- 健康経営
- 2022.09.05
テレワークが進むにつれて急増中!サイレントうつの症状や対策についてご紹介
テレワークが進むことによって満員電車の通勤時間は減り、会社の人間関係に気を遣わずストレスが減った方も多いでしょう。
しかし、毎日出社して仕事仲間と顔を合わせることが当たり前になっていると孤独を感じやすく、働き方の変化についていけない人もいます。
家にこもって誰とも話さずに一日が終わるケースもある影響で、自分でも気がつかないうちにうつ病が進行する「サイレントうつ」になる人が急増しているようです。
今回はサイレントうつの原因や症状、対策方法などについてご紹介します。
サイレントうつとは?
サイレントうつは医療用語ではありません。そのため明確な定義はなく、主に一般用語として用いられています。サイレントうつはテレワークが普及した影響により増加し始めました。テレワークではコミュニケーションをとる機会が減り孤独を感じやすい傾向にあります。 出社して社員とコミュニケーションをとりながら仕事をすることが主流だった人にとっては大きなストレスになるでしょう。
代表的な特徴は本人も周囲の人も発症していることに気がつきにくいことで、サイレントに進行するため「サイレントうつ」と呼ばれています。発見が遅れる分悪化しやすく、テレワークという環境もあり、異変を感じても助けを求められない人が多いようです。
サイレントうつになる原因
サイレントうつは本人も気づかない間に進行するため、原因がわからないケースも多いでしょう。とくにテレワーク中は、今までと異なる環境で仕事をするため知らないうちにストレスがたまりやすい傾向にあります。
ここでは、サイレントうつを発症する原因についてご紹介します。普段の生活であてはまるものがないか確認してみましょう。
テレワークによるコミュニケーション不足
テレワークは自宅で仕事ができるため、会社での人間関係に気を遣わなくていい反面、社員同士のコミュニケーションが不足する可能性があります。とくに一人暮らしの人は、テレワーク中は1日誰とも会話をせずに終わるケースもあるでしょう。
仕事がある平日の5日間は誰とも会話しないことによる孤独感や、1人パソコンに向かい続けるストレスによりサイレントうつを発症するケースが後をたちません。 テレワークでコミュニケーションが減ったことで孤独やストレスを感じる人は、オンライン飲み会や趣味のコミュニティに参加するなど、人との関わりを持てる手段を見つけましょう。
乱れた生活習慣
これまでの出社によるオフィスワークでは、朝早く起きて3食きちんと食べ、夜はなるべく早く眠るという規則正しい生活が自然とできていた人も多いでしょう。しかし、テレワークでは通勤時間が削減されて朝もゆっくり寝られる安心感から、夜更かしをしてしまう人が多いようです。
遅い時間までゲームをしたりスマホを見ることにより、目が冴えて眠れなくなったり、睡眠の質が悪くなったりします。実際に、うつ病患者の8割以上は睡眠障害も併発しており、睡眠は心身の健康を保つために非常に重要な要素であることがわかります。テレワーク中であっても質の良い睡眠と十分な睡眠時間を確保することが大切です。
また、テレワークでは休憩時間も個人の裁量任せる会社も多くあります。そのため、仕事の量によっては昼食の時間がずれたり、休憩中に仮眠をとって食事をしなかったりする人もいるようです。食事の時間が不規則になると、自律神経やホルモンバランスが乱れるためうつ病に繋がります。早寝早起きや3食きちんと食事をとる健康的な生活を心がけましょう。
運動不足
アメリカのアイオア州立大学による2020年の調査では、座ったまま長い時間を過ごす生活を続けているとうつ病のリスクが上がることが明らかになりました。テレワークでは通勤時間もなく、自ら意識をしなければ体を動かす機会は非常に少ないでしょう。
また、運動不足は精神だけでなく生活習慣病のリスクを上げるなど体にもさまざまな悪影響を及ぼします。
サイレントうつや生活習慣病を防ぐためにも、運動する習慣をつけることが大切です。
評価に対する不安
テレワークでは誰にもみられずに仕事を進めます。そのため、実際に働いている姿を上司に見られることがなくなり、評価されているのか不安になる人も多いようです。
実際にテレワークでは、評価が成果主義に偏りやすく、結果を出すまでの過程は評価されないケースも増えています。
結果を出すまでに時間がかかると、上司から「怠けている」と捉えられるのではと不安になり、精神的に追い詰められる人もいるようです。
サイレントうつの症状
サイレントうつの症状について知っておけば、気がつきにくいサイレントうつの早期発見に繋がるでしょう。 基本的にうつ病は、発見が遅れるほど悪化しやすく、放置すれば最悪の場合自殺する可能性もあります。自分や大事な人の命を守るためにも、サイレントうつの症状について知っておきましょう。
孤独感などで気持ちが落ち込む
気分が沈んだり落ち込んだりすることはうつ病患者の代表的な症状です。なかでもテレワークが原因によるサイレントうつでは、「孤独感」を強く感じやすいため、一人暮らしの人はとくに注意が必要です。
異変に気づいても、一人暮らしの場合は助けを求める先もなく悪化しやすい傾向にあります。
