- 働き方改革
- 2022.09.14
失業保険とは何か?受け取れる人や金額、手続きの方法などを分かりやすく紹介します
- 目次
仕事を辞めると決めたとき、多くの人が「次の仕事につくまでの経済面が不安」「すぐに仕事が見つからなかったらどうしょう?」と悩むのではないでしょうか。そんなときに助けになるのが失業保険です。
この記事では、失業保険の受給対象者や手続き方法、受給額や日数について紹介します。
失業保険とは何か
仕事を辞めたあと、一定の条件を満たすことで受け取ることができる手当です。
失業保険の目的
失業保険の第一の目的は、失業者の経済的支援です。仕事を辞めて、今まであった収入が途切れると、失業者の生活が一気に不安定になります。そのような状況に陥らないように、失業後も一定の収入を得られるように作られたのが、失業保険です。また失業保険には、失業者の再就職の支援という第二の目的もあります。
失業者が失業保険受給により経済的に安定することで、焦らずに、自分に合う仕事を選ぶことが可能です。
失業保険のメリット
失業保険の受給中は、一定の収入を得られます。経済面の不安が軽減されることで精神的ストレスが軽減され、メンタルヘルスにもよい影響を与えてくれます。また、経済的不安の軽減により、じっくり転職先を選べることも大きなメリットです。
転職先を選ぶ場合は、健康経営を行っている企業を中心に探すとよいでしょう。健康経営を行っている企業は、働く人の心身の健康をサポートが手厚いため、働きやすい職場といえます。
失業保険のデメリット
失業保険を受ける第一のデメリットは、雇用保険加入期間がリセットされてしまうことです。失業保険の受給額は雇用保険の加入期間が長いほど多くなります。つまり、「失業保険を受給した後に転職したが、短期間で辞めてしまった」といった場合、失業保険を受給できない可能性もあるのです。
ほかにも、転職活動が不利になる可能性があります。
失業保険を受けられれば経済面の不安は軽減されるので、転職先をじっくり選ぶことができます。ただし、転職先を選ぶ期間が長くなると、空白期間(働いていない期間)も長くなってしまいます。
空白期間が長くなると、転職活動では不利になるので注意が必要です。
失業保険の受給対象者
失業保険の受給者は、以下の3つに分けられます。
一般離職者
一般離職者とは、自分の意思で退職した人のことです。「自己都合退職」と呼ばれる人のほとんどは、ここに該当します。特定理由離職者
特定理由離職者は、自己都合退職者のうち、自分の意思以外の正当な理由で退職した人のことです。主に以下の状況があてはまります。- 体力の不足、心身の障害、病気やけがなどでやむを得ず退職した
- 父母を扶養、もしくは介護するなど、家庭の事情で退職した
- 配偶者や扶養家族と別居生活を続けることが困難となって退職した
- 結婚による住所変更など特定の理由で通勤困難になり退職した
特定受給資格者
特定受給資格者とは、企業の倒産や解雇などの理由で退職せざるを得なかった人のことです。解雇の中には、著しい契約違反や、賃金未払いなども含まれます。アルバイトやパートの場合
パートやアルバイトで働いていた人が失業保険を受給できる条件は、以下の2つです。- 雇用期間が31日以上であること
- 1週間の労働時間が20時間以上であること
失業保険の受給額
賃金日額
賃金日額の計算式は、「離職日の直前6か月に支払われた賃金総額÷180(30日×6か月)」です。年齢別に上限額と下限額があります。(出典:厚生労働省 雇用保険の基本手当日額が変更になります〜令和4年8月1日から〜)
基本手当日額
基本手当とは、離職した人が生活の心配をすることなく、再就職の活動ができるように、支給するものです。基本手当日額とは、基本手当として受け取れる1日当たりの受給額のことをいいます。計算式は、賃金日額×50〜80%です。賃金日額と同じく、上限額と下限額があります。(出典:厚生労働省 雇用保険の基本手当日額が変更になります〜令和4年8月1日から〜)
支給総額
支給総額とは、失業給付を給付日数いっぱいまで受け取った場合の総額です。給付基本手当日額×給付日数で計算されます。失業保険の給付日数
失業手当をもらえる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。それ以降に手続きをしても失業手当はもらえないので、離職後は早めに手続きをしましょう。
失業手当をもらえる日数(給付日数)は、離職理由や年齢、雇用保険加入期間によって異なります。
一般の離職者(定年退職、雇用期間満了、自己都合による退職の場合)
(出典:ハローワークインターネットサービス・基本手当の所定給付日数)
特定理由離職者及び一部の特定理由離職者(倒産や解雇などにより退職を余儀なくされた人の場合)
(出典:ハローワークインターネットサービス・基本手当の所定給付日数)
就職困難者(障害者等の場合)
失業保険をもらうための5つの手順
失業保険は、受給対象者全員がもらえるとは限りません。受給のためには、5つの手順を踏む必要がありますので、覚えておきましょう。
1.必要な書類と印鑑を準備する
必要な書類は、以下のとおりです。
- 雇用保険被保険者離職票
- マイナンバーが分かる書類(マイナンバーカードなど)
- 身元確認書類(運転免許証など)
- 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm)2枚
- 本人名義の預金通帳もしくはキャッシュカード
印鑑も準備しておきましょう。
2.ハローワークで求職申込を行う
住所を管轄するハローワークに行き、離職票提出および求職申込を行います。受給資格決定されたら、受給説明会について説明を受けてください。そのときに、雇用保険受給資格者のしおりを受け取ります。
求職申込後の7日間は待機期間と呼ばれます。待機期間中は、たとえアルバイトであっても働くことはできませんので注意してください。
3.雇用保険受給者初回説明会に参加する
説明会では、雇用保険に関する重要事項や、第1回目の失業認定日に関する説明を受けます。そこで、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取りましょう。
説明会参加時は、受給資格者のしおりと筆記用具が必要です。
4.ハローワークで失業認定を受ける
4週間に1度の失業認定日にハローワークに行き、求職活動の状況を報告します。失業認定日には、「原則として、月2回以上求職活動を行った実績を提出する」ことを覚えておいてください。
5.失業手当の受給
失業手当は通常、失業認定日から5営業日後に、指定の口座に振り込まれます。
それ以降も、原則として4週間に1回、失業認定のためハローワークに行くことが必要です。
失業保険の受給中のアルバイトについて
失業手当受給中もアルバイトは可能です。ただし、一定のルールがあるので覚えておきましょう。
待機期間中はアルバイト不可
ハローワークで求職申込をした後の7日間は、待機期間と呼ばれます。待機期間中は失業状態でなくてはいけないので、アルバイトも行えません。勤務時間は週20時間未満
アルバイトの勤務時間が週20時間を超えてしまうと、雇用保険加入対象になり、就職したとみなされます。また、アルバイトの契約期間が31日を超えた場合も、雇用保険加入対象になるので要注意です。
必ずハローワークに報告する
アルバイトをしたときは、必ずハローワークに報告してください。4週間に1回の失業認定時に提出する失業保険申告書に、アルバイトに関する詳細な事項を記入しましょう。記入するのは、以下の項目です。
- アルバイト収入
- 勤務日
- 労働時間
離職後の経済的安定のためには、失業保険を正しく知った上で受給することが必要
失業保険は、離職後の経済的な安定と再就職支援が目的です。一定期間雇用保険に加入していること、ハローワークに求職申し込みをしていることが受給条件になります。
受給金額と日数は、雇用保険加入期間や年齢、離職理由によって異なります。離職後に失業保険受給を考えている人は、これらを事前に確認しておきましょう。
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