- 健康経営アドバイザー
- 2022.03.02 (最終更新日:2022.03.27)
協会けんぽとは?健康診断や保険料について解説
健康経営でも重要視
健康経営が注目されている昨今、企業での「協会けんぽ」による健康診断が重要視されています。協会けんぽという名称は耳にしたことがあっても、その詳細までは把握できていないという企業も多いでしょう。そこで今回は、協会けんぽの概要や保険料、課題について詳しく解説します。
協会けんぽとは
協会けんぽは、2008年に設立された厚生労働省所管の特別法律により設立された法人(公法人※)であり、非公務員型法人です。全国健康保険協会の愛称として使用されています。
主に中小企業が入る健康保険であり、被用者保険の中でも特に加入者数の多いとされるのが協会けんぽです。
健康保険を運営している運営主体のことを保険者と言います。
※公法人とは、国家的目的のもとに行政権を付与される法人です。
協会けんぽの役割
健保組合の基本規約・基本規則は次のように示されています。
1.保険給付
医療給付の役割として被保険者や被扶養者の病気やケガ、傷病による休業・出産・死亡などに対して、医療費負担や各種給付金を支給しています。
2.保健事業
健康サポートの役割として被保険者や被扶養者の「健康づくり」をサポートするための各種事業です。
健康情報提供・病気予防と早期発見を目的とした各種健診・データヘルス計画※・運動施設や保養施設の利用機会の提供など、さまざまな事業を行っています。
主に中小企業が入る健康保険であり、被用者保険の中でも特に加入者数の多いとされるのが協会けんぽです。
健康保険を運営している運営主体のことを保険者と言います。
※公法人とは、国家的目的のもとに行政権を付与される法人です。
協会けんぽの役割
健保組合の基本規約・基本規則は次のように示されています。
健康保険団体の役割は保険給付と保険事業の2つです。全国健康保険協会定款第2条
協会は、健康保険の被保険者(健康保険組合の被保険者を除く)に係る健康保険事業及び船員保険事業を行い、被保険者及びその被扶養者(加入者)の健康増進を図るとともに、良質かつ効率的な医療が享受できるようにし、もって加入者及び事業主の利益の実現を図ることを目的とする。
1.保険給付
医療給付の役割として被保険者や被扶養者の病気やケガ、傷病による休業・出産・死亡などに対して、医療費負担や各種給付金を支給しています。
2.保健事業
健康サポートの役割として被保険者や被扶養者の「健康づくり」をサポートするための各種事業です。
健康情報提供・病気予防と早期発見を目的とした各種健診・データヘルス計画※・運動施設や保養施設の利用機会の提供など、さまざまな事業を行っています。
協会けんぽの健康診断とは?
従業員に年に一度の健康診断を受けるように推奨していますか?
健康診断の他に、事業主が従業員に対して行わなければならない健康診断の種類は、次のように労働安全規則で定められています。
毎年1回実施し、その費用も雇用主が全額負担する必要があります。
対象となる従業員は、1年以上雇用予定のフルタイムの人です。
健康診断を実施しない場合は、50万円以下の罰金刑があり労働安全衛生法に規定違反として適用されます。
労働安全衛生規則第44条によって定期健康診断項目が次のように定められています。
上記の定期健康診断内容に加えて、胃の検査(バリウム検査)・大腸の検査(便潜血検査)・女性は子宮頸がん検査や乳がん検査が可能です。
別途付加健診費用が必要になりますが、付加健診を付けられます。
付加健診を付けると、より詳しい肝機能検査・血液一般検査・尿・腎機能検査・肺活量検査・眼底検査・腹部超音波検査ができます。
年齢が35歳以上の従業員の場合協会けんぽから費用補助を受けられますが、35歳未満の場合は費用補助が無いため事業主の全額負担です。
費用補助がある場合、がん検診・血液検査など生活習慣病の予防を目的とした健診を選択できるなど自由度が広がります。
企業にとっても従業員にとっても健康であることは働く基盤となるので、健康診断が重要だといえるでしょう。
健康診断の他に、事業主が従業員に対して行わなければならない健康診断の種類は、次のように労働安全規則で定められています。
- 雇い入れ時健康診断
- 定期健康診断
- 特定事業従事者健康診断
- 海外派遣労働者健康診断
- 結核健康診断
- 給食従事者の検便
毎年1回実施し、その費用も雇用主が全額負担する必要があります。
対象となる従業員は、1年以上雇用予定のフルタイムの人です。
