- 働き方改革
- 2022.08.14
テレワークとリモートワークの違いとは?向いている人やメリット・デメリットもご紹介
- 目次
近年、テレワークやリモートワークを導入する企業が増えていますが、テレワークとリモートワークの違いについてご存じでしょうか。
この記事ではテレワークとリモートワークの違いと、同じような意味合いとして捉えられている在宅勤務についてもご紹介します。 これから転職活動を行う人は、就職後に「理想の働き方と違った」とならないように、それぞれの違いを知っておきましょう。
テレワークとは
テレワークは、Tele(離れた)とWork(働く)を組み合わせた造語で、厚生労働省の関連組織である一般社団法人日本テレワーク協会によって、以下のように明確に定義されています。
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
引用:日本テレワーク協会
テレワークという言葉は1970年代にアメリカで使われ始めました。アメリカ航空宇宙局(NASA)の業務を自宅で行っていた物理学者が、その時の勤務体制を「テレコミューティング」と言ったのが始まりとされています。日本では、1980年代に大手電気会社で「サテライトオフィス勤務」が行われたことがテレワークの始まりとされています。
テレワークの3つの働き方
テレワークのなかでも、自宅や小さなオフィスを事業拠点とする小規模事業者は「自営型テレワーク」と言われます。一方で、組織に属しながらテレワークで働く「雇用型テレワーク」には、以下でご紹介する3つの労働形態があります。
在宅勤務
在宅勤務とは、オフィスに出社せず自宅で仕事をする勤務形態を指します。勤務時間は自宅で業務をこなし、電話やメール、チャットツールやオンライン会議システムなどを利用して、会社や社外の取引先と連絡を取ることになるため、インターネット環境が必須です。
育児や介護などで、長時間自宅を空けることが難しい人でも、仕事をすることができます。
モバイルワーク(モバイル勤務)
モバイルワークとは、外回りの合間などにノートパソコンなどで仕事をすることです。カフェなどの職場以外の場所で仕事をすることもモバイルワークになります。
在宅勤務と同じようにWi-Fiなど屋外で利用できるインターネット回線が欠かせません。外出先で仕事をすることになるので、セキュリティー面には一層の注意が必要でしょう。無料のWi-Fiスポットは便利に利用できますが、専用のモバイル回線を使うことをおすすめします。
サテライトオフィス勤務
本来のオフィスとは別に、離れたところに設置されたオフィスで働くことをサテライトオフィス勤務と言います。レンタルオフィスやコワーキングスペースなど、インターネット環境が整っている場所を利用することもあります。
リモートワークとは
それでは、リモートワークとは何を意味するのでしょうか。結論からいうとテレワークとリモートワークに明確な違いはありません。
テレワークには明確な定義がありますが、リモートワークは特に定めがありません。リモートワークを分解すると、remote(遠隔・遠い)とwork(働く)になり、オフィスから離れて働くことを意味することになります。これは、テレワークの勤労形態と大きな違いはありません。しかし、リモートワークから派生した、働き方を示す言葉もあります。
リモートワークの種類は主に3つ
リモートワークには、おもに3つの種類があります。
ハイブリッド・リモートワーク
ハイブリッド・リモートワークとは、オフィスに勤務しながらリモートワークでも勤務することがある働き方で、働く場所を選択できることがメリットです。基本はリモートワークで、ミーティングや取引先との打ち合わせなど、必要に応じてオフィス勤務になる働き方です。
フルタイム・リモートワーク(フルリモート)
ハイブリッド・リモートワークの対義語として存在するのがフルタイム・リモートワークです。原則としてオフィス勤務がありません。正社員として企業に属しながら、勤務時間は自宅などで業務を行う働き方です。
ミーティングなどのコミュニケーションはチャットツールやオンライン会議システムを利用し、出社することはありません。
テンポラリー・リモートワーク
テンポラリー・リモートワークとは、オフィス勤務とリモートワークを組み合わせた働き方で、ハイブリッド・リモートワークと似ています。その違いは、テンポラリー・リモートワークはオフィス勤務を基本とする点です。テンポラリー(一時的な)とあるように、子育てや介護などの事情で一時的にリモートワークをする働き方となります。
テレワーク・リモートワークが向いている人
テレワーク・リモートワークの働き方はどのような人に向いているのでしょうか。 ここでは、テレワーク・リモートワークに向いている人の特徴をいくつかご紹介します。
通勤が困難な人
育児や介護、身体に障害があるなどの理由で通勤が難しい人にとって、テレワーク・リモートワークは理想の働き方と言えるでしょう。また、ケガをしてオフィスへの出社が難しくても、在宅であれば仕事ができます。
顧客先で業務を行う人
顧客対応が主な業務となる人も、オフィス勤務が少なくても業務に支障が出にくいと言えます。営業やサポートサービスなどは、顧客先に出向いて仕事を行うこともあるため、もともとモバイルワークの時間が多い業務でしょう。
ツールで効率化できる業務や思考力が問われる業務を行う人
管理・評価ツールなどの登場で効率化が進んでいる分野の業務であれば、必ずしもオフィス勤務である必要はないでしょう。また、新しい分野における研究や開発など思考力を問われる業務も、オフィスで働く必要性はないかもしれません。
テレワークとリモートワークの使われ方の違い
