- 働く女性
- 2022.03.31
女性活躍推進法とは?4月に改正される内容と概要をわかりやすく解説!
- 目次
2022年4月女性活躍推進法が改正
2022年4月、「女性活躍推進法」が改正されます。女性活躍推進法という名称は耳にしたことがあるものの、実際どのような内容のものなのかご存じない方も多いのではないでしょうか。
今回は「女性活躍推進法」をテーマに、概要や改正後の内容、どのようなメリットがあるのかを分かりやすく解説していきます。
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女性活躍推進法とは?
「女性活躍推進法」とは、簡潔に分かりやすく説明すると「働く女性たちが本来の能力や個性を活かして活躍しやすい環境を整えましょう」という法律です。
正式名称は“女性の職業生活における活躍の推進に関する法律”と言い、2015年8月に成立し翌2016年4月に施行されました。そして、令和元年となる2019年に法の改正が決まり、このたび2022年4月に新しい内容が施行されます。
概要と改正内容
まずは、「女性活躍推進法」の概要と4月に施行される改正内容をみていきましょう。
概要
「女性活躍推進法」は、すべての企業に適用されるものではありません。
改正前は“301人以上の事業主”に実施義務を、“101人以上の事業主(中小企業)”には努力義務として、女性の活躍を推進していくための目標設定やそれに付随する対策を実施するよう義務づけていました。
企業が行うべきことは大きく分けて3つあります。それぞれの詳細については、記事の最後にご紹介します。
- 女性労働者の「活躍状況把握」と「課題分析」
- 行動計画を「策定」「社内周知」「外部公表」
- 東京労働局への「届出」と年1回の「情報公表」
改正内容
今回の改正で変更・追加された内容は以下のとおりです。
- 対象範囲が“301人以上”の企業から“101人以上”へ拡大
- 301人以上の企業は「情報公表」の項目を1つ以上から2つへ変更
- 優良企業へ付与される認定マーク“えるぼし”に「プラチナえるぼし」が追加
働く女性の増加、施行の背景にあるもの
なぜ「女性活躍推進法」が施行されたのでしょうか。その理由のひとつに「働く女性の増加」が挙げられます。
十数年前までは、結婚後男性が働きに出て女性は専業主婦もしくは数時間のパートタイマーであることが一般的でした。時代は変わり、結婚後も仕事を続ける女性が増えたほか、妊娠・出産を経て仕事に復帰する共働きスタイルへと変化しています。
しかし、働きたいと願う女性が皆その希望を叶えられているわけではありません。令和となった現在も、子育てや家事、両親の介護など家庭のことは女性が担う傾向にあります。こういった事情から、働きたくても働けない女性はおよそ300万人にものぼるといわれています。
また、欧米での女性管理職は35%以上である中で日本では15%ほどにとどまっており、社会での女性の地位が上がりづらいことも理由として挙げられています。
女性活躍推進法で期待できる効果とメリット5つ
「女性活躍推進法」の背景についてお話ししましたが、施行によりどのような効果があるのでしょうか。
ここからは、企業側が得られる効果やメリットを5つご紹介します。
助成金
常時雇用する労働者が“300人以下”の中小企業を対象に、条件をクリアすると「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」の支給を受けられます。
女性活躍推進法に基づき、数値・取組それぞれの目標を設定し数値を達成した中小企業に“47.5万円”、生産性要件を達成した場合には“60万円”が支給されます。
低利融資・公共調達の優遇
女性活躍推進法に基づいた取組の実施が優良である企業には、優良企業の認定として厚生労働大臣より「えるぼしマーク」が付与されます。(要申請)
えるぼしマークの付与を受けていると「低利融資」や「公共調達」において優遇してもらえます。
企業のイメージアップ
「低利融資・公共調達の優遇」でも出てきた認定マーク“えるぼし”ですが、自社商品や広告などに付けることを認められています。
そのため、えるぼしを獲得していることで企業自体のイメージアップや認知度の上昇にも繋がるのです。
優秀な人材の確保
本来高いポテンシャルを持ち有能な人材であるにもかかわらず、さまざまな事情で働けない女性は少なくありません。女性活躍推進法に基づいた活動・環境改善を行うことで、企業としての採用活動が行いやすくなり他社との差別化を図れます。
女性が活躍しやすい環境や仕組みが整うと、さまざまな理由で働きづらさを感じていた女性たちが集まり、優秀な人材との出会いが広がります。
業務改善・生産性の向上
女性たちが働きやすい環境が整うということは、女性特有の不安や心配事が取り除かれ本来のポテンシャルを発揮してもらいやすくなります。
本来女性は男性よりもマルチタスクを得意としており、細かな配慮や気配りができる存在です。分かりやすい例えをすると、晩御飯の買い物をしながら帰宅後すべきことを考えたり、子どもをみながら洗濯・掃除したりといったことです。
