• 健康経営
  • 2022.07.31

新卒3ヶ月で退職を考えたときに|退職理由の伝え方やその後の転職活動について解説

転職活動をする女性
目次

新卒入社から3年以内に退職する人が約3割、そのうちの約4割は1年以内に退職している現状があります。新卒入社3ヶ月で退職を考える人も少なくありません。しかし新卒者の早期退職は「甘えと批判されないか」「再就職先が見つかるか」などの不安があるでしょう。今回は新卒入社の若年層が抱える仕事に対する悩みや退職の際の注意点、転職活動のポイントをご紹介します。

新卒3ヶ月で退職は早すぎ?

頭を抱える若手ビジネスマン


新卒3ヶ月の退職は早期退職にあたります。どのような点に注意すべきか、そのポイントをご紹介します。

3ヶ月で退職しても第二新卒にあたる

3ヶ月という早期退職でも就業経験にあたります。転職活動の際には第二新卒として表明しなければならないので、注意が必要です。もし新卒と偽って転職活動をした場合、経歴詐称にあたります。内定が取り消しになるケースもあるので、経歴を隠さず転職活動をしましょう。

新卒1年目で会社を退職する人は少なくありません。2021年10月に公表された新規学卒就職者の離職状況によると、2020年の大学卒業者のうち1年以内に退職した人は全体の10.6%、短大卒業者では16.2%を占めています。また高校卒業者、中学校卒業者と低年齢になるほど早期退職の傾向が顕著です。このようなことから、少なくとも10人に1人が1年以内に退職している現状があります。

退職の理由は?

新卒1年目の退職理由には人間関係の不和や、給料などの福利厚生、労働時間や休日などの労働条件といったことに不満を感じることが多いようです。2021年12月に公表された令和3年上半期雇用動向調査結果の概況では、24歳以下の退職理由として、その他の個人的な理由を除くと「職場の人間関係が好ましくなかった」「会社の将来が不安だった」「給料等収入が少なかった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」などが多くあげられました。たしかに仕事を覚える前の新卒1年目にとって、仕事の内容や自らのスキルを生かせないなどの不満を感じることは少ないかもしれません。

こうした現状のなかで新卒1年目の退職を、本人の弱さや甘えからくるものとして批判的にとらえる傾向があります。しかし体力的にも精神的にもつらい職場で体を壊してしまうことの方が、大きなデメリットです。うつ病などの精神疾患のリスクもあります。仕事が本当につらいと感じたら、退職も立派な選択肢のひとつです。

退職を迷っている場合のチェックポイント

退職を迷う場合には、以下の点についてよく考えてみましょう。
  • 部署異動で解決できないか
  • 相談に乗ってくれる上司や先輩に相談してみる
  • 会社が労働基準法に違反していないか
  • キャリアプランを考えなおす
人間関係の問題は、部署異動で解決する場合があります。また仕事内容に対して不満を感じるときは、上司や人事に相談して部署異動を検討してもらうのも効果的です。また抱えている悩みを上司や先輩など信頼できる会社の人に相談してみると、解決策が見つかるかもしれません。会社が労働基準法に違反している場合には、早期に転職を検討した方がよいでしょう。労働時間や内容、収入などに不満を感じ、それが極端に劣悪な条件である場合は法律に違反している可能性があります。

退職を決意する際には、自らのキャリアプランとしっかり向き合ってみてください。一時的な感情に流されず、冷静に考えることが大切です。本当に辞めてもよいか、今後自分はどうなっていきたいのかを考えることで、退職に対する迷いも解消されるでしょう。

早期退職の注意点

自宅でパソコン作業をする女性
新卒1年目の退職は、数年働いた場合と比較してリスクがあるといえます。以下の注意点をあらかじめ確認して、後悔のないように行動することが大切です。

失業手当はもらえないことが多い

雇用保険に加入していると、失業や自己都合退職の際に失業手当を受給できます。しかし1年以上働いた場合にのみ支給され、3ヶ月など短期間での退職は対象外です。ただし会社の倒産や突然の解雇など、会社都合による退職は勤続1年未満でも失業手当を受け取れるので確認しましょう。

転職活動に響く可能性がある

早期退職という経歴が、転職活動の際に悪印象を与えることがあります。面接先の企業に「就職してもすぐ辞めてしまうのでは」と思われてしまう場合です。実際に、労働政策研究・研修機構が2020年3月に発表した若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱによると、新卒1年目で退職した人のうち、1年以内に正社員に転職できた人は男性39.1%、女性32.1%と、3〜4割程度でした。正社員としての転職活動が難しい現状がある一方で、契約社員など正社員以外の働き方をした人は男性46.2%、女性54.6%と4〜5割というデータが得られています。もちろん正社員雇用が絶対条件ではありませんが、転職活動が困難であるという現状を受けとめる必要がありそうです。

その後の転職活動

記入する前の履歴書
退職後は各種手続きを行い、なるべく早く転職活動を始めましょう。まず退職後に行わなければいけない手続きとして、以下があります。
  • 住民税の支払い手続き
  • 年金の切り替え
  • 健康保険の切り替え
  • 失業手当の申請(勤続1年以上、もしくは会社都合による退職の場合)
退職後は以上4つの手続きをする必要があります。退職後すぐに失業手当と住民税の支払い手続きを済ませ、退職後14日以内に年金の切り替え、14日もしくは20日以内に健康保険を切り替えましょう。会社から受け取る書類もあるので、退職後の手続きは事前に調べて準備しておくのがおすすめです。

