- 就職/転職
- 2022.02.02 (最終更新日:2022.03.27)
白色申告と青色申告はどう違う?双方のメリットとおすすめの申告方法
確定申告には種類がある?
みなさんは「確定申告」についてどれほど知っているでしょう。
実際に毎年自身で申告している人は別として、会社勤めのサラリーマンにはあまり縁がないため、「何となくなら知っている」、「正直よく分からない」というレベルの人も多いかもしれません。
そして確定申告と一口にいっても、実は申告方法によって種類があるのはご存じでしょうか。
今回は確定申告の中の「白色申告」と「青色申告」について解説していきます。
それぞれで必要書類などの申告方法や、それにより受けるメリットなどが変わってくるため、両者をしっかり理解した上で、自身に適した方法を選ぶことが大切です。
特に青色申告は大変ではあるものの、メリットが非常に大きいためぜひ利用したい申告方法となっています。
それでは両者の違いを比べながら、青色申告がなぜおすすめなのか見ていきましょう。
確定申告の基礎知識
まずは確定申告そのものについて、基礎的な部分をおさらいしていきましょう。
確定申告とは「一年間の所得とそれにかかる税金を計算し、正しい金額を国に納めること」です。
会社員であれば、給与から天引きする形で納税してくれているため、従業員個人が確定申告する必要は本来なく、基本的には個人事業主に関係してきます。
1月1日〜12月31日までの一年間の記録をもとに、確定申告書などの必要書類を作成し、税務署に提出、納税するといった流れです。
会社員は確定申告が原則不要と言いましたが、不要であっても申告することで得をするケースもあります。
例えばあなたが会社を退職したとして、その退職年については会社が年末調整をしてくれないため、申告することで払いすぎていた税金が還付される可能性があるでしょう。
あるいはあなたがふるさと納税をしている場合は、申告することで寄付した金額から2000円引いた金額が所得から控除される「寄付金控除」を受けられます。
もし家を購入するにあたって住宅ローンを組んだとしたら、条件を満たし申告することで、住宅ローンの残高から1%が所得から控除される「住宅借入金等特別控除」を受けることが可能です。
このように確定申告は決して個人事業主だけの話ではなく、一般のサラリーマンも利用可能で、なおかつ知っていればお得なケースも多々ある素敵な制度です。
そんな確定申告には「白色申告」と「青色申告」という種類があるという話で、それぞれをこれから紹介していきます。
白色申告のメリット・デメリット
はじめに白色申告について解説していきます。
概要
白色申告とは、確定申告の際に青色申告の申請をしていない事業者が行う申告方法です。
必要となる書類は「収支内訳書」と「確定申告書B」で、あとに解説する青色申告と比べると、幾分手軽で簡単に作業を完了できます。
白色申告は以前、「事業所得・不動産所得・山林所得の合計収入が300万円を超える事業者」についてのみ、記帳や帳簿等の保存義務がありましたが、法改正により平成26年度からは、「事業所得・不動産所得・山林所得を生ずる業務を行う全ての納税者」に、記帳及び帳簿の保存が義務付けられました。
帳簿や書類の保存期間は、法定帳簿については7年間、任意帳簿や、請求書・領収書などの書類関係については5年間です。
記帳の際は青色申告が「複式簿記」という形式で記帳するのに対し、白色申告は「単式簿記」という簡易的な形式で記帳できます。
所得金額が正確に計算できるよう、売上や必要経費を分かりやすく記帳さえしていれば、個々の取引ごとで書く必要もなく、日々の合計としてまとめて記載してもかまいません。
メリット
白色申告のメリットは、青色申告と比較して手続きが手軽でシンプルという点です。
必要書類である確定申告書の記入欄は、収支内訳書に経費や売上を書くだけであり分かりやすく、帳簿への記帳も簡易的な形式で問題ないため難しいことはありません。
また青色申告を行うには事前申請が必要なのですが、白色申告であれば不要であるため、その点の手軽さもメリットといえるでしょう。
デメリット
反対にデメリットを挙げると、青色申告であれば受けられる各種特典がないという点です。
詳しくは青色申告の項目で解説しますが、青色申告は手間がかかりますがそれを補うだけの数多くのメリットが存在します。
控除額に大きな差が出てくるため、事業者の負担を考えると、やらないというのはかなりの損です。
また手軽でシンプルという点をメリットとして挙げましたが、確かに申請も不要で記帳方法も簡易的と、「難しくない・分かりやすい」という意味においてはその通りといえるでしょう。
しかし簡単だとしても、領収書・請求書・納品書といった各種取引に関する書類の整理や管理、記帳それ自体に関しては青色申告と同様に一定の手間がかかります。
同じだけ手間がかかるのであれば、青色申告でメリットが受けられた方がいいと思うのは自然ですよね。
青色申告はなぜおすすめ?
