- 働き方改革
- 2022.06.28
短時間勤務制度はいつまで?メリットやデメリット、育児や介護のための活用方法をご紹介
近年、働き方の多様化によって注目を集める短時間勤務制度。フルタイムより勤務時間を短くすることでプライベートにかける時間を増やせる制度ですが、どのようなメリット・デメリットがあるでしょうか。短時間勤務制度の特徴と活用方法をご紹介します。
短時間勤務制度とは?
働き方改革により、ワーク・ライフ・バランスが注目されています。仕事も家庭も大切にしたいという働き世代のために、国がさまざまな制度を整備しています。短時間勤務制度もそのひとつです。従業員からの申し出があれば、1日の勤務時間を短縮できることが法律で定められています。その背景や適用条件を詳しくみていきましょう。
少子高齢化問題に対応するため、育児・介護支援として導入
短時間勤務制度は、日本の少子高齢化問題に対応するために設けられました。2009年に育児・介護休業法が改正され、仕事と家庭を両立できる環境が整えられた背景があります。それまでは、結婚や出産といったライフイベントや、親の介護などの家庭の事情において仕事をしながら家庭生活を充実させることは難しく、仕事か家庭かの選択を迫る社会でした。近年、働き方改革によってその両立をすすめられています。2021年には、厚生労働省が育児・介護休業法を大きく改正し、短時間勤務が改めて注目されました。
子どもが3歳未満まで、介護は利用開始日から連続する3年以上
育児・介護休業法において、いつまで短時間勤務が適用されるかは、子育てか介護かによって異なります。まず子育てのために短時間労働勤務を利用する場合、子どもが3歳に達する日までが利用可能期間です。事業主には、3歳未満の子どもを育てている従業員がいる場合、短時間勤務制度を設けることが義務付けられています。介護が理由で短時間勤務を利用する場合は、利用開始日から連続する3年以上の期間で、2回まで取得が可能です。適用期間に決まりはないので、期間や取得のタイミングを企業と従業員が話しあって決められます。
適用条件をチェック。パートでも条件を満たせば適用可能
短時間勤務制度は、適用に条件があります。次のような条件を満たせば、パート勤務でも短時間勤務制度を利用できるので、あらかじめチェックしておきましょう。子育てにあたって短時間勤務制度を利用する場合は、以下のような条件があります。
- 3歳に満たない子供を養育する労働者であること
- 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
- 日々雇用されていないこと
- 時短勤務制度が適用される期間に育児休業を取得していないこと
- 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと
介護による短時間勤務の対象者は、要介護状態にある家族を持つすべての従業員です。要介護状態とは、負傷、疾病、身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のこと。地域包括支援センターに申請し、調査のうえで認定されます。ただし、介護休業の取得開始予定日の93日後から6か月が経つまでに労働契約期間が満了し、契約更新がないと分かっている場合は対象外となるので注意しましょう。
上記の条件に当てはまらない人でも、利用可能な制度があります。必ず会社にいなければならないと定められたコアタイムを守れば、自由に出社と退社の時刻を決めることができるフレックスタイム制度は、朝夕の出退勤時間を調整できます。また、出勤時間をずらすことができる時差出勤制度は、子どもや要介護者の生活リズムにあわせた時間調整が可能です。さらに、事務所内保育施設を設置することも、子育て世帯の負担軽減に有効でしょう。
給与が減額されることもある
短時間勤務制度を利用することで短縮された勤務時間に対して、給与を支払うか否かは企業によって異なります。短縮分の減給は違法ではなく、他の手当に影響が出る場合もあります。また、給与額に応じて変動する社会保険料は、給与総額の減少によって減額されます。しかし、給与の下がり幅に対してそれほど大きな減額ではないのが現状です。子どもの養育時期に対しては、養育期間標準報酬月額特例申請書の提出によって特例措置を受けられるので、チェックしておきましょう。短時間勤務制度を利用することで従業員に不当な不利益が生じることは禁じられています。企業と従業員の間で認識の違いが生じないよう、事前にしっかりと話し合うことが大切です。
短時間勤務のメリット
短時間勤務制度には、利用する従業員にとってはもちろん、企業にもメリットがあります。制度利用にあたってのメリットを紹介しましょう。
時間の余裕ができる
仕事に割く時間が短縮され、プライベートの時間をとりやすくなります。子育てや介護に時間を使えるので家族との時間が増え、ワーク・ライフ・バランスの調整が可能です。これによって、従業員の生活満足度が向上し、よりいっそう生き生きと仕事に取り組めるでしょう。多様な働き方の支援
短時間勤務制度を適用することで、長く働きやすい会社づくりにつながります。社歴の長いベテラン社員が、育児や介護を理由に離職することは企業にとっても大きな損失です。短時間勤務制度を導入し、働きやすさをアピールすることは、社員の離職率を抑えることにつながります。また、健康経営の取り組みも働きやすい会社づくりのひとつです。心身ともに健康な働き方を支援する健康経営制度を導入する企業には、労働環境や労働条件について配慮する事例も多くあります。子育てや介護に関わらず、同じ会社で長く働きたい人は、転職活動の際など意識してみるとよいでしょう。
短時間勤務のデメリット
短時間勤務制度は企業に導入が義務付けられていますが、その詳細な条件は従業員との話し合いによって決定します。また、新しい制度であることから、導入後に企業と従業員の間や従業員同士でトラブルが起こることもあるようです。短時間勤務制度によって生じるかもしれないデメリットについて紹介します。
収入が減る
給与の算出方法は企業によって異なります。短縮時間分の減給も違法ではありません。また、その他の手当に影響することもあるので、従業員には収入が大きく減るデメリットがあります。トラブルにならないよう、制度を適用する前に企業と従業員の間で条件をしっかり確認しておきましょう。キャリアプランの見直し
短時間勤務によって、業務量が配慮される場合があります。これまで通りの仕事ができず、経験や成長機会が失われることで、キャリアプランの見直しを迫られるかもしれません。しかし、キャリアプランが変わることは悪いことではありません。ライフステージが変化するたびに自分にとって何が1番大切なのかを整理し、長期的な視点でキャリアプランを考えましょう。社内の人間関係の問題
短時間勤務によって従業員間での業務調整が行われ、周囲の負担が増えることがあります。これにより同じ職場で働く人がストレスをためることは、どの企業でも起こりうるトラブルです。短時間勤務利用者はそのことを理解したうえで、周囲の協力を得られるよう良好なコミュニケーションを図りましょう。また、すべての人が気持ちよく働ける職場環境を目指して、お互いが思いやりある言動を心がけることが大切です。短時間勤務制度をつかって自分らしい働き方を実現しよう
近年注目される、短時間勤務制度の特徴と活用法をご紹介しました。働き方改革によって、多くの企業が自分らしく、柔軟な働き方を認めています。育児・介護休業法で定められた短時間勤務制度をはじめ、時間差勤務やテレワーク、フレックス制度など、その取り組みはさまざまです。制度を活用しながら、ワーク・ライフ・バランスを意識した自分らしい働き方を見つけましょう。
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