジェクトをこなす必要があるため、組織内でコミュニケーションをとりながら円滑に物事を進める力が求められます。仕事の進め方が異なるフリーランスは、その力に欠けるのではないかと懸念されやすい傾向です。企業の懸念を払拭する自己アピールができれば、就職活動も優位に進められるでしょう。
健康経営と働き方改革
従業員一人ひとりが自分らしく働くことを推進する健康経営。自分らしい働き方を求めて会社員を辞めたフリーランスも、勤務形態や制度が確立された企業なら再び会社員として働く選択もできるでしょう。実際に働き方改革によって時短勤務やフレックス制、週休3日などこれまでにない働き方を認めている企業は増加傾向です。誰もが自分らしく働くために推進される取り組みとして、健康経営があります。
健康経営とは
企業が経営理念に基づいて、従業員の健康維持・増進に取り組むことで業績や組織の価値向上につなげる健康経営。従業員の活力や生産性アップを目指して、心と体の両面から健康促進事業を展開しています。たとえば健康相談や健康診断を定期的に実施したり、ストレスチェック制度を導入したりして身体的健康をサポートしています。また働き方改革によって多様な働き方を認めることで、従業員のモチベーションアップや生産性の向上につなげる事例もあります。経済産業省では健康経営銘柄制度を設けて、健康経営に優れた企業を選定しています。選定された企業には健康経営認定マークが付与されているので、就職活動の際には参考にしてみてください。
個人にマッチした働き方の提案
近年、働き方改革やワーク・ライフ・バランスが注目されています。多様な働き方を認めることで、個人が生き生きと仕事に取り組み、生産性の向上につなげる狙いです。実際に働き方改革によって、週休3日制や副業を認めている企業もあります。収入アップや家族・趣味の時間の確保など仕事に向き合う姿勢は人それぞれだからこそ、個人にマッチした働き方が求められます。企業価値の向上や生産性アップのためにも、働き方は今後も多様化していくでしょう。そのなかで何を大切にしてどのような働き方をするかを考え、選択することが求められます。日々仕事をすることはもちろん大切ですが、少しだけ立ち止まって、自身の働き方やライフキャリアに求めるものを振り返ってみてください。フリーランスも会社員も、自分らしい働き方を追求するために
フリーランスが会社員に戻るために必要な手続きと再就職のためのポイント、今後さらに拡大するであろう健康経営が認める自由な働き方についてご紹介しました。フリーランスが会社員に戻るのは有効な選択肢のひとつです。フリーランスと会社員、それぞれにメリット・デメリットがあるからこそ、何を大切にしてどれを選ぶかを考える必要があります。会社員を経験したフリーランスは、その判断材料があるのでよりよい選択ができるでしょう。自分なりにどのように働きたいか、どのように暮らしていきたいかをじっくりと振り返ってみてください。そうすることで、よりよいライフキャリアが築けるでしょう。
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