• 健康経営
  • 2022.05.28 (最終更新日:2022.05.30)

母性健康管理措置とは?妊娠中も働く女性のサポートをご紹介

妊婦さん
目次

母性健康管理について知り、妊娠や子育てに関する不安を解消する

キッチンの前に立つ妊婦

女性は妊娠・出産・子育てとライフステージが変わるにつれて働き方も柔軟に対応する必要があります。妊娠するとうれしい気持ちとともに、今後の働き方について不安を感じる方も多いでしょう。

今回は妊娠中の女性を守る母性健康管理という制度についてご紹介します。

母性健康管理措置について

はてな

母性健康管理措置とは、男女雇用機会均等法により定められている妊娠中・出産後の女性のための措置です。

妊娠中・出産後1年以内の女性が健康診断や保健指導の際に、主治医から何らかの指導を受け企業に申告した場合、指導を守れるように企業側も必要な措置をすることが義務付けられています。

ここでは実際に母性健康管理措置で受けられる措置などについて見ていきましょう。

受けられる措置は?

母性健康管理措置では、以下のような措置を受けることができます。

  • 保健指導や健康診断を受けるための時間を確保
  • 医師等からの指導を守れるように融通をきかせる
  • 妊娠・出産を原因とする不当な扱いを禁止
  • 紛争の解決

妊娠すると保健指導や定期検診に行かなければなりません。そのため、企業側には妊娠23週までは4週間に1回、24週〜35週までは2週間に1回、36週以降は出産までに週1回は検診に行く時間の確保が義務付けられています。

その他、つわりや体調が悪い時なども医師からの指導で時差通勤などの通勤緩和や休憩時間の延長、作業の制限などを求められた場合はそれに応じなければなりません。どのような職場でも法律で決まっているため、妊娠中肉体的に辛い場合は、無理せずに措置を受けるといいでしょう。

しかし、中にはこのような措置を受けたことが理由で不当な扱いを受ける職場もあるようです。母性健康管理措置では妊娠・出産を原因に解雇や正社員から非正規社員への変更を要求するなど、不利益になる扱いを禁止しています。

妊娠中の女性に対するハラスメントとして知られている「マタハラ」の防止も、法律で義務化されているため、そのような扱いがあった場合は訴えることも可能です。

また母性健康管理措置を受けられず、企業との間で紛争が起きた場合は紛争解決援助の申請ができます。万が一訴えて調停などになった場合、こちらの制度を利用するのがおすすめです。

この措置は産後1年以内の女性も対象であるため、子供が1歳になるまでは検診などの時間を確実に確保できるでしょう。

休暇取得の際、無給になる場合も

健康診断や保健指導を受診するために休暇を取得する際、給与に関する規定は法律上ありません。そのため、企業によっては休暇取得分は有給休暇でない限り無給になる可能性があります。

厚生労働省の調査によると、妊娠中及び出産前後の通院休暇制度を設置している企業のうち、約47%が有給という結果がでています。

有給の企業は全体の5割ほどであるため、妊娠・出産に対する休暇などの制度を整えている企業を選ぶといいでしょう。

母性健康管理指導事項連絡カードとは?

医師と妊婦

母性健康管理指導事項連絡カードとはどのようなカードなのでしょうか。ここでは母性健康管理指導事項連絡カードについて、活用法などをご紹介します。

母性健康管理指導事項連絡カードについて

母性健康管理指導事項連絡カードを使用して医師等から受けた指示を企業へ伝達できます。休養が必要だったり、業務を制限したりする必要があると医師から指示を受けた場合、このカードで企業に伝達します。

妊娠中・産後は様々な不調やトラブルがつきものです。特に立ち仕事やシフト制の職場、もともと残業が多いなど職場環境によっては妊娠中の女性に適していない場合もあるでしょう。

もし心配事がある場合は、主治医に相談をして母性健康管理指導事項連絡カードに書いてもらうことをおすすめします。

企業側は、男女雇用機会均等法の定めで母性健康管理指導事項連絡カードに記載されている事項は守らなければならない決まりがあります。

体調が悪い時や胎児の健康に害を及ぼす可能性がある時などは無理をせず、自身の体を優先しましょう。

母性健康管理指導事項連絡カードの使い方は?

