- 取組事例
- 2022.01.25 (最終更新日:2022.03.27)
アイドマ・アイサスとは?2つの特徴とメリットの違いについて
マーケティングフレームを活用しよう
皆さんは、アイドマモデルやアイサスモデルと言われるマーケティングフレームをご存じでしょうか?
マーケティング部門の分析を行う際は、こうしたフレームやモデルに当てはめて消費者購買行動を分析すると、より的確に、且つ効率的に分析が進みます。
マーケティングフレームは、長きにわたり使用されているものから、近代の購買行動に適したモデルもあり、上手に使いこなすのが重要です。今回は、アイドマモデルとアイサスモデルを中心に、マーケティングフレームを紹介し、その概要や、特徴の違いを解説します。
アイドマ(AIDMA)とは?
まずはアイドマモデルの概要について解説します。
概要
アイドマ(AIDMA)とは、1920年代のアメリカで提唱された、消費者の購買行動モデルです。
アイドマモデルが誕生してから100年程度の年月を経過していることもあり、消費者購買行動モデルのひな形として用いられています。
AIDMAという名前は、以下5つのプロセスの頭文字を取って名づけられています。
-
A→Attention(認知・注意)
-
I→Interest(興味・関心)
-
D→Desire(欲求)
-
M →Memory(記憶)
-
A→Action(行動)
アイドマモデルでは、消費者が企業のサービスを利用する過程では、まず初めに企業の存在を認知し、企業のブランドや企業が提供する商品・サービスに対して興味・関心を持つところから始まるとされています。
企業の商品・サービスに興味を持つと、実際に利用してみたいという欲求が生まれ、その欲求が記憶され、行動(購買)に移るという流れです。
例えば、消費者がテレビCMで企業の存在と提供する商品・サービスを認知したとします。
企業の存在を知った消費者は、自らその企業のことをネットで調べたり、実際に店舗に訪れたりするでしょう。
そして商品・サービスを利用したいという欲求が生まれ、消費者の記憶に残り、購買行動に移るのです。
このアイドマモデルの5つのプロセスは、大きく分けて3つのステップに分けられます。
まず第1ステップでは、認知・注意が該当される「認知段階」です。
第2ステップは興味・関心と欲求、記憶が該当される「感情段階」、第3ステップとして、行動が該当される「行動段階」に分けられます。
つまり、プロセスとしては5つの行程がありますが、実際に使用する際は3つのステップとして扱われることが一般的です。
なおアメリカでは、記憶のプロセスを抜いたAIDA(アイダ)というモデルとして使われることもあります。
アイドマの法則はもう古い?
上述したように、1920年代に誕生したアイドマモデルですが、現代においてはこのモデルが古いという意見があるのも事実です。
実際に、時代に合わせた新しい消費者購買行動モデルが誕生し、アイドマモデルは古い考え方だと感じる方も多いかもしれません。
しかし、新しく誕生した購買行動モデルはアイドマモデルが基となっていることが多く、新しいモデルを使用するためにもアイドマモデルの理解が重要です。
長きにわたり活用されてきた定番モデルでもあるため、初めて消費者購買行動モデルを使用する方は、まずはアイドマモデルを活用してみるといいでしょう。
アイドマモデルの理解が進んだ後に新しいモデルに着手すると、新しいモデルの効率的な活用ができるかもしれません。
アイサス(AISAS)とは?
次にアイサスモデルについて解説します。
概要
アイドマモデルが誕生して70年程度が経過した2004年、日本企業の電通が提唱したのがアイサス(AISAS)理論です。
アイサスモデルは、アイドマモデルにインターネットが普及した時代で適用できるように発展させたモデルと言われています。
AISASという名前は、以下5つのプロセスの頭文字を取って名づけられています。
-
A→Attention(認知・注意)
-
I→Interest(興味・関心)
-
S→Search(検索)
-
A→Action(行動)
-
S→Share(共有)
上記のプロセスを見て分かるように、A(認知・注意)とI(興味・関心)はアイドマと同じプロセスを踏んでおり、後半の3つが異なる点が特徴です。
アイサスモデルでは、インターネットが普及した近代社会において、人々の当たり前となった検索と共有が追加新たにされました。
近代社会では、消費者が企業の商品・サービスを認知し、興味・関心を持った後、インターネットを利用して検索というステップを踏むと言われています。
また、行動(購入)をした後に、商品の使い心地や自身が感じた所感をSNS上で共有するまでが購買行動モデルに含まれるとされています。
Twitterやインスタグラムを基本として、近年ではYouTubeやTikTokでの商品紹介も普及しており、共有という購買行動は、日本においても身近な行動です。
アイドマとアイサスの違い
次に、アイドマモデルとアイサスモデルの特徴とメリットの違いについて解説します。
特徴の違い
アイドマモデルでは、消費者が企業の魅力を認知するのと、関心を持つのは、テレビや新聞などのマスメディアなどの広告によるものとされていました。
つまり、消費者は企業の情報を受身の姿勢で受け取ると定義しています。