健康診断を実施しない場合は、50万円以下の罰金刑があり労働安全衛生法に規定違反として適用されます。
労働安全衛生法第66条(健康診断)
第六十六条事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
2事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
労働安全衛生規則第44条によって定期健康診断項目が次のように定められています。
- 既往歴、業務歴の調査
- 自覚症状、他覚症状(所見)の有無の検査
- 身長、体重、視力、腹囲、聴力(1,0004,000Hz)
- 胸部X線検査及び喀痰検査の検査
- 血圧測定
- 貧血検査(Hb、RBC)定・肝機能検査(GOT、GPT、γ-GPT)
- 血中脂質検査(TG、HDL-cho、LDL-cho)
- 血糖検査
- 尿検査(糖、蛋白)
- 心電図検査(安静時)
上記の定期健康診断内容に加えて、胃の検査(バリウム検査)・大腸の検査(便潜血検査)・女性は子宮頸がん検査や乳がん検査が可能です。
別途付加健診費用が必要になりますが、付加健診を付けられます。
付加健診を付けると、より詳しい肝機能検査・血液一般検査・尿・腎機能検査・肺活量検査・眼底検査・腹部超音波検査ができます。
一般健診の負担額
協会けんぽの一般健診の自己負担額は、最高7,169円となっています。年齢が35歳以上の従業員の場合協会けんぽから費用補助を受けられますが、35歳未満の場合は費用補助が無いため事業主の全額負担です。
費用補助がある場合、がん検診・血液検査など生活習慣病の予防を目的とした健診を選択できるなど自由度が広がります。
企業にとっても従業員にとっても健康であることは働く基盤となるので、健康診断が重要だといえるでしょう。
協会けんぽの保険料設定
協会けんぽの保険料率は、地域の医療費水準に基づいて算出されるため、都道府県によって異なります。
総務部など給与計算の担当者が、3〜4月に注意しておくべき業務は健康保険料率・雇用保険料率の改定ではないでしょうか。
令和4年3月分(4月納付分)の保険料額から適用されるため、そのため4月支給分のお給料から新保険料率で控除するように注意が必要です。
※当月で社会保険料を控除している企業は、3月支給分から変更になるのでご注意ください。
協会けんぽに加入されている場合は、最寄りの支部(都道府県)の保険料額表を確認してください。
令和4年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|協会けんぽ|全国健康保険協会(kyoukaikenpo.or.jp)
従業員の保険料を半分負担する企業としては、保険料引き上げは避けたいところでしょう。
保険料の仕組みは、医療費の上昇を抑えれば、保険料率の引き上げを防げます。
そのため企業が主体となって従業員の健康づくり促進が結果的に保険料を抑えることにつながるでしょう。
総務部など給与計算の担当者が、3〜4月に注意しておくべき業務は健康保険料率・雇用保険料率の改定ではないでしょうか。
令和4年3月分(4月納付分)の保険料額から適用されるため、そのため4月支給分のお給料から新保険料率で控除するように注意が必要です。
※当月で社会保険料を控除している企業は、3月支給分から変更になるのでご注意ください。
令和4年度の都道府県単位保険料率
- すべての都道府県で変更(引き下げが18都道府県。・引き上げが29県)
- 全国平均10%は維持
- 例として、東京都は9.84%から9.81%に引き下げ
- 令和4年度の介護保険分の保険料率(全国一律)
- 現行の1.80%から1.64%に引き下げ。
協会けんぽに加入されている場合は、最寄りの支部(都道府県)の保険料額表を確認してください。
令和4年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|協会けんぽ|全国健康保険協会(kyoukaikenpo.or.jp)
従業員の保険料を半分負担する企業としては、保険料引き上げは避けたいところでしょう。
保険料の仕組みは、医療費の上昇を抑えれば、保険料率の引き上げを防げます。
そのため企業が主体となって従業員の健康づくり促進が結果的に保険料を抑えることにつながるでしょう。
協会けんぽ傷病手当金
健康保険は健康診断など病気の予防だけなく、従業員が病気やケガで休んでいる場合健康保険から給付を受けられます。(被保険者のみが対象です。)
ポイントは以下の4つです。
①4つの要件を満たす必要がある
以下の2つの条件を満たす必要があります。