テレワークとリモートワークには大きな違いはありませんが、使われ方にはちょっとした違いがあります。明確な基準が決められているわけではありませんが、それぞれについて使われ方の傾向をご紹介します。
政府・公的機関・大企業で使われるのはテレワーク
テレワークは、政府・公的機関・大企業で多く使われる傾向にあります。日本では1980年代から使われ始めていて、公的機関や大企業は慣習的にテレワークを使用することが多いと言われています。
IT企業やフリーランスに使われるのはリモートワーク
新しい風潮を好むようなIT系やクリエイティブ系の企業は、リモートワークを使うことが多いかもしれません。フリーランスで働く人の働き方としても、リモートワークを用いるのが多い傾向です。
また、何気ない会話でも多用されるのはリモートワークの方でしょう。リモート会議やリモート飲み会など、オンラインツールを使って直接会わないことを、あたまに「リモート」を使って表現することが多くなりました。
テレワーク・リモートワークのメリットとデメリット
ここでは、企業側と従業員側にわけて、テレワークとリモートワークのそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
企業側のメリット
テレワーク・リモートワークを導入する企業側のメリットは、固定費が抑えられることです。従業員のオフィス出社がマストでなくなれば、交通費やオフィスの光熱費、家賃などを抑えることができます。
また、柔軟な働き方ができるため、スキルの高い人材を確保できたり離職防止につながる可能性があります。そのほか事故や災害などが起こっても必要最低限の業務が自宅で継続できることもあるでしょう。
従業員が満員電車や長時間の通勤から解放されることで、ストレスがなくなり、仕事の生産性の向上も見込めます。
企業側のデメリット
一方で、従業員がそれぞれ別の場所で働くことになると、社員一人ひとりの仕事内容や責任の範囲が曖昧になる可能性があります。各自が正しい自己判断ができないままだと、業務の進行に支障をきたすことになるでしょう。
業務に取り組む姿勢が見えづらくなり、コミュニケーションが少なくなることで、作業効率が低下する可能性があります。また、オフィス以外の環境で仕事をすることを考慮して、セキュリティ環境も強化しなければなりません。
それに伴い、新しく人事制度や環境整備が必要になります。
従業員側のメリット
従業員側としては、ワークライフバランスの改善が大きなメリットです。
通勤時間を大幅に削減できるため、そのぶんプライベートな時間を確保することができメリハリのある生活を送ることができるようになるでしょう。また、育児や介護、持病の治療などとの両立がしやすくなり、場合によっては退職を考えるような状況でも仕事を継続することが可能になります。電話対応や来客対応、周りの雑音などに邪魔されることがないため、オフィスよりも集中しやすい環境で業務に取り組むことができ、業務効率の改善化も期待できます。
従業員側のデメリット
自宅で仕事をする場合、環境整備のための費用負担が発生します。Webカメラなど機材の導入や、デスクや椅子の購入が新たに必要になる人も多いでしょう。そのほか、在宅時間が増えることにより、電気代・水道代・通信費なども増えることが考えられます。
また、オンオフの切り替えが難しく、いつまでも仕事を続けてしまう可能性もあります。
テレワーク・リモートワークのデメリットを解決するツール
テレワーク・リモートワーク には、メリットだけでなくデメリットもありますが、デメリットを解決できるツールがあります。
コミュニケーションツール
離れたところで仕事をする場合、コミュニケーションツールは必須と言えます。なかでも、チャットツールはテレワークを実施していない企業でも、取り入れられていることも多いツールです。
データ添付や音声チャットなどの機能もついていることが多く、メールのように長文を用意する必要がないので効率的です。
Web会議ツール
オンラインで会議を行う機会も増えるでしょう。その場合はWeb会議ツールがあると便利です。同時に複数人をつなげることもでき、パソコンではなくスマートフォンでも使えることがほとんどです。また、画面越しで話せるツールを用意しておくと、メールやチャットでのテキストでは伝わりにくいニュアンスも伝わり、業務がスムーズに進むでしょう。
ファイル共有ツール
複数人でファイルを共有するためのツールを導入しておくと便利です。資料や書類などのデータを、オンラインで閲覧、編集ができます。
電子印鑑ツール
オフィス勤務であっても、ほとんどの企業がパソコンを使用しているはずです。そこで導入する企業が増えているのが電子印鑑ツールです。電子印鑑ツールがあればパソコンに保存した電子印鑑を書類に挿入することで押印が終わり、わざわざ朱肉を用意する必要はありません。
勤怠管理ツール
勤怠管理ツールは、インターネット上で、始業・休憩時間・終業時間を記録できるツールです。また、有給日数や残業時間も含めて勤怠に関わるデータを全て管理できるものもあります。勤務体系ごとに労働時間を自動集計できるなど、管理コストの削減ができるでしょう。
さまざまな働き方を知って理想的な職場を見つけよう
テレワーク・リモートワークという働き方が広がり、仕事をするためには会社に出社しないといけないというこれまでの常識がなくなりました。自分の働き方にあった職場を見つけることで、プライベートの時間が確保でき、毎日がより充実したものになるでしょう。
企業のなかには、従業員の心身の健康のためにメリハリをつけて働くことを推奨し、「健康経営」を導入しているところもあります。今後、転職活動をする人は、柔軟な働き方ができるかどうかも仕事を選択する指標にするといいかもしれません。
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