- 取組事例
- 2022.01.04 (最終更新日:2022.04.05)
企業がバリアフリーを導入する意味とは?その種類と導入例をご紹介
あらゆる人に親切な会社を目指して
近年では、「ダイバーシティ」という考えが広まりつつあり、さまざまなバックグラウンドや考えを持った人が社会に進出しています。
その中でも障害を持った人が社会に進出する機会が増え、企業ではバリアフリーに対する注目が高まっているのです。
しかし、バリアフリーと一口に言っても、何から手をつければいいかわからない方もいるかもしれません。
今回は、バリアフリーの基本情報から導入すべきバリアフリーをご紹介します。
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バリアフリーとは?
まずはバリアフリーの基本情報と、注目されている理由を解説します。
概要
バリアフリーとは、「バリア(障壁)」が「フリー(取り除かれた)」という意味で、障害を持った人が過ごしやすい環境にするのがバリアフリー対策です。
近年では、皆さんの身近な公共施設などでバリアフリーが進み、スロープやエレベーターなどが多く備わっているのではないでしょうか。
バリアフリーが必要な人は、高齢者や障害を持った人が該当すると思われがちですが、怪我をしてしまった人も含まれます。
どんな人にとっても優しい街づくり、環境づくりはバリアフリーが目指すゴールと言えます。
バリアフリーが注目されている理由
2006年に「バリアフリー新法」という法律が制定され、それ以降の日本では、あらゆる場所でバリアフリー化が進みました。
特に高齢化が進む地域の各役所では、体の障害を持った人だけではなく、高齢者に配慮した施設に整備が進んでいます。
こうしたバリアフリー化は、国や自治体だけが力をいれているのではなく、一般企業にも波及し始め、現在では多くの企業が取り入れる時代になりました。
バリアフリー化の広がりが、さらなる注目を生み、年々取り組む組織の規模が増加傾向にあるのです。
企業がバリアフリーを導入する意味とは?
ここからは、なぜ企業がバリアフリーを導入する必要があるのか、その理由を解説します。
障害者雇用の広がり
バリアフリー化が進んでいる背景には、障害者雇用の広がりが影響しています。
2006年に「障がい者雇用促進法」という法案ができ、公共機関や企業で積極的に障害者の雇用が求められるようになりました。
この法律は、障害を持った人が安定した職に就けること、また安定した生活を送れることを目的としています。
今まで職に就けなかった障害者も、社会に参画できる世の中を作ることが、この法律の目指すべきおゴールなのです。
また、IT技術の向上とリモートワークの普及により、働く場所や時間を問わない働き方が普及するようになり、今までよりも障害を持った人が社会に進出できる機会が増えているのではないでしょうか。
ダイバーシティへの理解の高まり
障害を持った人だけではなく、さまざまなルーツや考え方、価値観を持った人を受け入れる「ダイバーシティ」という考え方も広がりを見せています。
例えば、ひと昔前までは、「この企業に入れるのは◯◯大学出身以上」などと、その企業に入れる人のスキルや人間像が非公式に決まっていることもありました。
しかし現在では、「今まで採用してこなかったあらゆるルーツを持った人を受け入れる」姿勢が広まりつつあります。
国籍や年齢、性別や宗教などあらゆる多様性を認める社会になり、障害を持った人の採用も多様性の一つとして受け入れられつつあるのです。
ユニバーサルデザインの広がり
ユニバーサルデザインという言葉をご存じでしょうか?
ユニバーサルとは、「すべて共通な」という意味があり、ユニバーサルデザインは「全ての人に優しいデザイン」という意味を含んで使われています。
つまり、体が不自由な人や高齢者だけに配慮するのではなく、その環境で生活するすべての人が快適で安全に過ごせる環境を目指しているのです。
このユニバーサルデザインが目指すゴールは、バリアフリーが持つ「体が不自由な人にとって障害を感じるものを取り除く」考え方と共通する部分があり、両方を同時に取り組む自治体・企業が増えました。
導入例を挙げると、フォークリフトなどの特殊車両が走る工場内で、人が歩く動線と車両が通る動線を色分けし、聴覚障害を持った人でも働きやすい環境にするのと同時に、死角の多い場所にはカーブミラーを設置し、人と車がぶつからないように配慮した企業が存在します。
こうしたあらゆる人にとっても快適に過ごせる施設・設備を整えることをユニバーサルデザインと言います。
ユニバーサルデザインの広がりが、バリアフリー化にも影響し、両方同時に重要視されるようになったのです。
会社が取り組むべきバリアフリーの種類
ここからは、現代の企業が求められているバリアフリー対策をご紹介します。
近年、多くの企業で取り組まれているバリアフリー対策は大きく分けて2種類あり、ハード面とソフト面の対策があります。
ハード面の対策は、多くの企業や公共機関で取り入れられているので、まだ取り組んでいない企業ではハード面のバリアフリーから導入してみましょう。
ハード面のバリアフリー
まず初めに、ハード面に関するバリアフリーをご紹介します。
会社で働いている社員や顧客がどう言った障害を持っているかによって、対策をとるべきバリアフリーは異なります。
ここからは、取り組むべきバリアフリー対策の紹介と併せて、誰のためのバリアフリーなのかを解説しますので、企業で取り入れた方がいいと思われるものを積極的に導入してみましょう。
