- ビジネススキル
- 2022.02.07 (最終更新日:2022.03.27)
仕事を思い通りに進める交渉術とは?必要なスキルとテクニックについて
心を動かす交渉術
映画やドラマで社長同士が交渉をしていたり、犯人と刑事が交渉をしていたりするイメージがあり、自分には関係のないことだと感じているかもしれません。
しかし交渉術は、ビジネスシーンだけではなく、身近な日常生活にも重要なスキルです。
今回は、交渉術にスポットライトを当て、交渉を上手に進めるテクニックをご紹介します。
交渉術とは?
まずは交渉術の基本的情報をお伝えします。
概要
交渉術とは、進めているプロジェクトやミッションを目標達成に近づけるためのコミュニケーションスキルです。
この交渉というワードを聞くと、堅苦しいイメージや難しいイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし、交渉を行う場面は、ビジネスシーンや日常生活にもあふれかえっています。
ビジネスシーンでは、営業職をはじめ、接客や業務の企画担当の方が交渉に触れる機会が多くあります。
日常生活では、買い物や人との付き合いの中で交渉を行う機会があり、交渉術は生きていく上で重要なスキルといっても過言ではありません。
近年では、本屋のビジネス書コーナーに交渉術に関する書籍が豊富に並べられており、世の中の関心が高いといえます。
主張との違い
ビジネスシーンにおいて、自分の意見をしっかりと主張する能力が必要とされています。
この主張力は、自身の考えやアイデアを他の人に言葉で伝えるコミュニケーションスキルのひとつです。
一方、交渉術は、相手の意見と自分の意見を総合的に理想的なゴールを見つけるスキルを指します。
交渉術を身につけるために必要なスキル
ここからは、交渉術を身につけるために必要なスキルをご紹介します。
ロジカルシンキング
交渉術に必要なスキルとして、ロジカルシンキングがあります。
ロジカルシンキングとは、「論理的思考」という意味で、筋の通った考え方が求められます。
交渉術にロジカルシンキングが必要な理由は、自分と交渉相手がWin-Winの関係になることが交渉にとって重要なことで、自分(自社)だけが好条件になればいいということではないためです。
例えば、業務委託を行っている取引先に委託費を下げる交渉をするとしましょう。
ただ単に「業務委託費を下げさせてください」と伝えるのは、自社にとって好条件の内容を主張しているだけになります。
業務委託費を安くした場合、委託先の資金繰りや従業員への給料に悪影響を及ぼし、仮に委託先の会社が倒産してしまった場合、自社への影響も避けられないでしょう。
お互いにWin-Winの関係を構築するために、お互いにとって好条件となる内容を提示する必要があります。
先程の例の場合、「将来的に発注規模を拡大し、長期的に業務委託を行うので、将来的に委託費の削減を検討してもらえないでしょうか?」などといった交渉が必要です。
こうした交渉を行うためには、両者を客観的に見つめ、合理的な着地点を検討する能力が必要になります。
この能力こそがロジカルシンキングであり、交渉時に重要なスキルです。
コミュニケーションスキル
交渉術に必要なスキルの2つ目は、コミュニケーションスキルです。
ロジカルシンキングで、双方にとって好条件の内容が思いついたとしても、それを相手に伝えられなければ交渉にはなりません。
自身が思い描くイメージを上手に伝えられる発信力が必要です。
コミュニケーションスキルというと、発信力ばかりに集中してしまいがちですが、相手の話を聞いて理解する能力も重要です。
相手の話の本質や真意を的確に捉え、自身の理解を高めることと、もし相手の言うことが理解できない場合は、どこがわからないのかを伝えて質問するスキルが求められます。
こうした相手の話を聞く能力は傾聴力ともいわれ、コミュニケーションを身につけるには発信力と傾聴力が重要です。
交渉術の種類
交渉術と一口にいっても、その方法は2種類存在します。
ここからは交渉術の「統合型交渉」と「配分型交渉」について解説します。
統合型交渉
交渉の方法として、統合型交渉という方法があります。
統合型交渉とは、お互いにとっての利益を追加・増やす努力を行うことで、双方で利益を獲得できる交渉です。
この記事の冒頭でも触れている、Win-Winの関係を構築する交渉術で、「Win-Winの交渉」と呼ばれることもあります。
交渉の方法としては、理想的な方法で、常に統合型交渉(Win-Winの交渉)をする意識が大切ですが、この交渉を成立させるのは簡単なことではありません。
交渉を始める前から、案件の全体把握と事前準備を行い、交渉中もロジカルシンキングを心がけましょう。
配分型交渉
交渉の理想的な方法は、お互いがWin-Winの関係になる交渉で、統合型交渉になります。
しかし、交渉内容や条件によってはWin-Winの関係が構築できない場合もあります。
このどちらか一方しか利益・メリットを得られない交渉方法が、配分型交渉です。
交渉をするにあたって、利益が1つしかなく、この1つの利益をお互いが奪い合う交渉になります。
具体的な交渉シーンは、料金値引きの交渉や土地などの所有権を争う交渉です。
この配分型交渉は、譲歩した方が損失を受ける交渉になり、長期的な取引が必要な相手の場合、関係悪化につながる恐れがあるため注意しましょう。
