- 健康経営
- 2022.08.28
健康管理も仕事のうち?【健康経営と生産性】仕事に役立つ健康管理のポイントをご紹介
「健康管理も仕事のうち」という指摘があります。たしかに体調不良は、心身の状態だけでなく仕事のパフォーマンスにも大きく影響します。最大限のパフォーマンスを発揮するためには、普段から生活リズムを見直し、しっかりと管理することが大切です。
今回は健康と仕事の関係性や、仕事の質を上げるための健康管理術をご紹介します。
健康管理も仕事のうち?
体調不良の状態で仕事をすると、集中力や判断力が落ちて生産性に影響します。また感染性のある病気にかかって体調を崩した場合、本人だけでなく周囲にもうつして会社全体の生産性を下げかねません。
会社組織に所属する社会人なら、本来の能力を発揮して仕事をするために健康管理をしっかりと行いましょう。
「健康管理も仕事のうち」と言われる理由
防げる体調不良は未然に防いで、仕事に集中できる態勢を整えるべきという考え方です。たとえば二日酔いや夜ふかしによる寝不足で、体調が悪く仕事が手につかない場合、自己管理を怠ったという理由で責任を問われても仕方ありません仕事はチームワークです。1人の業務が滞ると周囲にも迷惑がかかります。進まない業務で周囲の手を止めてしまったり、業務担当者の不在により、それをフォローする人手を割かれたりするでしょう。
またパフォーマンスが落ちると、自分の仕事が溜まってしまいます。こうした仕事への影響が二日酔いや寝不足などの自己管理不足によって起こると、同僚や上司、取引先の信頼を失いかねません。健康管理も仕事のうちと言われるように、円滑な仕事関係を構築するべく、まずは自身の体調を万全に整えることが大切です。
体調不良で生産性が上がらないプレゼンティーイズム
心身の不調を抱えながら、仕事をしている状態のことをプレゼンティーイズムといいます。英語ではPresenteeismと表記され、日本語訳は「疾病就業」です。厚生労働省保健局が発表したコラボヘルスガイドラインによれば、プレゼンティーイズムの状態は生産性を低下させ、コストを増大させることが明らかになっています。休むのは申し訳ないからと体調が悪いのに無理に出勤すると、従来の成果を上げられず生産性が低下します。体調が悪化して休まざるを得ない状態になったり、感染性のある不調なら周囲にうつしてしまったりするでしょう。
そうなると1人の初期症状以上に大きな損害になります。厚生労働省では、このようなリスクがあるプレゼンティーイズムを問題視しています。
体調不良で仕事を休むとき
体調不良で仕事を休むときには、早い段階で会社に連絡しましょう。以下の5点を意識して伝えます。- 体調不良の程度や状態など、休む理由
- 病院を受診する予定はあるか
- 現在の仕事の状況
- 引き継ぎの有無
- 体調不良から回復して出社するめど
プレゼンティーイズムの原因は、仕事の成果より頑張りの過程や協調性を評価する日本の価値観にあると言われています。特に責任感の強い人は、体調不良時も休むわけにはいかないと思ってしまいがちです。
体調不良時に休んでも仕事が滞ることのないよう、普段から仕事の進み具合を共有したり、コミュニケーションを密にとって休むことを受け入れられる態勢を整えましょう。いざという時にもフォローしあえる環境整備が重要です。
仕事が与える健康への影響
健康が仕事に与える影響は大きいように、仕事も個人の健康と大きく関連します。健やかに仕事をするためにも、健康的な仕事とのつきあい方を見直さなければなりません。
働き世代に警鐘を鳴らす生活習慣病
働き世代に多いのが生活習慣病です。がんや心臓病、脳卒中、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などが生活習慣病としてあげられます。不健全な生活を積み重ねることで内臓脂肪型肥満となり引き起こされる生活習慣病。食事や運動、休養のとり方、飲酒、喫煙などの生活習慣が大きな原因となります。生活習慣の多くは進行にともなう自覚症状が少ないという共通点があります。よって生活習慣病にかかっていることに気づかない、また気づいていても対処しないという人が少なくありません。生活習慣病は日本人の死因の大きな割合を占めています。気づかないうちに生活の質が下がっていたり、健康寿命を短くしたりするというのは日本人の健康を脅かす大きなリスクです。
食事や運動の習慣、休養のとり方、飲酒・喫煙の量や頻度といった生活習慣を見直して、生活習慣病を未然に防ぎましょう。特に生活習慣病を発症し始める30代以降の働き世代は注意が必要です。
長時間労働が及ぼす影響
長時間労働は健康に影響を及ぼします。成果を求められるあまり多くの業務や精神的負荷のかかる仕事を請け負って、精神的負担や生活における仕事の密度が増加し、健康に影響を及ぼすケースです。睡眠や休養、家庭の時間、余暇の減少によって、脳や心臓の疾患、精神障害や過労性の健康障害、事故・ケガを引き起こします。過労死や精神的負担による自殺は深刻な社会問題です。長時間労働者には、睡眠不足、自覚症状への気づきの不足、不十分な健康管理といった特徴が指摘されます。週労働時間が60時間を超えると健康リスクが高くなるので特に注意が必要です。また60時間未満でも労働時間が非常に長いと感じたり、精神的負荷が大きいと感じたりする場合には健康状態にも大きく影響します。
十分な睡眠と休養をとり、過度な喫煙・飲酒はやめましょう。家族や友人といった周囲の人のサポートを得ながら、自分の状況を見直し、健康管理を行うことが重要です。
仕事が影響する心の病