スロープの設置
皆さんの身近な公共機関やお店で、スロープを設置している施設が多く存在するのではないでしょうか。
スロープはバリアフリー対策の中でも取り入れられやすいもので、車いすの方が移動できるように対策しています。
車いす以外の方でも、階段が登り降りできない高齢者にも配慮できるバリアフリーです。
障害者用のトイレの設置
スロープと同じくらい重要なバリアフリーは障害者用のトイレです。
障害を持った顧客や従業員が会社の施設内にいる場合、トイレを障害者が快適に利用できる作りになっていなければ、障害を持った方は安心して施設を利用できないでしょう。
障害者用のトイレは、一般的には車いすの方でも利用できるような作りになっていることが多く、通常のトイレよりも大きく作られています。
エレベーターの設置
4階以上ある建物内にはエレベーターが設置されていることがありますが、それ以下の階数の施設ではエレベーターが設置されていない場合があります。
車いすの人は当然なこと、足が悪い人や松葉杖をついている人にとってもエレベーターは大変重要です。
設置するのに高額なコストがかかってしまい、設置するのはハードルが高いかもしれませんが、利用する全ての人が快適に過ごすためにもエレベーターの設置は必要不可欠でしょう。
点字案内の整備
利用する人の中に、目の不自由な人がいる場合は、施設内の点字案内を整備しましょう。
目の不自由な人は、補助が必要になることもありますが、従業員のように毎日その施設を利用する人は、自分で確認できた方が安心できるケースもあります。
施設内のあらゆる案内表示を点字と一緒に表示することで、目の不自由な方でも快適に利用できるでしょう。
ソフト面のバリアフリー
次にソフト面に関するバリアフリーの紹介です。
施設のようなハード面のバリアフリー対策だけで、障害を持った人が会社で快適に働けるとは限りません。
会社の制度や従業員間の意識もバリアフリーに対応できるように整えましょう。
障害者の業務への配慮
障害を持った人を複数雇用する場合、全員の業務を一括りにしてしまうと業務ができる人、できない人で分かれてしまうでしょう。
障害といっても、状態と程度はその人によってさまざまで、どう言った業務が行えるのかも人によって異なります。
一人ひとりと対話して、その人が最大限の力を発揮できる業務は何か検討が必要です。
労働環境への配慮
障害者を雇用している会社では、障害を持った人でも、自身のスキルや知識を最大限発揮できる環境に整える必要があります。
通院が必要な従業員に対しては、時差出勤や特別有給を付与したり、車いすなどの従業員に対しては、通勤ラッシュを回避する就業時間を設定したりしましょう。
従業員が持つ障害に合わせて、必要な制度を導入が必要で、どうしたら快適に業務にあたれるのかを従業員と対話しながら設定していく必要があります。
社内意識への配慮
障害者を雇用する場合、施設面や制度などのバリアフリー化は重要ですが、従業員全員の理解や意識の統一が必要です。
障害者に対する差別や偏見を他の従業員が持たないように、社内教育を行い、社内全員で支え合って働ける環境を作りましょう。
心のバリアフリーにも取り組む
次に心のバリアフリーという考え方を解説します。
心のバリアフリーとは?
バリアフリーと言えば、体が不自由など目に見える障害を持った人に対するケアという認識になるかもしれません。
しかし、心の状態が不安定で、自由な考え・発想ができない人もバリアフリーが必要です。
近年では、精神的な不調から会社を休んだり、退職したりする人が増加傾向で、働く人の心が脅かされています。
バリアフリーやユニバーサルデザインなどの活動は、「全ての人に優しい社会」を目標としており、こうした精神的な不調を抱えている人にも手を差し伸べるべきです。
社内で精神的不調で休職や退職が増えている会社は、心のバリアフリーも取り入れてはいかがでしょうか。
導入例
ここからは、心のバリアフリーの具体的など導入例をご紹介します。
ストレスチェックの実施
精神状態を安定させるには、自身の精神状態を把握する必要があります。
近年では、従業員にストレスチェックを受けてもらい、ストレス具合・精神状態を確認している企業が増加しています。
メンタルヘルス講習
メンタルヘルスでは、精神の健康維持するためにはどうしたらいいかを社員に教育します。
精神的な不調は、外的要因に影響を受けることもありますが、自分でセルフケアできるものも存在し、それらをケアするために必要なことを従業員が理解することで、精神的不調を回避できることもあるのです。
カウンセリングの実施
ストレスチェックを実施し、従業員の結果が悪かった場合、実際にカウンセラーを会社に呼んで、カウンセリングできる機会を設けましょう。
自分からは進んでカウンセリングにいけない人でも、会社で行うことで躊躇せずに相談できるかもしれません。
まとめ
今回は、バリアフリーの概要と導入例、また心のバリアフリーについても紹介しました。
現代は多様性を認め合う時代で、あらゆる人が社会に進出しています。
さまざまなハンデを抱えている人も勇気を出して社会に参画しており、そう言った人たちが快適に、安心して過ごせる機会を設けてあげることが企業にとって必要なことです。
少しずつでも、小さいことからでもいいので、取り入れてみましょう。
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