傷病手当金は従業員が働けなくなった時、生活をしていくために必要なお金を受け取れる給付金です。
しかし、被保険者が行動して申請を行わないと給付できない制度です。
もしかしたら従業員の中には、傷病手当金制度を知らない方もいるかもしれません。
従業員では書けない書類も必要なので、会社側の案内も必要でしょう。
従業員のワーク・ライフ・バランスを保つためにも、該当従業員にこのような制度を推奨する必要があるでしょう。
しかし協会けんぽとして課題を抱えており、財政も安定的ではないと示唆されています。
急速な高齢化による医療費の増大が問題視され、近年医療費増大を回避するために保健事業に力を入れています。
しかし健康管理や予防の必要性を認識しつつも、個人に対する動機づけの方針を十分に講じていない課題があります。
個人の健康保持増進に対して保険者・企業自体が、それぞれの立場から責務を果たす取り組みが求められているでしょう。
自社の保険料負担を軽減するためにも、協会けんぽの保険事業と連動した施策の取り組みをおすすめします。
協会けんぽとの協働のコラボヘルス※や健康経営※が近年注目されています。
ポイントは以下の4つです。
①4つの要件を満たす必要がある
- 連続して4日以上仕事を休んでいること
- 給与の支払いがないこと
- 業務外の病気やケガで療養中であること
- 療養のための労務不能であること
- 傷病手当金申請書は、協会けんぽのホームページからダウンロードして印刷をするか、電話で郵送を依頼するなどで入手する必要がある
- 実際に働けない期間や働けない原因の診断・治療内容や医師の所見などを医師に記入してもらうこと
- 会社側は、勤務状況や給与支払状況など、この項目への記載を求められたら記載を行う義務がある
- 傷病手当金申請には、働けない日ごとにその次の日から2年の期限があります。
以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 退職する日までに1年以上同じ医療保険に加入していたこと。
- 仕事を辞める時に傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしていること。
傷病手当金は従業員が働けなくなった時、生活をしていくために必要なお金を受け取れる給付金です。
しかし、被保険者が行動して申請を行わないと給付できない制度です。
もしかしたら従業員の中には、傷病手当金制度を知らない方もいるかもしれません。
従業員では書けない書類も必要なので、会社側の案内も必要でしょう。
従業員のワーク・ライフ・バランスを保つためにも、該当従業員にこのような制度を推奨する必要があるでしょう。
健康保険組合の課題
病気やケガなどの予防や万一の場合の備えとして活躍してくれるのが、協会けんぽの役割です。しかし協会けんぽとして課題を抱えており、財政も安定的ではないと示唆されています。
急速な高齢化による医療費の増大が問題視され、近年医療費増大を回避するために保健事業に力を入れています。
しかし健康管理や予防の必要性を認識しつつも、個人に対する動機づけの方針を十分に講じていない課題があります。
個人の健康保持増進に対して保険者・企業自体が、それぞれの立場から責務を果たす取り組みが求められているでしょう。
自社の保険料負担を軽減するためにも、協会けんぽの保険事業と連動した施策の取り組みをおすすめします。
協会けんぽとの協働のコラボヘルス※や健康経営※が近年注目されています。
※健康経営についてはこちらの記事をご覧ください。
意味のない「健康経営」とは?健康経営のメリット・デメリットを解説
まとめ
今回は「協会けんぽ」について解説しました。
協会けんぽは、企業と密接な関係性があり、従業員の健康や生活を守るための保険給付と保険事業の2つの役割を果たしています。
従業員の病気の予防や早期発見のための健康診断や傷病手当などの給付があり、また保険事業として従業員の健康増進にも一役果たしています。
保険者機能を発揮して、医療費適正化に努める取り組みを始めてはいかがでしょうか。
協会けんぽは、企業と密接な関係性があり、従業員の健康や生活を守るための保険給付と保険事業の2つの役割を果たしています。
従業員の病気の予防や早期発見のための健康診断や傷病手当などの給付があり、また保険事業として従業員の健康増進にも一役果たしています。
保険者機能を発揮して、医療費適正化に努める取り組みを始めてはいかがでしょうか。
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