- 健康経営
- 2022.08.19 (最終更新日:2022.08.24)
職場のメンタルヘルス対策とは?【メンタルヘルス研修】導入のポイントと目的を解説
心身ともに健やかな職場づくりのためにはメンタルヘルスの観点が欠かせません。しかしストレスやメンタルヘルスについて、正しい知識や理解が普及していない現状があります。そのために社内外で提供されるのがメンタルヘルス研修です。今回はメンタルヘルス研修のポイントや導入方法をご紹介します。
職場におけるメンタルヘルス
心身とも健康に働ける職場づくりのために、メンタルヘルスを意識することは重要です。不調を早期に発見することで本人のメンタルヘルス不調をより早く回復させるだけでなく、健全な職場づくりに貢献します。また生産性を向上させ、離職率の低下も期待できるでしょう。職場でのメンタルヘルスとケアのポイントをご紹介します。
メンタルヘルスとは?
世界保健機関(WHO)はメンタルヘルスを次のように定義付けています。メンタルヘルスが良好に保たれないと、うつ病やパニック障害、適応障害、睡眠障害、依存症といった精神疾患を引き起こす可能性があります。心身ともに健康な生活を送るためには、ストレスの原因に向き合うことが大切です。職場で感じる強いストレスはメンタルヘルス不調の大きな要因になります。個人で対処することはもちろん、職場全体で向き合わなければならない課題といえるでしょう。
メンタルヘルスとは、人が自身の能力を発揮し、日常生活におけるストレスに対処でき、生産的に働くことができ、かつ地域に貢献できるような満たされた状態(a state of well-being)である。
関連コラム
職場でのメンタルヘルスケア
組織で働く人のメンタルヘルスをサポートするため、2015年に厚生労働省が労働者の心の健康の保持増進のための指針(改正)を公表しました。職場で取り組むべき4つのメンタルヘルスケアが記載されています。1、セルフケア
従業員が自らのメンタルヘルスに気を配る、メンタルヘルスケアの初期段階です。早い段階でストレスに気づいたり、ストレスが解消されるよう対処します。個人によるストレス状況の把握のために行われるストレスチェック制度は、多くの企業で導入されるセルフケアです。またセルフケアを推進するため、メンタルヘルスに関する情報を提供したり教育研修を行ったりする企業もあります。社内に専門窓口を設置したり定期的に面談の機会を設けたりするなど相談しやすい環境を整えることも効果的です。
2、ラインによるケア
管理監督者を配置することで職場としてのストレス要因の把握・改善を目指します。従業員の相談に応じて職場環境の改善や指導などの対策を行うのが管理監督者です。職場環境を俯瞰してみることで、職場全体でのメンタルヘルス不調の拡大・悪化を防ぎます。ラインによるケアを推進するためには、管理監督者に対してメンタルヘルスに関わる情報を提供したり教育研修を行なったりすることが大切です。3、事業場内の産業保険スタッフなどによるケア
職場内に産業医や衛生管理者などの産業保健スタッフを配置してメンタルヘルスケアに努めます。専門知識をもつ人がセルフケアやラインによるケアをサポートすることで、より有効なメンタルヘルスケアを行うことが可能です。またいつでも相談できる窓口があることで、従業員も積極的にメンタルヘルスケアに向き合えるでしょう。産業保健スタッフには精神的健康に関する教育研修を企画したり職場内の制度や体制を見直したりするなど、職場内環境を見直す役割もあります。4、事業場外資源によるケア
職場外の専門知識を有する機関・サービスを利用したメンタルヘルスケアです。職場内では気軽に相談できないという従業員をサポートしたり、企業全体のメンタルヘルス課題を第三者視点で診断したりします。職場内では解決できない問題にアプローチする手段として有効です。メンタルヘルス研修の導入方法
健康な職場づくりのために注目されるメンタルヘルス。従業員のメンタルヘルスをサポートするため、メンタルヘルス研修を導入する企業が増えています。
メンタルヘルス研修の目的