利益・メリットが1つしかなく、それを奪い合う交渉になったとしても、お互いがWin-Winの関係になるような提案が必要です。
ビジネスにおける交渉の事例
ビジネスにおける交渉には、大きく分けて「社外交渉」と「社内交渉」があります。
この2つの交渉の特徴と実例をご紹介します。
社外交渉
社外の相手と交渉する際は、「価格交渉」や「取引・契約条件の交渉」などがあります。
こうした交渉は、配分型交渉になりやすく、お互いに自分の好条件ばかりを追い求めてしまう傾向にあります。
具体的な交渉事例は、「長い付き合いだからこれくらいの条件はのんでほしい」や「この商品の値引きは10万円までしかできません」などです。
分配型交渉は、話の折り合いがつかず、難航することもあるため、お互いのいい落とし所を模索する統合型交渉に切り替えられるように意識しましょう。
社内交渉
社内でも交渉が発生する場合があります。
具体的な事例は。「この企画を遂行するために予算を上げてほしい」や「人手が足らないから違う部署から人を回してほしい」などです。
同じ社内ということもあり、お互いに置かれる環境を把握することは比較的容易にできます。
しかし、相手への配慮や気遣いがかけて、分配型交渉になることもあるので、社内であってもWin-Winの交渉成立を心がけましょう。
交渉上手な人が行うテクニック5選
最後に、交渉上手な人が行うテクニックを5つご紹介します。
徹底的に情報収集を行う
交渉をするときに最も重要といっても過言ではないのが情報収集です。
特に、Win-Winの関係を築く交渉の場合、ビジネスの全体を的確に把握し、お互いにとって都合のいい落とし所を見つけなければいけません。
集めるべき情報は多岐にわたり、時間と労力を使います。
価格交渉であれば類似商品の相場価格、取引交渉であれば同業他社の品質や委託費用などその場面で必要な情報をより多く集めるように心がけましょう。
もしも調べてわからないことがあれば、交渉中に相手から聞き出し、交渉をしながら状況把握する方法もあります。
いずれにせよ、交渉の内容を全体的に見渡せられるような情報収集が交渉を成立させるために重要なポイントです。
BATNAとZOPAの想定
交渉が上手な人は、BATNAとZOPAを想定して交渉しています。
BATNA(バトナ)とは、「Best Alternative to Negotiated Agreement」の頭文字をとった言葉で、交渉が成立しなかった場合の最善の代替案や他の選択肢を指します。
ZOPA(ゾーパ)とは、「Zone of Possible Agreement」の略で、交渉が成立するであろう範囲・領域のことです。
例えば、値段交渉の場面で、相手の会社から「商品A」を購入するとしましょう。
まずはBATNAとして、自分が「商品A」を購入するときに支払える価格を設定します。
仮に支払える価格が100円〜1000円だったとします。
購入可能な価格だけではなく、もし相手が1000円を超える金額を要求してきたときのことも考えておくといいでしょう。
「1000円を超えた場合、商品Bも付けてもらう」など支払う金額では損するものの、交渉を総合的に見て利益がある選択肢がいいでしょう。
そして、相手が「商品A」を販売する場合に支払ってほしい価格帯が提示されれば、自分と相手が交渉可能な取引金額(ZOPA)が明確になり、ZOPA内で自分の利益になるように交渉するのです。
クライテリアを明確にしておく
クライテリアとは、心理学で用いられることが多い言葉で、「価値基準」という意味があります。
交渉するにあたり、物事の価値基準が重要になります。
例えば、商品やサービスの価格で、「この商品にはこれくらいの金額が支払える」などです。
こうした価値基準が明確ではない場合、譲れないポイントが明確にならないことがあり、交渉を上手に進められない可能性があります。
これは交渉を何度も経験することで身につけられるスキルではあるものの、自分の中の価値基準を明確にする意識が重要です。
交渉相手を選ぶ
交渉が上手な人は、誰に何を言えばいいかがわかっている人です。
例えば、交渉相手が価格の変更を判断できない担当者の場合、その人にいくら交渉をしても思うような交渉成果が得られないでしょう。
交渉する際は、あらかじめ自身が目指す交渉ができる相手を選び交渉を開始する必要があります。
好印象を与える
交渉とは、両者のいい落とし所を探すだけではなく、両者の信頼関係を構築する必要もあります。
信頼関係を築くためにも、相手には常に好印象を持ってもらえるように接し、相手に配慮した行動を取りましょう。
しかし、交渉する内容には配慮はなく、自分が目指すゴールのために全力で交渉する人が交渉上手な人といえるでしょう。
まとめ
今回は、交渉術に焦点を当て、その種類や交渉上手な人が行っているテクニックを紹介しました。
理想的な交渉とは、お互いがWin-Winの関係を築ける交渉で、主張力と傾聴力を発揮しながら交渉を進めていく必要があります。
今回紹介したテクニックでも、意識するだけでできることもあるため、できることから少しずつ取り組みましょう。
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