- 就職/転職
- 2019.09.06 (最終更新日:2023.06.23)
転職志望動機の書き方「理由がない・転職回数が多い」ケース別例文集
転職における志望動機は企業からの第一印象を左右する重要な点ですが、いざ書く段階で何を書けばいいのか困ってしまう人も多々います。実はこれといった理由がなく転職したい場合や、これまでの転職回数が多く上手く志望動機がまとめられない場合に意識したいポイントがあるのです。
今回は転職志望動機で困った際に参考にしていただきたい「書くべきポイント」に加え、印象が悪くなってしまうNG志望動機やケース別志望動機の例文もご紹介します。志望動機が上手くまとめられずに困っている方は参考にしてください。
志望動機とは?
志望動機とは、文字通り「応募した企業で働きたいと思った理由」を指します。この世の中に星の数ほどある会社の中から、なぜ他社ではなくこの企業を選んだのか、納得できる理由を伝えて理解してもらうことが目的です。
入社したい理由を知りたいのはもちろんですが、入社後に何ができるか、会社の中で力を十分に発揮できるか否かを見極めるために必要なものといえます。
転職する際の志望動機の基本的な書き方
履歴書から過去の経歴やスキルなどさまざまな情報を知ることができますが、志望動機はその人が歩んできた過程や考えが、その人なりの言葉で読み取れる部分といえます。「履歴書の中で最も志望動機を重視する企業は23.3%ある」というデータがあるように、志望動機は非常に重要な項目であることは明白です。
志望動機で企業が見ているポイント
企業に伝えるための「伝わる志望動機」を書くためには、担当者がどの部分を重視してみているかを知る必要があります。担当者が志望動機で重点的に見るポイントは以下のとおりです。
志望度の高さ
企業研究や業界研究などから、自分の強みに絡めて伝える
企業への貢献度
身につけたスキルや経験がどのような形で貢献できるのかとその根拠
転職理由と退職理由の一貫性
転職理由と退職理由に一貫性がない場合、矛盾から志望動機自体に綻びが生じてしまうため
志望動機で志望する気持ちの強さや本気度を測っているといっても過言ではありません。だからこそ、志望動機の使い回しや手抜きをせずに熱意を持って書く必要があります。
志望動機の基本的な流れ
担当者が重点的に見るポイントを把握した上で、志望動機を文章に落とし込む際の基本形は「書き出し→転職理由→志望動機→入社後のビジョン」です。基本形をもとにした具体的な志望動機の流れは以下のとおりです。
1.書き出し
現職や前職での内容、身につけたスキルや経験など
2.転職理由
ポジティブな内容で表現。前職の悪口や批判は避けること
3.志望動機
入念な企業研究を元に自分に関連付けて書き、活かせる経験などもアピール
4.入社後のビジョン
入社してからの具体的なイメージと貢献度の高さを伝える
一連の流れから、自身で組み立てたストーリーが読み手にも伝わるように進めていく必要があります。いきなり結論や目標を伝えるのではなく、考えに至った経緯や理由を詳細に説明した上で志望動機を伝えることで、イメージがしやすくなる点がメリットです。
志望動機に必要なネタ探しのコツ
どうしても志望動機が思い浮かばない、どの企業も似た文章になってしまう場合もあるでしょう。志望動機に困った場合、必要なネタを探すことで志望動機が描けるようになる可能性があります。
志望動機に必要なネタ探しは「転職のきっかけを思い出す」「企業の強みと自分の共通点を探す」ことに隠されています。普段は意識しない部分ですが、志望動機として掘り下げていく上でさらなる深掘りが期待されるところです。
転職の志望動機NG例
転職の志望動機を書く際に避けるべき内容があります。避けるべき内容を書いてしまった場合、志望度が低いと思われるばかりでなく、仕事に対する熱意の低さや自分自身の甘さが露呈してしまうことになりかねません。転職の志望動機で避けるべき内容は以下のとおりです。
一方的に想いだけを伝える
以下は、一方的に思いだけを伝えようとしているだけのよくない志望動機の一例です。
「私は仕事を通じ、『人々の笑顔を絶やさない世界を作りたい』という目標を持っています。そのために貴社の企業理念にとても共感し、目標を実現できると確信しております。また、貴社のような成長企業に勤めることによって、私自身の成長にも繋がると考えております。様々な課題に取り組み、顧客に対して笑顔を届けられるよう、実現に向けて努力していきたいと考えております。」
一方的な憧れや想い、共感したポイントのみを伝える志望動機は避けるべきです。このような志望動機の場合、企業から「憧れ」「共感」だけで入社したい人、お客様気分が抜けない人と捉えられてしまいます。憧れや共感のみが志望動機の場合、入社したとしてもいち社員としての視野で物事を見られないと思われる可能性もあるのです。希望している企業の状態などに合わせた志望動機を考えられるようにしましょう。
お客様目線での志望動機