もちろん個人の能力によって差があるため一概にはいえませんが、女性が管理職に就くことで改善できるものや生産性の向上なども期待できるでしょう。
女性活躍推進法の代表的な問題点と課題3つ
女性活躍推進法により期待できる効果や得られるメリットを紹介しましたが、企業側が抱える問題点や課題も把握しておく必要があります。
今回は大きなものとして3つを挙げました。
出産による退職
まず大きな懸念として挙げられるのが「出産による退職」でしょう。とくにはじめての出産である場合は、出産そのものはもちろん、初めての子育てに漠然とした不安を抱えるものです。
また、産休や育休が明けて復帰後、働きたい気持ちはあるものの、同じように働けるかという不安もあり、そうした休業制度を利用せず退職を選択するケースもあります。解決策としては、休業前・復帰後に面談を重ねて安心感を与えることです。しっかりとヒアリングをし、どのような働き方を望んでいるかなど出来る限り本人の希望に添う姿勢を見せましょう。
子育てとの両立支援
産休・育休から復帰した女性は、大きな不安を抱えています。男性にはない女性同士特有の空気感や以前と同じパフォーマンスを発揮できるかといったところです。
また、子どもが幼いうちは免疫が弱いため頻繁に体調を崩してしまい、やむを得ず早退が必要になることもあります。女性本人に頑張りたい気持ちがあっても、保育園からの呼び出しがあれば申し訳ない気持ちを抱えながら帰宅するのです。
子育て中の女性が居づらさを感じて退職しないよう、会社やチーム全体でフォローする必要があります。業務面だけでなく、精神面でも支え合える環境づくりが大切です。
女性活躍の前例(ロールモデル)がいない
記事の序盤でお話したとおり、欧米の女性管理職が35%を超える中で日本は15%ほどしかありません。これには、女性の管理職希望が少ないことも起因しています。
日本の国民性も関係しているためか、とくに女性は「自分に管理職は向いていない・自信がない」と考える方が多い傾向にあります。すでに活躍している女性ロールモデルを挙げようにも、中小企業だと前例がないことも多いでしょう。
管理職に見合う能力を持っている場合、女性本人の長所を生かした育成を行うことで自信が付いてきます。管理職といってもタイプやスタイルは多種多様です。契約を山ほど取れるタイプもいれば、まわりを良くみて状況把握に長けたタイプもいます。
前例がなければ最初のロールモデルとしてフォローしながら育てていきましょう。
企業がすべきこと
ここまで「女性活躍推進法」によって企業が得られるメリットや考えるべき問題点をご紹介しました。では、女性活躍推進法において企業が対応すべきことはどのようなことでしょうか。
企業が行うべき3つのこと
女性活躍推進法の概要でも紹介しましたが、企業が行うべきこととして大きく分けて3つあります。
- 女性労働者の「活躍状況把握」と「課題分析」
- 行動計画を「策定」「社内周知」「外部公表」
- 東京労働局への「届出」と年1回の「情報公表」
まずは現在の女性労働者の活躍状況を把握し、そこから見える企業の課題を分析します。出した課題に基づいた目標を設定し、目標達成のための具体的な取組を決めて「行動計画表」としてまとめていきます。
できた「行動計画表」を社内に周知、外部にも公表し“東京労働局”へ届け出ます。その後、定期的に目標達成状況の確認・評価を実施し年1回は情報公表をします。
取り組み事例
女性活躍推進法の取組は、他社を参考にするのも大切です。女性活躍推進法における国内企業の事例を簡単に2つご紹介します。
アサヒビール株式会社
誰もが知る大企業「アサヒビール株式会社」では、育休制度を充実させています。従来の育児休暇では、通常満1歳まで(申請により最長2歳)のところを子どもが満2歳まで休業可能にしました。(男性社員も取得可)
また、「ウェルカムバック制度」という出産や育児で退職した女性が出戻ってきやすい環境を整えたことで多くの女性社員が子育てとの両立を叶え、女性管理職は5倍ほどという結果を出しています。
味の素グループ
「味の素グループ」は、認定マークである“えるぼし”を獲得している優良認定企業です。味の素では、2017年から「どこでもオフィス」という制度を導入しています。さまざまな理由で出勤の難しい社員が自宅などで働けるようになったことで、ワークライフバランスが整い、残業時間の10%軽減を達成しました。
まとめ
今回の法改正により、これまで努力義務範囲だった中小企業も義務対象となりました。法改正に伴い、内容を調べたもののいまいち理解できないという方々のお役に立てていれば幸いです。
日本には、育児や介護を理由に働きたくても働けない女性がたくさん眠っています。そうした方々の能力を活かせる仕組みや環境が整えられれば、働きたい女性たちだけでなく多くの企業の人手不足解消に繋がっていくでしょう。
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