- 取組事例
- 2022.01.28 (最終更新日:2022.03.27)
インバウンド需要の回復前に備えたいこととは?今後の展開を予測
- 目次
アフターコロナ時代はインバウンド需要の争奪戦?
インバウンド需要は、コロナが収束したいわゆるアフターコロナ時代でとても重要な項目です。
外国人観光客が再び日本へ訪問するようになった場合、どれだけ多くの観光客を取り込めるかが大きなカギになり、椅子取りゲームのような時代を迎えるでしょう。
インバウンド需要とは?
まずはインバウンド需要の概要とコロナ禍でどう変化があったのかを解説します。
概要
インバウンド(Inbound)とは、外国人観光客が日本に訪問することを言います。
また、インバウンド需要とは、外国人観光客に対して日本の商品・サービスを提供することです。
インバウンド需要は、外国人観光客数と比例して増加する傾向があり、内閣府が紹介しているデータでは、2003年から2017年の間は、年々外国人観光客が増加しています。
データを見ると、2009年に一時的に外国人観光客の数が減少していますが、これはリーマン・ショックで世界経済が不安定になったことによる減少だと予想されています。
つまり、インバウンド需要は世界経済や世界情勢影響を受けてしまうのが特徴です。
コロナ禍でのインバウンド需要
上述したように、インバウンド需要は世界経済や世界情勢の影響を受けやすい特徴があります。
2020年上旬から始まった、コロナ禍は近年でも特に影響力の大きい世界経済の不安定とも言え、コロナ禍によって日本のインバウンド需要は激減しました。
もし新型コロナウイルスがこれほどまで流行していなければ、2020年には東京オリンピック・パラリンピックインバウンド需要の拡大が予想されていました。
しかしオリンピック・パラリンピックは無観客での開催となり、見込んでいた効果は起こらないまま終了してしまったことは、皆さんの記憶に新しいのではないでしょうか。
外国人観光客が増加しなければ、インバウンド需要の増加は見込めず、今後もこの不安定な状態は続く見通しとなっています。
アウトバウンドとの違い
インバウンドと似た言葉で、アウトバウンドという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
アウトバウンドとは、一般的に日本から海外に旅行へ行くことを指します。
しかし、アウトバウンドという言葉は、使う場面で意味が異なる場合があり、使うときに応じて意味を使い分けるようにしましょう。
例えば、ビジネスではアウトバウンドマーケティングという言葉があります。
アウトバウンドマーケティングは、企業側から顧客に広告を行うことを指すことがあります。
また、業界でアウトバウンドの言葉の意味合いが変わることがあるので注意が必要です。
インバウンド需要の重要性
ここからは、インバウンド需要が注目される理由、重要性についてご紹介します。
インバウンド観光客が増えている
コロナ禍で外国人観光客が減っている現代ですが、年々日本に訪れる外国人観光客は増加傾向にあります。
記事の冒頭で紹介した、内閣府が公表しているデータでは、2003年から2017年の間で日本に訪れる外国人観光客は2009年以外年々増加しており、旅行先として日本が選ばれるようになりました。
また、2021年に日本政策投資銀行と日本交通公社が調査したアンケート(アジア8カ国・欧米豪4カ国を対象)の項目(8)次に(コロナ収束後)海外旅行したい国・地域に、日本は1位に選ばれたことを紹介しており、現在でも日本人気が継続していることがわかります。
今後、アフターコロナ時代では外国人観光客が増加する見込みとなっており、現在よりも大幅な需要回復が望めます。
日本のGDP増加に貢献できる
インバウンド需要が増加すると日本のGDP増加にも貢献できます。
日本のインバウンド状況は、2015年以前はアウトバウンドがインバウンドを上回っていましたが、2016年にはインバウンドが上回るようになりました。
外国人観光客が日本に訪れ、日本での消費活動が活発化されることで日本のGDPポイントが上昇することが期待されています。
長い間日本経済が悪化している中で、インバウンド需要は日本のGDPポイント上昇と、日本経済を好転させるための重要な項目です。
日本の人口が減少している
少子高齢化が深刻化している日本では、年々人口の減少も進んでいます。
人口が減少するということは、日本国内の市場が縮小することを表し、日本企業は更なる苦境を強いられるでしょう。
これをわかりやすく例えると、日本全員が必ず毎年1つは購入する商品があるとします。
その商品を制作する企業は、かなりの売り上げが見込めます。
しかし、日本国内の人口が年々減少することで、毎年商品を購入してくれる顧客が減少するのです。
そのため日本人だけをターゲットとすると、その市場の規模は年々縮小していき、売り上げが減少する可能性があります。
ターゲットとする相手を外国人にまで広げ、企業として生き残る選択肢を不安必要があります。
インバウンド効果が見込める業界とは?