一方、アイサスモデルでは、インターネットやSNSを活用して、消費者が情報を受け取りに行く姿勢で認知と興味・関心のプロセスを踏むとされており、この消費者の姿勢が両理論の大きく異なる点です。
また、アイドマモデルでは、消費者の購買行動は行動(購買)で終わると考えられていましたが、アイサスモデルでは消費者が商品・サービスを利用した後に「共有」するまでが購買行動に含まれると考えられています。
インターネット環境やPC・スマホなどの端末が進化する現代において、アイサスモデルの方がより近い購買行動モデルとして用いられています。
メリットの違い
ここからは、アイドマモデルとアイサスモデルのメリットをご紹介します。
上述したように、アイサスモデルの方が近年の消費者購買行動に近い分析が行えますが、企業の置かれている環境やターゲット、経営手法によってどのモデルを活用すべきかは異なるのです。
これから紹介するメリットを確認し、自社に合うモデルはどちらか参考にしてみてください。
アイドマモデルを活用するメリット
企業のマーケティング部門や顧客に対するサービスを日々考えるCS部門の担当者が、顧客に自社の商品・サービスを利用してもらうためにはどうしたらいいのか把握する際、顧客の購買行動を分析しているだけでは、いい解決策を見つけ出すことができないこともあるでしょう。
そこで、アイドマモデルを活用してマーケティング分析を行うと、企業の認知から購買までのプロセスで何が問題なのか段階ごとで分析できます。
例えば、アイドマモデルを活用し、最初のステップである「認知」に問題があったとして、企業がやるべきことは、消費者に自社の存在や商品・サービスの魅力をアピールすることだとわかります。
また、アイドマモデルを活用し、消費者に「認知」してもらい、「興味・関心」を持ってもらっていることがわかったとしましょう。
しかし、その次の「欲求」と「記憶」までに結びつけていないとした場合、商品に更なる価値を付け加え、消費者のインパクトに残るような商品アピールに重きを置けばいいことが分かります。
解説したように、5つのプロセス、または3つのステップのどこに問題があるのかが把握できる点と、何の対策を行えばいいのかが明確になる点が、アイドマモデルを活用するメリットです。
アイサスモデルを活用するメリット
次にアイサスモデルを活用する際のメリットについてです。
アイサスモデルを活用するメリットは、インターネットを主軸とした近代的な消費者の購買行動が分析できる点です。
近年の消費者購買行動は、自らで企業の情報を取りに行くとされており、アイドマモデルで分析しないインターネットを活用する購買行動を分析できます。
その他の購買行動モデルとは?
最後に、アイドマモデルとアイサスモデル以外の消費者購買行動モデルをご紹介します。
SIPSとは?
今回紹介した2つの理論以外で有名なモデルがSIPS(シップス)です。
シップスは、2011年に誕生したモデルで、アイサスモデルよりもSNSの影響を分析できるモデルと言われています。
SIPSの意味は以下の通りです。
-
S→Sympathize(共感する)
-
I→Identify(確認する)
-
P→Participate(参加する)
-
S→Share & Spread(共有 と 拡散)
アイサスモデルと同じく、インターネットを利用した購買行動モデルの分析に適していますが、シップスではより深い分析をしているのが特徴です。
特に、購買行動の始まりがCMなどの広告によるものではなく、SNS上で他の人が紹介している商品に共感するところがスタートと定義しています。
また、消費者が商品・サービスを利用した後に「共有と拡散」することで、新たな「共感」を生むと考えられており、SNSで情報を発信・受信する若者をターゲットとする事業に向いているモデルと言えるでしょう。
ARCAS
次にARCAS(アルカス)をご紹介します。
アルカスモデルは、アイサスモデルと同様、日本企業の電通が提唱したモデルで、消費者が店頭に訪れ、購入から再来店するまでの購買行動を整理するためのモデルです。
アルカスの意味は以下の通りです。
-
A→Attention(気づき)
-
R→Remind(思い起こし)
-
C→Compare(比較)
-
A→Action(行動)
-
S→Satisfy(満足)
今回紹介したモデルは、いずれもCMや新聞、SNSを活用した広告活動を考慮できるモデルでした。
しかし、アルカスは広告活動というよりか、店内での消費者に与える影響や購買意欲に着目しているモデルです。
そのため、店内のレイアウトや接客態度、期間限定キャンペーンのPOPなどのプロモーション分析に使用されることがあります。
まとめ
今回は、アイドマとアイサスモデルを中心に、消費者の購買行動モデルを紹介しました。
アイドマモデルは100年ほど使われているモデルで、現代ではひな型のモデルとして扱われることがありますが、現代でも十分通用するモデルです。
アイドマモデルで分析できない内容については、アイサスモデルやシップスモデルなど、新しいモデルを使い分けることで、企業にとって必要な分析ができるでしょう。
今回紹介した各モデルの特徴を把握して、自社に合ったモデルを選んでみてください。
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