「実際に御社のこのサービスを利用してよかったと感じたため志望しました」では、お客様目線のみの感想でしかなく、志望動機とはいえません。会社が求めているのはいちファンではなく、会社の戦力として利益を生み出すことができるビジネスパーソンです。
もしも志望理由の原点がサービスや商品を利用したことがきっかけである場合、具体的な分析や説明、改善点などを提案することでプラス評価に繋げることが可能です。新たな視野での提案によって、「ファン」から「仕事の視野で物事を見ることができる人」に捉え方が変化するといえます。
受け身な志望動機
「研修制度に魅力を感じた」「御社で学ばせていただきたい」など、あくまで自分は学ぶ側とする志望動機は要注意といえます。
一見すると学ぶ意欲があるように見えますが、受け身な姿勢から学生気分が抜けていない人、貢献度が低い人と受け取られてしまいます。また、将来学んだ後その知識を元に辞めていく可能性を感じる場合もあるため、受け身な姿勢は志望動機に結びつかないといえるでしょう。
あくまで自分から学びにいく姿勢、得たものをさらにレベルアップさせ、新たなものを作り出すガッツをアピールすることが重要です。
給与や福利厚生、休みが魅力
働く以上、ワークライフバランスは重要であり高いパフォーマンスで仕事を続けていくために給与や福利厚生などはチェックするべき項目です。しかし、この部分のみを志望動機として挙げるのは不適切といえます。なぜなら会社は利益を生み出し、会社や社会に貢献するための場であり、一方的に恩恵を受ける場所ではないからです。
給与や福利厚生、休みのみを志望動機とした場合、仕事に対するやる気や貢献度が低いと見なされるでしょう。この場合、別の言葉に言い換える、他の志望理由や魅力的なポイントを探す努力が必要です。
人間関係・働き方への不満、家庭の事情など
人間関係や働き方への不満、家庭の事情などを理由に志望動機を作成するべきではありません。なぜなら、これらの内容は会社にとって無関係であり、あくまで自分自身の問題だからです。また、前職に関係する人間関係や働き方に対する不満を述べた場合「自社も同じように言われるのではないか」と思われるデメリットもあります。
「人間関係が悪かったから」「苦手な上司がいたから」「給与が低いから」などオブラートに包まない表現は用いず、なるべくポジティブな表現になる志望動機を探すべきです。
ケース別 転職志望動機の例文集
続いて、転職時によく書きがちな志望動機のNG例を見ながら、正しい文章を書く際のポイントをケース別にご紹介します。実際にどのような文章がNGなのか確認してみましょう。
明確な志望動機がない場合
「とにかく今働いている会社が嫌だ」「なんとなくこの企業で働きたいと思った」などの理由から、明確な志望動機がない状態で志望動機を書いてしまうと、説得力に欠ける文章になってしまいます。以下は明確な志望動機がない場合の一例です。
「現在働いている会社では、自分が成し遂げようと思っている目標を達成できないと感じました。貴社では目標を達成できると考えております。」
このように会社のせいにした志望動機はマイナスな印象をもたれる可能性があります。この文章を正しい文章にする際には以下のポイントを踏まえると良いでしょう。
- 成し遂げようとしている目標は何か
- 目標に対して、どのような行動で結果を出そうとしたのか
- その結果に対し、希望している企業ではどのような理由・プロセスで目標を達成できると思ったのか
具体的な内容が書かれていないため、さらに深掘りをしていく必要があります。面接官にネガティブな印象を与えないためにも、ポジティブな理由をもとに志望動機を書く必要があるでしょう。
転職回数が多い場合、スキルや経験などは評価される一方で「会社に入ってもまたすぐに転職してしまうのではないか」と思われてしまう可能性があります。また、これまでのキャリアなどが統一されていない場合、同じことを繰り返さないために、しっかりビジョンと照らし合わせて考える必要があります。
「これまで経験してきた企業では一定の成果を出し、新しいチャレンジを続けてきました。これまで培ってきたスキルや経験を生かし、次のチャレンジをしてきたいと思います。」
このような志望動機の場合、面接官に「会社への貢献度が低く、自分の成果を出したら、また転職をしてしまうのか」と捉えられる可能性があります。
しっかりと「これまでの経験と自分が思い描いている目標を紐づけたからこそ、この企業に入社したいと思った」というように、会社で働き続け貢献していきたい気持ちを伝えることが大切です。
転職回数が多い場合
自分のキャリアやスキルを向上させるために、未経験の業種にチャレンジを試みる場合もあるでしょう。しかし、未経験の業種への転職の際、経験やスキルの持ち合わせがないため「やる気」「意気込み」「理想」などの感情が先行する志望動機になりがちです。志望動機を考える際には、感情のみにならないよう根拠や自分の武器となるスキルも絡めた志望動機を伝えるように注意しましょう。