サイレントうつを放置すると、孤独感から塞ぎこみやすくなったり、最悪の場合自殺を考えたりする可能性があります。気持ちが落ち込んでいる時は無理をせず、思い切って休んだり友人と会ったりするなど息抜きをすることが大切でしょう。
何に対してもやる気が出ない
うつ病患者は何に対しても関心ややる気がわかず、無関心になることで知られています。
そのため、仕事に対してもやる気がなくなり業務に支障が出るケースも多いようです。
テレワークで業務が滞っていると、上司からは「怠けている」と誤解されたり怒られたりすることもあるでしょう。
サイレントうつは本人も異変に気づいていないことが多いため、怒られても自責の念に駆られてさらに悪化するケースも少なくありません。
周囲の人でテレワークになってから異変が見られる場合は、サイレントうつの疑いも視野に入れましょう。
ネガティブに考えやすい
うつ病を発症すると、全ての出来事をネガティブに捉えやすくなります。 そのため、いつも気分が落ち込んだり孤独感に襲われたりするようです。 今まで流せていた冗談が流せなくなったり、ささいなことで傷つくことが増えたりした場合は要注意です。
夜の寝つきが悪い
うつ病患者は睡眠障害も併発しやすく、不眠・中途覚醒など眠りが浅くなるケースが多いでしょう。 日本心身医学会総会の研究によると、不眠症の人は3年以内にうつ病を発症する確率が4倍高まることが明らかになりました。サイレントうつを発症しなくても、不眠症により発症する可能性もあるようです。 テレワーク中も十分な睡眠時間を確保できる生活をおくりましょう。
頭痛や肩こりなどの身体的症状
サイレントうつは精神だけでなく肉体にも悪影響を及ぼします。
頭痛や肩こりなど、体がだるく感じるような症状があらわれやすいようです。
ほかにも、食欲がなくなったり朝ベッドから起き上がるのが異常に辛かったりするため、悪化すると日常生活にも支障をきたします。
いずれも同居人などの存在がいなければ気づいてもらえないため、日常生活をおくることも難しくなった場合はすぐに精神科を受診しましょう。
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サイレントうつを防ぐための対策
サイレントうつは、「テレワーク」といういつもとは違った環境で仕事をすることに適応できないことが原因で発症するケースが多いようです。しかし、きちんと対策をすれば防げる可能性があります。ここではサイレントうつを防ぐための対策についてご紹介します。
プライベートでオンラインイベントに参加する
サイレントうつになる主な原因は「孤独感」です。一人暮らしだったり、出張で近くにプライベートで会える友人がいない場合に発症しやすくなります。そのため、プライベートではなるべく人と会話する機会を作ることが重要です。オンライン飲み会や趣味を通じたオンラインイベントなどに参加するといいでしょう。 仕事のストレス発散になったり、孤独感を感じにくくなるためサイレントうつの対策について効果的です。
ほかの社員と業務に関する連絡を取り合う
正社員はプライベートよりも仕事をする時間の方が長いことが多いでしょう。長い時間孤独を感じるとサイレントうつを引き起こす原因になるため、仕事中もなるべく社員同士で業務に関する連絡を取り合うことがおすすめです。組織に属しているという帰属意識も生まれるため、仕事のモチベーションにも繋がります。よりスムーズに業務を進めたりできるため、会社にとっても社員の心の健康ためにもメリットになるでしょう。
規則正しい生活を送る
規則正しい生活は心身ともに健康を維持するための基礎になります。とくに睡眠と食事は非常に重要です。毎日十分な睡眠時間と3食バランスの良い食事を摂ることを意識しましょう。 生活習慣が整えばサイレントうつだけでなく、ほかの病気も防げます。健康な身体を維持するためにも生活習慣を整えましょう。
プライベートと仕事のメリハリをつける
テレワークは自宅で仕事をするため、プライベートと仕事メリハリがつきにくくなります。常に仕事に追われている感覚が抜けないことからストレスがたまり、サイレントうつに発展することもあるようです。
そのため、自宅でもプライベートと仕事のメリハリをつけることをおすすめします。
定時になったらパソコンの電源を切ったり、自宅内で仕事ゾーンとプライベートゾーンを明確に分けたりすることで、メリハリがつきやすくなります。仕事以外はきちんと休むことを心がけましょう。
サイレントうつを防ぐためにテレワーク中も1人で悩みを抱えこまない
今回は、テレワークに潜むサイレントうつについて症状や原因、治療法についてご紹介しました。サイレントうつは誰でも発症する可能性があり、本人も周りも気づきにくい分非常に危険な精神疾患です。テレワークでもなるべく人との関わりをもち、会話のキャッチボールができる状態を保ちましょう。
万が一サイレントうつを発症しても、健康経営に取り組むような社員を大切にしている会社であれば休暇をもらいやすい傾向にあります。テレワークでの激務を強いられる場合は、健康経営優良企業に選出されている会社に転職することをおすすめします。
1人きりで体調を崩す前に自分で環境を変えることも大切です。
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