転職する際は、できるだけ早く転職活動を始めましょう。離職期間が長いと転職に不利になる可能性があります。できれば在職中から並行して転職活動をするとよいでしょう。早期退職後の転職は難しい傾向があるので、あらかじめゴールを定め、スケジュールを作成しメリハリをもって行動することが大切です。

新卒3ヶ月でスマートに退職するコツ

退職願を書く手元
退職を決意した後、会社にどのように伝えるかは重要なポイントです。事前にしっかり準備をして、自分にとっても会社にとっても不都合のない退職にしましょう。

退職前に金銭的な負担を考える

早期退職のリスクを理解して、準備を進めておくことが大切です。新卒1年目の退職は退職金やボーナスがないことも多く、自己都合退職の場合は失業手当も出ません。金銭的に不安定になるので、あらかじめ退職後の生活をシミュレーションしておきましょう。

退職を切り出すのは1.5〜3ヶ月前

会社は新規事業の開始や人事異動、人材確保などを行わなければなりません。退職意思を伝える際には以下の点に注意しましょう。
  • 退職予定日の1.5~3ヶ月前には退職意思を伝える
  • 繁忙期や忙しい時間帯を避ける
  • 直属の上司に、個別で話ができるところで相談する
  • 会社の事情に配慮して退職理由を伝える
早期退職の場合も、最低限のマナーを守る必要があります。退職にあたって、社内規定を1度確認しておくと安心です。退職時にトラブルになると転職活動に支障が出る恐れがあります。感情的になったり一方的な要求を通そうとせず、丁寧な言動と対応を心がけましょう。

転職を成功させるポイント

対面で握手するビジネスパーソン
新卒3ヶ月で退職すると、転職活動が難航する現状があります。第二新卒としてスタートする転職活動ですが、企業に「すぐ辞めてしまうのでは」と懸念され、転職先がなかなか決まらないケースです。しかし以下のポイントを抑えることで、転職を成功させる確率が高まります。参考にして、しっかりと準備をしたうえで転職活動に挑んでみてください。

自己分析をする

まずはしっかりと自己分析をして、自分とマッチする業界・職種を見つけることが大切です。ニーズに沿わない転職は、2度目の早期退職につながる可能性もあります。転職活動を始める前に、まずは以下の点を考えてみるとよいでしょう。
  • 転職して実現したいことを明確にする
  • 自分の性格について分析する
  • これまでのキャリアと持っているスキルを書き出す
  • プライベートでの興味・関心について振り返る
  • 強みと弱みを言語化する
以上の点について、深掘りしたり整理したりしてまとめます。そうして準備しておけば、面接の際にも自信をもって答えられるでしょう。またあらかじめ面接練習をすることで、どのような質問が来ても答えられるように備えておくことが大切です。

退職理由を前向きに伝える

転職活動の際に企業が最も気になるのは、前職の退職理由でしょう。「この人は就職してもすぐ辞めてしまうのでは」という懸念を払拭するため、前向きな理由で退職の経緯を説明する必要があります。「業務内容については自分の確認不足であった」と自身の非を認めたり、「もっと挑戦できる環境で働きたいと思った」とポジティブな理由を述べると好印象です。大切なのは就業経験を隠さず、以前の就業先を否定しないこと。自分を謙虚に振り返りつつ、これからどうしていきたいかという前向きな姿勢をアピールすることが重要です。

経歴を偽らない

経歴を偽ることは経歴詐称にあたります。入社後数ヶ月で退職した場合でも、経歴としてしっかりと公表して転職活動に臨みましょう。社会人経験が浅い人は、プライベートでの興味・関心を深掘りしておくことがおすすめです。仕事では発揮できなかった能力やスキルが見つかる場合があります。またコミュニケーション能力や前向き志向など、人柄や考え方がアピール材料になることもあるので、しっかり自己分析を行いましょう。

従業員の「働く」をサポートする健康経営推進企業

転職活動の際には、従業員が長く健康的に働くことを推進する健康経営企業も視野に入れるとよいでしょう。従業員が身体的・精神的に健康に働くことを支援しているので、働きやすい環境が整備されており、長く生き生きと働けるかもしれません。健康経営の取り組みは、健康経営銘柄や健康経営優良法人マークによって確認できます。転職活動の際に参考にしてみてください。

人手不足の現状から、近年では第二新卒への採用ニーズが高まっています。離職率の低いホワイト企業や、大手の優良企業でも積極的に採用活動が行われているので、焦らず着実に転職活動に挑みましょう。また転職エージェントやハローワークなどでサポートを受けるのもおすすめです。数多くの求人から適性や希望にあわせてピンポイントで企業を紹介してくれます。さらにキャリアの棚おろしや履歴書の作成、面接の練習などをサポートしてくれる場合もあります。無料で受けられるので、気軽に利用してみるとよいでしょう。

早期退職しても、働きつづけるために


今回は新卒入社の若年層が抱える仕事に対する悩みや退職の際の注意点、転職活動のポイントをご紹介しました。新卒3ヶ月で退職を考える人は少なくありません。さまざまな悩みを抱えるなかで、退職も一つの選択肢です。しかしリスクをともなう場合もあるので、事前にしっかりと考え、準備したうえで退職を決断する必要があります。そして退職を悲観的にとらえすぎず、自身の将来について前向きな姿勢を忘れないことが大切です。早期退職後も働き続けるために自分のキャリアと向き合って、実現したいこと、そのために必要なことを考え行動しましょう。

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