• 健康経営
  • 2022.04.06

認知行動療法とは?実践方法や自分でやるときのポイント

目次

認知行動療法で日々の生活を改善しよう

認知行動療法は精神病の治療で導入されていますが、セルフで導入でき、日々の生活でも役立つアプローチです。しかし、どのような手法か、手順や効果がわからない人も多いでしょう。

今回は認知行動療法について、効果や実践の手順、日々の生活やビジネスに役立てる方法まで解説します。

認知行動療法(CBT)とは

認知行動療法(CBT)とは、認知の仕方を変え、行動習慣を変化させることで、心のストレスを緩和させる治療方法です。厳密にはカウンセリングとは異なるものですが、混同して使われている場合もあります。

精神病への治療として、認知行動療法は導入されていますが、日常生活やビジネスでも応用できるアプローチです。

どのような考え方か次で解説します。

自分の考え方と行動に焦点を当てる

認知行動療法は自分の考え方と行動に焦点を当てる手法です。自分の気持ちが、考え方と行動に影響を与えていると認知行動療法では考えています。

たとえば「学校のテストで95点だった」事例を考えてみると、「95点も取れた」と認識するのか、「95点しか取れなかった」と認識するのかは大きな違いです。

自分の考えを認識し、その認識が行動にどう影響しているのか整理することで、「このような考え方ができないか」など行動を改善していくにはどうすればよいかを認知行動療法では考えていきます。

「人は変えられないが、考え方と行動は変えられる」というのが、認知行動療法の大前提となります。

自動思考とは

認知行動療法を理解するために知っておきたい言葉が、自動思考です。

自動思考とは何らかの出来事に対して、自然に浮かんでくる思考です。上司から指摘を受けたときに、「嫌われてしまうことに不安を感じる」、「失礼な言い方で不快に思う」などの思考が該当します。

自動思考自体によしあしはありませんが、現実の状況と大きくズレが生じている場合には問題が発生するでしょう。そのため、ある出来事に対してどのような自動思考が働いているかを把握することが認知行動療法の実践には大切です。

認知行動療法の効果

認知行動療法はさまざまなよい効果があります。具体的には以下のものです。
  • 客観的にものごとを把握しやすくなる
  • 柔軟な考え方ができるようになる
  • ポジティブになりやすい
  • 精神病に効果がある
次で解説します。

客観的にものごとを把握しやすくなる

認知行動療法を実践すると、思考が客観的に整理されます。

たとえば、上司からの指摘に対して、「言い方が失礼で怒りを感じる」という場合を考えてみましょう。

認知行動療法では、自分が何に怒りを感じているのか、事実との乖離はないか振り返ります。振り返ってみることで、「実際はそれほど失礼な言い方をされておらず、怒りが過剰だった」のような新たな気づきにつながります。

自分の感情を自覚し、客観的に事実を把握することで、的確な判断や行動ができるでしょう。

ポジティブになりやすい

ポジティブに前向きに行動するのに、認知行動療法は役立ちます。

ネガティブに物事を捉えがちな人は、事実と認識のズレが大きく、必要以上にネガティブに捉えているケースが多いためです。

認知行動療法を継続し、「ネガティブな感情が事実とズレがある」と認識できるようになると、認識の仕方もポジティブなものに変化するでしょう。

精神病に効果がある

認知行動療法は、うつ病やパニック障害をはじめとした精神病に効果があります。

この治療法は薬による治療方法よりも、再発しにくい点が特徴です。

研究によって、認知行動療法を導入して、複数回の治療効果があったことが確認されています。

認知行動療法の実践方法

認知行動療法は細かい手法の違いはありますが、大まかに以下の流れで進みます。
  • 心の課題を整理する
  • 自動思考を自覚し、感情や行動への影響を把握する
  • 事実と思考内容のズレを自覚する
  • 行動を修正する
次で解説します。

心の課題を整理する

まず心の課題を整理します。問題点をどのように改善し、どのような行動に繋げたいのか、目標を立てていきます。

自動思考を自覚し、感情や行動への影響を把握する

ある出来事に対して、どのような自動思考をもっているか、その自動思考が感情や行動に与えている影響について考えます。
  • どのような場面で起きるか
  • どのような気持ちになるのか
  • 感情の強さはどの程度か
  • その感情の原因は何か
浮かんできた自動思考に感情が動かされる場合があります。そのような場合は、自動思考と客観的な事実を意識して、切り分けることが大切です。