それでは青色申告について解説していきましょう。
すでに軽く触れていますが、白色申告と比べると数多くのメリットがあるため、手間や労力を考えて実施可能であれば、ぜひ青色申告をおすすめします。
そのメリットについてはこのあとの項目で詳しく解説するとして、まずは白色申告との違いを挙げながら概要をお話しします。
白色申告との違い
青色申告とは、原則としての白色申告の方法とあらゆる点で異なり、条件を満たすことで税制上の優遇が受けられるため、非常に大きな節税効果がある申告方法です。
両者の違いを項目ごとに見ていきましょう。
税務署への事前の手続き
白色申告は申告するにあたって、税務署に対する事前手続きは不要ですが、青色申告については確定申告の例外的扱いであるため事前申請が必須となります。
「青色申告承認申請書」というものがあり、それを対象となる年の3月半ばまでに管轄の税務署へ提出しなければなりません。
ちなみに事業を始めたのがその年の1月16日以降である場合は、事業開始から2ヶ月以内であれば提出が可能です。
期限内の提出が叶わなかった場合は、その年は事前申請が不要な白色申告での申告になります。
記帳方法
すでに触れましたが帳簿への記帳方法が異なり、青色申告は「複式簿記」形式での記帳が特別控除を受けるための条件です。
複式簿記とは勘定科目を2つ用いることで、お金の出入りと財産増減の原因とを同時に記録します。
専門知識が必要となるため、初めての人はここが難所といえるでしょう。
白色申告は「単式簿記」という簡易的な形式で、一つの勘定科目を用い現金の出入りを記録します。
簿記の複雑な知識は不要です。
提出書類
「確定申告書B」・「各種控除証明書類」は白色申告と同様ですが、青色申告ではこれらに加えて「青色申告決算書」が必要です。
この決算書は「賃借対照表」と「損益計算書」で構成されており、これらは複式簿記で記帳された内容が記載されています。
主な違いはこの3点ですが、確かに青色申告の方が事前の準備や帳簿の厳格さなど、手間が多く大変な印象を受けます。
しかしこの違いが、大きな税制上の差を生むのです。
青色申告の5大メリット
最後に青色申告の実施によるメリットを解説していきます。
大きく5つのメリットがあり、控除額も高額になるため事業者にとっては願ったり叶ったりでしょう。
青色申告特別控除
最大のメリットがこの「特別控除」です。
所得控除ということは所得税や住民税の節税効果が得られる上、国民健康保険料の算定額にも影響するため保険料を抑える効果も期待できます。
複式簿記での記帳の時点でまず55万円の控除が確定し、さらにe-Tax(電子申告)での申告を行うか、電子帳簿の保存を行うことで、65万円もの控除を受けることが可能です。
メリットの大きさをイメージしやすいように、この額がどれほどの節税になるかシミュレーションしてみましょう。
例えば「売上高600万」「経費100万」「所得控除は基礎控除の38万」「税率20%」の条件で計算した場合、青色申告により65万控除が適用された際の所得税額は「366,500円」です。
対して白色申告で控除がない場合の所得税額は「496,500円」となり、「13万円」もの開きが出てきます。
純損失の繰越控除
赤字を翌年以降、最長3年もの間繰越が可能です。
例を挙げて説明すると、前年が100万円の赤字で、翌年に黒字200万円であった場合、本来であれば200万円の黒字に対して税金がかかるところを、差額である100万円のみの税金でよくなります。
反対に前年が黒字で、翌年が赤字の場合は、赤字分を黒字分と相殺でき、前年に払いすぎた税金を受け取れるという嬉しい仕様です。
青色専従者給与
家族で事業を営んでいたとして、家族への給与は原則費用にはなりませんが、青色申告であれば条件を満たし税務署に届け出ることで、生計を共にする配偶者や家族への給与を経費扱いにできます。
少額減価償却の特例
価格が10万円以上する備品を購入した際は、本来一括で経費として計上できません。
「減価償却」という一定のルールのもと、使用期間に応じて計上していく必要があります。
しかし青色申告では特例が認められ、30万円未満であれば一括で全額、経費計上が可能です。
家事按分
自宅をオフィスとしている場合の、家賃・光熱費・通信費といった家事関連費が経費として計上できます。
もちろんあくまでも仕事として係る部分に限られますが、少しでも仕事で使っていることが明らかであれば経費にできるため節税効果は抜群です。
まとめ
確定申告の方法一つでこれだけの差が出てきます。
もし簿記の資格を持っていたり、複式簿記が可能だったりするのなら、白色申告ではなく青色申告で申告したいところですね。
最大65万円の特別控除は非常に魅力的ですし、繰越控除も事業の始めたてには特に助かる制度ではないでしょうか。
フリーランスであれば自宅で仕事する人も多いでしょう。
家事按分により家賃や光熱費が経費になるのであれば、日々の暮らしもかなり楽になりますよね。
手間がかかることは間違いありませんが、それ以上の恩恵も必ずある青色申告、スキルがある人は必ず実施していただいて、初めての人もぜひチャレンジしてみてください。
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