「私はこれまで営業職に4年間従事して参りました。しかし、今後のキャリアなどを考えた時にマーケティング職への興味が出てきました。マーケティング職としてどのような仕事をしているのか、詳細に把握できておりませんが、営業職で培った粘り強さを武器に可能な限り努力し頑張りたいと思います。」
この志望動機の場合、マーケティングに興味が出た経緯が不明確な点、詳細を把握していない点、なぜその会社でなければいけないのか説明していない点が不十分なところです。
もちろん未経験の場合、どのように仕事を進めていくのかわからない部分もあるでしょう。そのような場合は、志望動機を書く前に以下の順番で思考を整理する必要があります。
- なぜ志望している企業の業界に入りたいと思ったのか
- なぜこの業種に興味を持ったのか
- なぜこの企業で仕事したいと思ったのか
未経験者・第二新卒の場合
未経験者や第二新卒など経験が浅い、もしくは全くない状態の場合「なぜチャレンジしようと思ったのか」その原点を明確に説明することがカギとなります。理由となる原点を明確に説明した上で、未経験であるハンディキャップをカバーするポテンシャルをアピールすることが必要です。
「学生時代から現在まで、個人的な趣味でスマートフォン向けのゲームづくりをしてきました。現在、在籍するインターネット系の広告代理店では企画営業を3年経験してきましたが、社会人としての基礎的なスキルは一通り身についた今、改めて今後のキャリアを考えた時に、好きなゲームづくりを仕事にしたいと考え、転職活動をしています。御社では、これまでにVRを取り入れたゲームを3作品リリースされています。新しい技術を用いて、これまでにないゲームを開発したいと思い、御社を志望しました。開発だけでなく、広告の営業を通して身につけたWebマーケティングの知見を活かして、「売れる」ゲームの企画に携わりたいと考えています。」
引用:志望動機・志望理由の書き方【81職種の例文付き】|doda
未経験・第二新卒は知識や経験で経験者と同じ土俵に上がれませんが、ポテンシャルや過去の経験から得た知識や経験を応用する力を期待されている存在です。
業種別 志望動機の例文集
業種別に志望動機を書く際のポイントについて、例文を踏まえてご紹介します。業種によって気をつけるべきポイントが異なってくるため、注意が必要です。
介護の業種に転職したい場合
現在介護の仕事は人手不足が深刻化しているため、他の業種と比べて転職しやすい傾向にあります。人手不足が深刻化している原因の1つに同業他社との採用競争の激化が挙げられます。一口に介護と言えども、福利厚生や働きやすさなどは職場によって異なります。より良い環境といえる職場に転職するためにはしっかりと「なぜこの場所で介護の仕事がしたいのか」をはっきりさせなければなりません。
「私は1年間、父の介護をしておりました。介護の仕事はうまく行かないことや辛いことも多々ありますが、私の介護を通して父の体調が回復し、気持ち良さそうに生活している姿をみて、もっと多くの人の介護の役に立ちたいと思いました。また、私が介護を通して大切にしたいのは、介護士と要介護者が共に良い雰囲気で過ごすことができる環境です。そのために催し事などにも積極的に力を入れている施設への転職を希望しています。」
上記の志望動機は以下の内容から構成されています。
- 介護職を志望する理由
- 転職先を決める上で、大切にしていること
自分の経験から得た味方や考えを積極的に盛り込んでいる志望動機といえます。自分自身が介護の仕事を通して、どのようなことを実現していきたいのかを面接官に示すことによって、説得力のある志望動機を書けるのです。
不動産業界に転職したい場合
不動産を取り扱う仕事は企業によって対象となる顧客が異なりますが、多くのシチュエーションで「営業力」が必要とされます。必要とされるスキルである営業力があることをアピールしつつ、企業の特色に合わせた志望動機を書くように意識しましょう。「私はこれまで個人向けの営業職の会社員として現在の会社に5年ほど勤めてきました。具体的な業務はアポイントメントから商談、契約回りまで全て行っておりました。よって、個人の顧客とコミュニケーションを取り信頼関係を構築することには自信がございます。また、今回貴社に応募をした理由はいくつかありますが、投資用物件を数多く取り扱っていることが大きな理由です。近年シェアリングエコノミーなどの市場成長から大きなビジネスができると思っており、新しい事業にも積極的に取り組んでいる姿勢にも非常に共感しております。」
上記の文章は以下のようなポイントで書かれています。
- 実際行ってきた営業の仕事を通じて意識してきたこと
- 「仕事上の大きな目的」や「企業の姿勢」などに触れている
営業力やコミュニケーション能力が求められるのはもちろんですが、それらに加えたプラスアルファのオリジナリティある付加価値が必要になります。顧客に対しどのような価値提供ができるのか、企業の中でどのようなことを行っていきたいのかについて、より明白に伝えることを意識しましょう。
志望動機・志望理由についてのQ&A
Q1.面接に合格するためのコツは?
