- 取組事例
- 2021.12.23 (最終更新日:2022.04.06)
エンゲージメント向上で人材流出防止?その効果と実施方法について
- 目次
社員と会社の絆を大切にしよう
しかし、その商品やサービスを生み出すのは従業員で、従業員と企業が良好な関係でなければ企業の価値を提供するのは難いでしょう。
近年では従業員と企業の関係を良好にする動きが始まっており、こうした動きをエンゲージメントと呼びます。
今回は、企業と従業員の信頼関係を築くためのヒントを紹介し、エンゲージメント向上のために行うべきことを解説します。
エンゲージメントとは?
ここからはエンゲージメントの意味、従業員満足度との違いについて解説します。
意味
エンゲージメントをネットで調べると、「約束」や「契約」、時に「婚約」といった意味を持つと紹介されており、これだけではなぜ企業で注目されているのかわからないのでないでしょうか。
実はエンゲージメントという言葉は、使うシチュエーションで意味が異なり、多くのことを指す言葉なのです。
企業でエンゲージメントという言葉を使用するときは、一般的に「愛着心」や「愛社精神」、「思い入れ」といった意味で使われ、エンゲージメントが高い状態の企業を愛社精神の強い社員が所属することを指します。
従業員エンゲージメントとは?
企業では従業員エンゲージメントという言葉も存在します。
従業員エンゲージメントとは、「企業と従業員が共に共存共栄の関係」であることを指し、お互いに信頼し、共に成長できる関係を築くことをいいます。
企業が激しい競争を勝ち抜くためにも商品・サービスの品質向上は必要不可欠です。
商品・サービスの品質を向上させるには、従業員の職場環境を改善し続ける必要があり、企業側からのサポートが重要になります。
近年では、企業の成長には従業員エンゲージメントの向上が必要であるという認識が高まっており、積極的に従業員エンゲージメントを高める活動が行われています。
従業員満足度(ES)との違い
従業員エンゲージメントと似た言葉で、「従業員満足度」という言葉があります。
どちらも企業の居心地の良さを表す言葉ですが、この二つの言葉には明確な違いが存在するのです。
従業員満足度を高めるとは、給料・取得可能な休暇日数・職場の人間関係・福利厚生など、会社が用意することの満足度を高める目的があります。
従業員満足度を上げることで、社員の離職率を下げる効果が期待できますが、従業員が会社への貢献意欲の向上は期待できません。
一方、従業員エンゲージメントを高めるのは、企業と従業員が共に成長するために良好な関係を築く目的があり、会社・組織への貢献意欲向上も期待できます。
エンゲージメントがもたらす効果とは?
ここからは、エンゲージメントを高めることで得られる効果について解説します。
優秀な人材確保につながる
企業と従業員が共に成長できるよう関係を構築することで、従業員のスキルや人格形成が自然と図れることもあります。
同じような人材を育てるためには、社内研修・教育に力を入れる必要があります。
エンゲージメントを向上させる活動の過程には、従業員のスキルや考え方のレベルを向上させる要素があり、優秀な人材の育成が可能でしょう。
また、エンゲージメントが高まることで、企業に対する愛着がより深まり、離職率低下にも貢献できます。
採用活動費の削減につながる
エンゲージメント向上は優秀な人材確保につながり、採用に力をかけすぎる必要はなくなります。
転職が当たり前の時代になり、離職率が増加している企業が増えている中、離職率の低下に貢献します。
エンゲージメント率を向上させるステップ
ここからはエンゲージメント率を向上させるために必要なステップをご紹介します。
エンゲージサーベイの実施
まずは、自社のエンゲージメント率を把握するところから始めましょう。
エンゲージサーベイと言われる、調査や組織診断などの従業員エンゲージメント率を確認するサービスを提供している企業があり、このようなサービスを活用することでより細かいデータの把握につながります。
エンゲージサーベイでは、会社と従業員間、従業員同士などタテとヨコのつながりについて細かく審査し、課題はないかを洗い出します。
課題の抽出と分析
次に、エンゲージサーベイの結果を基に、自社の課題や改善すべきポイントを分析しましょう。
課題の分析を行う際のポイントは、なぜこう言った状況になっているのかをしっかりと突き止めることです。
例えば、企業と従業員間のエンゲージメント率が低い結果になった場合、すなわちお互いに信頼関係が築けていない結果となったことになりますが、なぜこういう状況に陥ったのかを分析しましょう。
そこには、経営層の考えが従業員に伝わっていない可能性がありますし、従業員が現場で努力や工夫をしているのが会社全体に広まっていない可能性もあります。
サーベイで出た結果に対して、「なぜ?」を繰り返して議論することで、根本的な原因の把握につながり、とるべき対策もより明確なものが見つかるでしょう。
課題に対する社内施策や制度の見直し
2つ目のステップで洗い出した課題を解決できる具体的な行動を実行しましょう。
もし課題が複雑で、とるべき対策が浮かばないとしても、まずは実行してみることが大切です。