基本的には医師に必要な措置の指導を書いてもらって活用します。妊娠・産後の健康診断などの結果で、通勤緩和や業務制限、休憩時間の延長や入院による休業など、必要な措置を母性健康管理指導事項連絡カードに記入してもらいます。

その後記入してもらった母性健康管理指導事項連絡カードを企業に提出して必要な措置を申し出ましょう。これにより企業は医師の指導に沿って必要な措置を行います。

しかし、母性健康管理指導事項連絡カードは企業によっては知られていない場合があり、提出をしても無視をされる可能性があります。
実際に提出しても通勤緩和や勤務時間の改善措置などを拒否されるケースがあり、やむを得ずに退職する女性が多いことも課題です。

万が一無視をされたり、マタハラにあたる扱いを受けたりした場合は、母性健康管理指導事項連絡カードとは別に診断書を書いてもらうのもいいでしょう。

母性健康管理指導事項連絡カードを認知していなくても、診断書であればほとんどの企業が認知しています。中には母性健康管理指導事項連絡カードと診断書の2種類の提出を求める企業もあるようです。

母性健康管理指導事項連絡カードも正式な書類ではありますが、会社の規定によっては診断書の方が効力が高いことが考えられます。診断書の方が費用は高くなりますが、企業が医師からの指導に沿った措置を行わない場合は診断書の提出をおすすめします。

妊娠・子育て中も安心して働ける企業を選ぶ

赤ちゃんと夫婦

母性健康管理措置が義務付けられているにもかかわらず、マタハラなど子育てをする女性に厳しい労働環境があるのが現状です。将来子どもが欲しいと考えている方や、現在子育て中で職場の環境が厳しい方は、子育てがしやすい企業を選ぶのも手段のひとつです。

ここでは妊娠中・子育て中も働きやすい企業をご紹介します。

女性が働きやすい企業の特徴

女性は妊娠・出産・育児などライフステージが変わるにつれて働き方も変化させる必要があります。そのため、各ライフステージに合わせて働き方を柔軟に対応してくれる企業が望ましいでしょう。

女性が働きやすい企業の特徴として、以下のことが挙げられます。

  • 育児経験のある女性が多い
  • 管理職に育児経験者がいる
  • 残業がない
  • 時短勤務制度がある
  • 有給がとりやすい

育児と仕事を両立させることが難しい職場であれば、育児経験のある女性はほとんど残らないでしょう。そのため育児経験のある女性が多いことは、子育てをしながらでも働きやすい企業の指標になります。

また、管理職に育児経験者がいることで育児中の時短勤務や急な早退・欠勤などの理解を得ることができます。特に子供が小さいうちは急な発熱などにより早退や欠勤をしなければならない時が多いでしょう。

早退や欠勤の許可を出す管理職が育児経験者であれば、このような事態が起きても理解を得られます。子供の体調に合わせて柔軟に対応してくれる可能性が高いでしょう。
また妊娠・子育て中は夜遅くまで勤務することは難しくなります。残業がなかったり時短勤務制度があったりと、勤務時間も希望に合わせて対応してくれる企業は、妊娠・子育て中の女性にとって働きやすいでしょう。

とくにシフト制の職場は早番を増やしてもらうなどの協力が必要です。子供の学校行事や保護者会など、学校に出席しなければならない時もあるため、有給が取りやすい企業を選ぶのもおすすめです。

健康経営に取り組む企業

健康経営とは、企業の業績を上げるために社員の健康に投資をする経営戦略のことです。健康経営に取り組む企業は社員の健康を大切にしており、残業の削減や健康診断を受診する時間の確保、有給消化率の向上など働きやすい環境を整えています。

そのため妊娠・子育て中の女性も働きやすい企業が多いでしょう。経済産業省では、健康経営優良法人の認定を行っており、毎年健康経営優良法人を発表しています。また、その中の上位500以内に入る企業は大企業であればホワイト500、中小企業であればブライト500に認定されています。

妊娠・出産後も働きやすい企業への転職を考えるのであれば、ホワイト・ブライト500の企業の中から選ぶのもおすすめです。

くるみん認定企業から選ぶ

くるみん認定企業とは、「子育てサポート企業」として厚生労働省から認定されている企業です。
次世代育成支援対策推進法に基づいて、子育て中の社員をサポートする制度を実行し、一定の基準を満たした企業が認定されます。

くるみん認定企業には、プラチナくるみん認定制度とくるみん認定制度の2種類があります。プラチナくるみん認定制度に認定されるには、くるみん認定制度を受けた上で、男性の育休取得率を高くする、残業時間の削減といった高い基準を満たす必要があります。

共働きの夫婦は、男女共に育休取得率が高いプラチナくるみん認定の企業を選ぶことをおすすめします。

まとめ

妊婦さん

今回は、妊娠中・出産後も安心して働くために、知っておくべき母性健康管理措置についてご紹介しました。妊娠を理由に上司に文句を言われたり、会社に迷惑がかかると気にしたりして無理して働くことはあってはならない事です。

とくに妊娠初期は流産しやすく、心身ともに健やかにゆったりと過ごすべき時期です。仕事の心配をせずにマタニティライフを楽しむためにも、母性健康管理措置で受けられる措置を知り、母性健康管理指導事項連絡カードを活用しましょう。

中には母性健康管理指導事項連絡カードを認知しておらず、企業から拒否されるケースもあるかもしれません。そのような企業では、出産後も働きにくい環境であることが予想されます。

ホワイト・ブライト500や、くるみん認定企業など子育て中の女性が働きやすい制度が整っている企業に転職するのもいいでしょう。

子育てと仕事を両立させるために、働き方を見直すことをおすすめします。

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