ここからは、外国人観光客が増加することでインバウンド効果を得られる業界を解説します。
観光業界
観光業界はインバウンド効果が最も得られると言っても過言ではありません。
観光業界と一口に言っても、それに含まれる事業は、宿泊業、各地の娯楽施設、お土産・名産品などです。
外国人観光客が増えることで、これらの業界の商品・サービスを利用する人が増加します。
コロナ禍で大打撃を受ける業界でもあり、インバウンド需要が戻った際には、しっかりと需要を取り込みたい業界と言えます。
航空・鉄道業界
航空と鉄道業界など、観光地を巡るために欠かせない産業もインバウンド需要を取り込みやすい業界です。
また、旅行代理店なども外国人観光客向けのツアーを提供することで、同じくインバウンド需要が見込めます。
これらの業界に関しては、外国人観光客が利用しやすい環境を整えることで、更なる利用者増加につながるでしょう。
例えば、航空業界では、国際線で日本に到着した外国人が、日本各地の観光地に行けるように、国内線への乗り継ぎが素早くできることで、利用者の増加が見込めます。
外国人観光客にとって、限られた旅行期間でスムーズに、利用しやすいサービスを提供できればインバウンド需要の効果が得られるでしょう。
飲食業
飲食業もインバウンド効果を得られる業界のひとつです。
記事の中でもコロナが収束した後に行きたい国ランキングとして、日本が1位になったと紹介しましたが、外国人が日本に行きたいと感じる理由の中に「食事のおいしさ」が挙げられています。
観光地で食べられる名物などを取り扱う飲食店では、インバウンド需要が回復した後に、観光業などと同様に効果が得られる業界でしょう。
アフターコロナのインバウンド需要予測
コロナ禍に入って長い期間が経ちましたが、「インバウンド需要がいつ戻るか?」や「観光客はどれくらい増える見込みか?」を気にしている方も多いのではないでしょうか。
いつアフターコロナ時代を迎えるか
仮に日本で新型コロナウイルスの感染者数が減ったとしても、世界的アフターコロナ時代を迎えなければインバウンド需要は見込めません。
また、一度感染状況が落ち着いたとしても、新たな変異株の誕生で、ウイルスの再拡大が避けられない状況です。
こうした環境の中、外国人観光客が日本に訪れる時代はまだまだ時間がかかる予想となっています。
しかし、コロナが収束し、気軽に旅行できる環境になった場合、多くの外国人観光客の訪日が望めるため、そのときを待って大きな飛躍につなげられる準備をしましょう。
インバウンド観光客の予測
記事の中で紹介している、日本政策投資銀行と日本交通公社が調査したアンケートで日本の人気が高まっていると言われており、コロナ収束後の外国人観光客は今までよりも増える見込みとなっています。
インバウンド需要回復前に備えておくべきこと
コロナ禍で外国人観光客が激減している中、今後の入国規制緩和が再開される前に備えておきたいことを解説します。
外国人採用の強化
外国人観光客が増えた場合、どう言った商品やサービスを求めているのかを的確に把握することが重要です。
企業の採用枠を外国人まで広げ、外国人目線の事業を取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、外国人目線を取り入れるだけではなく、外国人雇用者を雇い、日本の文化に触れた従業員が世界に日本の魅力を発信できる環境を整えることで、日本に訪れる観光客の増加に貢献できるかもしれません。
語学力向上
インバウンド需要を取り込むためには、外国人観光客が商品やサービスを理解する必要があります。
実際に来店した観光客に紹介するときや、インターネットでサービスを紹介するときも、外国語で紹介できれば、より多くの観光客に利用してもらえるでしょう。
近年では、英語に対応した会社が多く存在しておりますが、その他の言語、例えば中国語やスペイン語に対応できる従業員を配置して、インバウンド需要に備えましょう。
商品紹介方法の変更
店内の商品紹介方法やパッケージの紹介を、外国人でもわかる方法に変更しておきましょう。
外国語で紹介する方法もありますが、全ての国の言語に対応するのは難しいかもしれません。
店内であれば動画で商品紹介をしたり、商品のQRコードを読み込めば商品の使用方法を伝えたり工夫してみましょう。
まとめ
今回は、インバウンド需要に焦点を当て、重要とされている背景やインバウンド需要を上手に取り込む方法を紹介しました。
未だコロナ禍で先行きが不明な状況ですが、コロナが収束すれば多くの外国人観光客が日本に訪れる予想となっており、兆しは明るいでしょう。
コロナ禍を生き抜くために工夫しながらも、アフターコロナを見据え、インバウンド需要を取り込める体勢を構築しておきましょう。
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