ストレス耐性の強化とモチベーションの向上、それによる生産性アップが期待できます。メンタルヘルス研修によって従業員一人ひとりがストレスに対する知識と対処法を身につけることで、ストレスに強い職場づくりが可能です。またストレスによるメンタルヘルス不調の不安がない職場では、モチベーションアップや生産性の向上が期待できます。さらにメンタルヘルス研修によって、セルフケア・ラインによるケアの視点を取り入れれば、従業員一人ひとりが自他のメンタルヘルス不調に敏感になり、不調者の早期発見につながります。メンタルヘルス不調は対応が早ければ早いほど回復も早くなるため、健康な職場づくりに欠かせない視点です。
このように生き生きと健康に働ける環境を整えることで離職率の低下につながります。人材不足を解消し、より働きやすい職場環境が実現するでしょう。メンタルヘルス研修はストレスへの対処ばかりでなく、職場課題を解決し利益をうむ効果的なアプローチといえます。
抑えるべきポイント
メンタルヘルス研修で重要なのはストレスへの理解と再発しない仕組みづくりです。メンタルヘルス研修の多くはセルフケアの推進や管理監督者向け研修など、階層によって行われます。そのなかでも自分自身、そして職場内のメンタルヘルス不調に気づくために、ストレスに対する正しい知識と理解、対処法を学ぶことが重要です。また再発防止のための仕組みは職場全体で検討していく必要があります。どの階層においても、ストレスへの理解と再発しない仕組みづくりは大きなテーマになっています。メンタルヘルス研修を導入するために
社内で講座を開きストレスやメンタルヘルスについて理解を深めるほかにも、外部講座に参加したりe-ラーニングを受講したりする方法があります。社内で講座を開くには、専任の担当者を選出したり外部講師を招いてもよいでしょう。民間企業が提供するe-ラーニングサービスを利用すれば、従業員それぞれのタイミングで受講が可能です。企業の働き方や風土にあわせて、より効果的な方法を検討してください。厚生労働省が提供する資料
厚生労働省が職場のメンタルヘルス教育ツールを無料で提供しています。医療や心理学の専門知識がない人でもメンタルヘルス研修を企画できるようまとめられているのが特徴です。主に以下の3つの観点でアプローチしています。労働者個人向けストレス対策(セルフケア)のマニュアル
従業員のセルフケアを推進するマニュアルです。個人でメンタルヘルスを整える方法について解説しています。ストレスについての正しい知識と理解を得た後に、個人ワークやロールプレイを通して自身のメンタルヘルス管理に生かす流れです。パワーポイント資料もあるので、すぐに職場内のメンタルヘルス研修へ活用できるでしょう。管理監督者メンタルヘルス研修のマニュアル
管理監督者がメンタルヘルス研修を行う場合に利用できるマニュアルです。メンタルヘルスの基礎知識を伝えながら、自他のストレスへの気づきを促します。研修を効果的に行うためのテクニックも紹介されているので、メンタルヘルス研修の経験がなくても導入しやすい内容です。管理監督者むけメンタルヘルス研修マニュアル
管理監督者を育てるためのマニュアルです。職場内でメンタルヘルス不調者がでた場合どのような関わりが求められるか、対処法から休職後の職場復帰支援まで解説しています。管理監督者ばかりでなく、管理職の人にとっても有益な情報といえるでしょう。部下のメンタルヘルス不調や管理職ならではの悩みに焦点を当てているので、参考にしてみてください。健康経営とメンタルヘルス研修
従業員が心身とも健康に生き生きと働くことで、経営面での成果を期待する健康経営。健康診断の実施や健康相談といった身体的な健康促進はもちろん、メンタルヘルスをサポートすることで精神的健康を促進する企業もあります。ストレスチェック制度を導入したり職場内で面談の機会を設けたり、メンタルヘルス研修を取り入れるのも一手です。
健康な職場づくりのために、メンタルヘルスの観点は欠かせません。従業員一人ひとりが自らのメンタルヘルスを整えるばかりでなく、職場全体でメンタルヘルスに向き合い改善していくことが重要です。実際にメンタルヘルス研修を取り入れる健康経営推進企業は、その意識を大切にしています。
健康な職場づくりのためのメンタルヘルス研修
メンタルヘルス研修のポイントや導入方法をご紹介しました。従業員一人ひとりが心身とも健康に働くために欠かせないメンタルヘルス。それは健康経営においても重要な取り組みです。専門的な知見は外部のサポートを得ながら、自社にあうメンタルヘルス研修やメンタルヘルスとの向き合い方を模索してください。
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