A1.志望動機をしっかり作成した後は、それを面接の場で100%伝えることが重要になります。どれほどいい志望動機を作ったとしても、面接で相手に伝わらない、納得できないものであれば合格は遠のくでしょう。
面接に合格するための基本は相手にわかりやすく、正しく伝えることです。ゆっくり大きな声を意識しながら、敬語や意味などを正しく用いてください。志望動機で書いた内容について、過去の例やエピソードなどを用いて具体的に説明することでイメージとして捉えやすくなり、面接官に理解してもらいやすくなります。
Q2.仕事内容を重視するあまり、なぜこの会社を志望するか明確な理由や特徴が思いつかない
A2.「なぜこの会社でなければならないのか」に焦点に絞る場合、会社ならではの強みやPRしたいことに触れることをおすすめします。会社として強みとしていることや、外部にアピールしたい内容については公式ホームページはもちろん、会社資料や代表者が執筆した本、プレスリリースなどに書かれていることが多いのです。
得た知識や情報を元に「なぜその仕事を志望するのか」に掘り下げていくことで納得できる志望動機ができるでしょう。しかし特色のみを羅列した志望動機の場合、付け焼き刃の印象を持たれてしまいますので、あくまで自分のことと絡めてまとめるべきです。
Q3.履歴書と面接で志望動機の伝え方に違いはある?
A3.履歴書と面接で志望動機を伝える際に押さえておくべきポイントの違いがあります。
- 履歴書: 端的に志望する理由をまとめる。100〜300字程度が目安
- 面接: 履歴書で書いた志望動機を軸に、1〜2分でわかりやすく伝える。 志望動機に書いたキーワードの掘り下げや具体的なエピソードなどを盛り込むと、話の深みやオリジナリティが生まれる。
履歴書では限られたスペースを有効活用しながらいかにわかりやすく伝えるかが重要です。それに対し、面接では相手により伝わりやすくするために履歴書では盛り込めなかった志望動機の詳細を伝えることが必要となります。
Q4.競合他社との比較はOK?
A4.競合他社との比較から得た分析を伝えることで、志望の高さを際立たせる根拠の裏付けが可能になります。企業は志望者が「他ではなく、この会社を選んだ理由」を知りたがります。競合他社との比較は十分な企業研究を行ってきたこと、そして志望度の高さをアピールする武器になるのです。
競合他社と比較した上で、現状での強みと弱み、課題点や改善すべき点を伝えることで説得力や志望度の高さに繋がります。
まとめ
今回は、志望動機の基本的な書き方から業種別の志望動機例文までご紹介いたしました。転職の際に重視される志望動機は、自分の気持ちを面接官にしっかりと伝えることが重要です。そのためにも、企業や業種によって書き出す際のポイントをしっかりと押さえなくてはなりません。
「転職したい」という自分の気持ちについて、理由や根拠をしっかりと整理した上で前向きな決断をできるように意識してみましょう。転職を希望するものの、志望動機の書き方に悩んでいる方は、この記事を参考に書き方や志望動機を考えてみてはいかがでしょうか。
転職の際の面接のマナーについて知りたい方は、下記記事もあわせてお読みください。
関連コラム