しっかりと会社側と従業員側で議論し合い、その時にベストな施策や制度の見直しを実行し、それでもうまくいかない場合は、再度議論し、失敗経験を活かしながら活動しましょう。
社内施策の実行と見直しを継続
最後に、実行した施策や制度が適切かを確認することを忘れないように心がけましょう。
一度成功した施策でも時間が経つにつれ効果が薄れることもありますし、次の課題が発生し、エンゲージメントの低下につながることも可能性としてあります。
3つ目・4つ目のステップでは、PDCAサイクルを意識して行動するのもいいでしょう。
会社と従業員が良好な関係を築けるまで何度もトライアンドエラーを繰り返し、うまくいかなかった原因をお互いに議論しながら進めることをおすすめします。
エンゲージメントを向上させる具体的な施策例
上記でエンゲージメントを向上させるためにとるべきステップについて紹介しましたが、実際に何をすればいいかわからない方もいるかもしれません。
ここからは、具体的な施策例を紹介し、エンゲージメントを向上させるコツを解説します。
会社の情報を隠さずに従業員に伝える
サーベイにて、会社と従業員間のエンゲージメントに課題があると診断された場合、会社の伝えられる情報をスピーディーに共有してみるのもいいでしょう。
会社側には従業員に伝えられない情報もあると思いますが、企業の将来の計画やビジョンを従業員が把握できていないと、企業と従業員が共に成長するというエンゲージメントにあるべき姿は実現できません。
従業員から「その計画は聞いていない」と思わせてしまうと、企業に対する不信感を産む可能性もあり大変危険です。
できるだけ多くの情報を従業員に共有し、共に成長する姿勢を企業側からも見せる必要があります。
また、従業員に伝えられない情報であったとしても、その概要や将来像を共有しましょう。
お互いのコミュニケーションが円滑にできているかがエンゲージメントの高低に影響します。
従業員と経営層が価値観を共有する
同じく企業と従業員のエンゲージメントに課題があると診断された場合、お互いの価値観を共有するのも効果的です。
企業も従業員もお互いに企業の成長という同じゴールがあるものの、歩む方法に違いが生じてしまうケースがあります。
企業はより利益が出る方法や、コストを抑える方法を選びがちで、従業員は直接顧客の声に触れる機会が多く、顧客目線の商品・サービスの提供を望みやすい傾向にあります。
どちらの方法も決して間違いではないものの、視点が異なっているためお互いに議論する時に対立してしまうこともあるでしょう。
こうしたことが起こらないように、常にお互いの価値観を共有し、会社全体としてとるべき方法は何かをお互いが納得して設定できるように関係を構築しましょう。
従業員が働きやすい環境を整える
次に、従業員のやる気やヨコのつながりに問題があると診断された場合、従業員が自身の能力を最大限発揮できる環境の整備に取り掛かりましょう。
従業員が高いモチベーションを維持できない原因は多数存在することもありますが、社員の能力が発揮できない業務を行わせるのは、従業員にとっても、会社にとってもメリットはありません。
社員が100%の力を発揮できる部署につかせられるように、人材公募制度を導入するのもいいでしょう。
従業員との対話で、従業員が働きやすい環境をつくるために取るべき対策を検討しましょう。
健康経営を導入してエンゲージメントを向上させる
ここからは、近年注目を集めている健康経営の巧みに活用してエンゲージメントを向上させる方法を解説します。
概要
健康経営は、従業員の健康を会社側がサポートすることをいい、ストレス社会やコロナ禍と言った人々の健康を脅かす時代で特に注目されている企業活動です。
従業員のモチベーション低下や、働く環境に対する不満は、企業の施策として取り組む必要がありますが、一部健康経営で解決できる内容もあるので試してみるのもいいでしょう。
導入例
ここからは具体的な導入例をご紹介します。
ストレスチェック
従業員のエンゲージメントが低下している原因として、ストレスが溜まっているケースも可能性として考えられます。
社員がストレスを感じていないかを確認するストレスチェックの実施は、働きやすさ向上ややる気アップへの貢献が期待できます。
従業員のストレスの原因を追究し、根本的な問題を解決することで、従業員エンゲージメントの向上がみられるかもしれません。
メンタルヘルス
ストレス以外にも、精神的な不調によって働くモチベーションが向上しないケースもあるでしょう。
精神的な不調は目で確認できず、自分自身でも気づきにくい傾向があるため注意が必要です。
こうした不調を訴える従業員が発生しないように、メンタルヘルスを導入し、カウンセラーなどの専門的知識がある人のケアを取り入れるのもいいでしょう。
まとめ
今回は、エンゲージメントがもたらす効果やエンゲージメントの向上のために踏むべきステップを紹介しました。
企業の発展には従業員の力が必要不可欠です。
また、従業員が成長するためにも企業のサポートが必要で、お互いに信頼関係を築くことで企業にとっても従業員にとっても明るい未来を切り開けます。
今回紹介した具体的な施策例などを積極的に取り入れ、エンゲージメント向上を実現しましょう。
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