事実と思考内容のズレを自覚する

自動思考の内容と現実に起きた内容を振り返ると、それぞれにズレが生じる場合があります。そのような場合は、「そのとき、どのような考え方ができたか」「捉え方を変えられないか」検証してみましょう。

ある出来事に対して複数の捉え方ができることで、物事をより柔軟に捉えられるようになります。

行動を修正する

認識について修正が進んできたら、次に行動の修正をしていきましょう。

認識が変わることで、これまでと異なるアプローチができるようになり、問題解決や人間関係の改善につながります。

認知行動療法を自分でやるときのポイント

認知行動療法は医師やカウンセラーの手を借りず、自分でやることもできます。

ただし、やり方を間違えることで思うような効果が発揮できない場合もあるでしょう。ここでは自分で認知行動療法を実践するときのポイントを紹介します。

信頼関係が重要

認知行動療法を2人以上で行う場合、自分の本心を相手に打ち明けられる信頼関係が必要です。

自分の本心が打ち明けられない場合、どのような気持ちや考え方でいるのか把握できず、行動の修正もできません。そのため、認知行動療法の効果がうまく発揮されなくなります。
認知行動療法が向かない状態の人もいる
認知行動療法は、精神状態が不安定な人や、変化したくないという人には向いていません。

精神状態が不安定な人の場合、自分の気持ちを客観的に認識しにくくなるためです。その場合は、心身の状況を整える必要があります。特に精神状態が不安定な場合は、個人での実践はおすすめできません。

認知行動療法は、現在の状態を変えたくないと考えている人にも向いていません。認知行動療法は考え方を変化させることで、行動を変化させるものであるためです。

ただし、上記の傾向があったとしても、適性がないというわけではありません。今後の精神状態の変化が起きる場合もあります。

継続することが重要

認知行動療法は継続して続けることで効果を発揮します。医師との信頼関係を築くこと、変化を感じること、行動を変化させることには時間が必要なためです。考え方の変化が見られそうになっても、元に戻ってしまうこともあるでしょう。

「思うように行動の変化が起きない」と感じてもイライラせずに、じっくりと取り組む姿勢が求められます。

客観的な判断が難しい

認知行動療法を自分でやる場合、客観的な判断しにくい点が課題です。認知行動療法では、ある出来事に対して、事実と感情を切り離して考える必要があります。しかし、自分だけで実践しようとする場合、考え方と事実をうまく分けられないこともあるでしょう。

自分で認知行動療法を実践する場合は、客観性に課題があることを認識し、複数人で取り組むなどの工夫が求められます。

認知行動療法は健康経営でも活用可能

認知行動療法の考え方を利用したアプローチは健康経営の実践やビジネスの上でも効果的です。どのような効果があるか、解説します。

日々の生活の見直しができる

認知行動療法は日々の生活の見直しにも有効活用できます。ダイエットを例に考えると、ダイエットを失敗させる課題として「ダイエットをする目的やモチベーションがない」のか、「厳しい食事制限でストレスを感じている」などの阻害要因が存在することが考えられるでしょう。

このような場合には「数字目標を設定し、日々の変化を記録する」「好きなものを食べられる日を作る」などの行動変化につなげられます。

自分がどのように感じているか、客観的に把握できることで、考え方と行動を変える上で、より効果が高いアプローチを実施しやすくなるでしょう。

業務の改善手法としても効果的

業務の改善手法として、認知行動療法は役立ちます。ある指示や行動に対して「なぜこのような感情になったか」「このような考え方はできないか」を把握することで、より客観的に物事を捉える上で、役立つでしょう。

考え方の変化と同時に行動の変化を促し、業務効率の改善にもつながります。

また、認知行動療法はうつ病などの精神病の予防効果があります。従業員のメンタルにもよい影響を与えられる点もメリットです。

認知行動療法を日々の生活に取り入れよう

認知行動療法は精神病治療に使われる手法ですが、生活習慣の改善やビジネスでの業務改善にも役立つアプローチです。

ある出来事に対して自分の気持ちの変化や気持ちの強さを自覚することで、自分の行動を客観的に振り返れ、無理なく行動を変えられるだけではなく、ポジティブな考え方を生み出す上でも役立ちます。

日常生活やビジネスでも、認知行動療法のアプローチを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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