厚生労働省が公表する過労死等の労災補償状況によると、仕事が原因でうつ病や適応障害などの精神障害を発症して労災認定を受ける人は増加傾向にあります。パワハラを含むひどい嫌がらせやいじめ、セクハラといったハラスメントが原因のひとつです。仕事量や業務内容ばかりでなく、職場の環境も健康状態に大きく影響します。心の病はうつ病や適応障害といった精神疾患のほかにも、集中力や判断力の低下、睡眠不足、無気力感といった症状によって仕事や生活に影響を及ぼします。早めにストレス状態やその原因に気づき、対処することが大切です。健康な状態で仕事と向き合うためには、仕事から受けるストレスや心理状態に気を配りましょう。
健康管理のポイント
健康管理のために、まずは普段の生活を見直すことが重要です。以下のポイントを意識するとよいでしょう。
十分な睡眠
十分な睡眠が心身の健康の第一歩です。成人の標準的な睡眠時間は6〜8時間。しかし必要な睡眠時間には個人差があるため「日中に困るほどの眠気を感じない」ことを基準に、自らの最適な睡眠時間を把握しておきましょう。寝る30分前までにパソコンやスマートフォンを遠ざけておきましょう。パソコンやスマートフォンからは睡眠を妨げるブルーライトが放出されています。またコーヒーや紅茶に含まれるカフェインも覚醒作用があるため、午後3時以降は控えるとよいでしょう。
さらに食事によって胃に消化や吸収の負担がかかるので、睡眠時間の3時間前までに夕食をすませるのが理想です。生活リズムを整えて、最適な睡眠環境をつくりましょう。
栄養バランスを意識した食事
健康な体づくりのためには、栄養バランスを意識した食事が重要です。脂肪や塩分過多、大量の飲酒は内臓に負担をかけるだけでなく、生活習慣病のリスクを増大させます。食事は毎日くり返されることなので、体に必要な栄養素を理解し、バランスの良い食事をとりましょう。成人に必要な1日のカロリーは2200cal前後です。年齢や性別、1日の活動量によっても異なるため、自分に必要なエネルギー量を把握しておくと献立の参考になります。また食物繊維やタンパク質、ビタミンといった栄養素も意識すると、疲労回復や脳の活性化に効果的です。
会食や接待などで外食が続き、食事を管理するのが難しいという人は食事を2・3日単位で考えるとよいでしょう。1日目で食べ過ぎても2日目で調整するといったように、毎日の食事を長い目で見て調整することが重要です。
適度な運動
適度な運動は健康を保つばかりでなく、気分転換やストレス発散といった心の健康も回復させます。運動は筋力を保ち、健康な体をサポートするために重要です。運動を怠ると体重の増加や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のリスクが増大します。現代人には運動不足が慢性化しています。出勤時はひと駅前で降りて歩く、オフィスでは最も遠いトイレを利用する、移動時には階段を使うといった、小まめに体を動かす工夫をするとよいでしょう。運動時間を今より少しでも増やすことが、将来的に健康寿命を延ばすことにつながります。
小まめなストレス発散
ストレスに気づき、発散することがメンタルヘルス不調を未然に防ぐために重要です。仕事がつらいと感じたら、仕事量や業務内容、職場の環境など何がつらいと感じさせるのかを考えます。その原因に的確に対処することで、ストレスをためずメンタルヘルス不調を未然に防ぐことにつながります。たまったストレスを発散する際には、趣味や1人の時間に没頭しましょう。夢中になって取り組んで、一時的に仕事を忘れることでストレスが解消されます。近年ではアウトドアや1人でもできるアクティビティが人気です。体を動かすことで運動不足解消にもつながります。自分にあったストレス発散法を見つけてみてください。
健康経営の取り組み
企業が経営理念に基づいて、従業員の健康維持・増進に取り組むことで業績や組織の価値向上につなげる健康経営。従業員の活力や生産性アップを目指して、心と体の両面から健康促進事業を展開しています。これによって、従業員の身体的・精神的健康の維持はもちろん、働き方改革の推進やワーク・ライフ・バランスの見直しが行われ、健康かつ生き生きと働く職場づくりが進められています。
経済産業省では健康経営銘柄制度を設けて、健康経営に優れた企業を選定する制度を導入しました。国も健康経営を推進しています。
健康に生き生きと働くことを支える
健康経営の取り組みにおいて、健康診断や健康相談の実施のほかにも、普段から健康に配慮するようサポート体制を整える企業があります。たとえば社員食堂を設置して従業員の食習慣を支えたり、社内での分煙をすすめたり、歩数計測によってポイントインセンティブを与えたりするなどです。「健康を意識しましょう」「禁煙しましょう」「運動しましょう」と呼びかけるより、従業員の自発的な行動をうながす取り組みとして注目されています。
メンタルヘルスと健康
組織を健全かつ効率的に運営するために、従業員のメンタルヘルスケアは重要な取り組みです。厚生労働省が発表した労働者の心の健康の保持増進のための指針によると、メンタルヘルスケアのための3つの予防段階と4つのケアが紹介されています。それらに基づいてストレスチェック制度が導入されたり、産業保健医や産業保健の専門スタッフが配置されたり、ストレスマネジメント研修が開催されたりしています。メンタルヘルス不調の原因はさまざまなので、原因にあわせた対策と予防法を講じることが大切です。
毎日の健康管理でよりよい仕事を
健康と仕事の関係性や、仕事の質を上げるための健康管理術をご紹介しました。健康管理は、スムーズな業務進行や社会的信用の維持という観点から、社会人として大切な仕事のひとつです。体調不良は心身の状態だけでなく仕事のパフォーマンスにも大きく影響します。
最大限のパフォーマンスを発揮するためには、普段から生活リズムや習慣を見直してしっかりと管理しましょう。今回ご紹介した健康管理術もぜひ実践してみてください。
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