- 健康経営
- 2021.12.13 (最終更新日:2022.04.06)
ジョブ・クラフティングとは?仕事へのやる気を高める方法について
- 目次
ジョブ・クラフティングの必要性
皆さんは「ジョブ・クラフティング」という言葉をご存じでしょうか。
私たち社会人は、日々仕事に追われ人生の多くの時間を仕事に費やしています。そんな日々の仕事を嫌々ではなく、楽しさややりがいを感じながら行えるようにしたい、と思う人は多いことでしょう。
上司から与えられた業務を機械的にこなすことや、希望と異なる部署での業務をすることはとても退屈に感じてしまいます。
どんなに好きなことでも、企業の意向や上司の指示に従うだけの作業になっている場合は、元々あったモチベーションが下がることによって、企業の生産性や成果物の質にも大きく響いてしまいます。
そこで必要になるのが、ジョブ・クラフティングという取り組みです。
ジョブ・クラフティングの意味とは?
ジョブ・クラフティングとは、自身の仕事に対して自信やこだわり、プロとしての責任を持ちながら質の高い仕事を行うための意識の持ちようを意味します。
また、誰かの指示ではなく、従業員一人ひとりが仕事に対する考えや向き合い方を、自分自身の意思で見直し、退屈だった業務などをやりがいのあるものに変えていくことで、仕事パフォーマンスの向上に繋がるという考え方です。
ジョブ・クラフティングの取り組み例
誰もが知る東京ディズニーリゾートでも、ジョブ・クラフティングは取り入れられており、園内で働く清掃員が模範となる事例です。
東京ディズニーリゾートで働く清掃員は、管理・保管という意味の「カストーディアルキャスト」という魅力的な名前で呼ばれています。
本来の清掃員の業務内容は、衛生面を保つために園内の掃除をすることで、ルーティンになりモチベーションを保つのも一苦労する仕事です。
しかし、カストーディアルキャストは、清掃員であると同時に、来場者のゲストをもてなすキャストの一員でもあります。
ほうきを使って地面にキャラクターを描いたり、写真撮影やバースデーシールを書いたりと、自ら考えて積極的にゲストと交流し、盛り上げています。
機械的にただ黙々と掃除するのではなく、自分の能力を生かしながらゲストと交流し、楽しく生き生きと働くことで、仕事へのモチベーションも自然と高まっていくのです。
ジョブ・クラフティングの要素
ジョブ・クラフティングは、考え方への工夫・人間関係への工夫・仕事のやりがいへの工夫、これら3つの要素から成り立っています。ここでは、それぞれの意味や例について解説していきます。
考え方への工夫
仕事において自身の役割の目的や意味について、興味のあることや関心のあることなどと結びつけて考えることで、やりがいを持ちながら、ポジティブな気持ちで仕事に取り組む工夫のことです。例
- 自身の担当業務を全体として意味のあるものだと考える
- 仕事のやりがいを捉え直す
- 自身の仕事が社会的に意義のあるものであると捉え直す
仕事のやりがいへの工夫
仕事の中身が充実したり、業務がしやすくなったりするよう、仕事の範囲や量、やり方を実際に変えていく工夫のことです。例
- スケジュール管理をする
- 必要な業務を増やしたり不必要な業務を減らしたりする
- 仕事の中身を自身が望ましと思うように変更する
人間関係への工夫
上司や同僚、お客さんなどの仕事を通じて関わる人との関わり方を調整することで、仕事への満足感ややりがいを高める工夫のことです。例
- 上司や同僚に自ら相談しにいく
- お客さんと積極的に関わる
- 取引先相手の状況を把握し、便宜をはかる
- 仕事を通じて関わる人の数を増やす
ジョブ・クラフティング研修
ジョブ・クラフティングを実行するにあたって、より理解を深めるため研修を実施している企業が多数あります。ここでは、研修の目的や期待できる効果について見ていきましょう。
研修の目標
自身の仕事を、考え方の工夫・仕事のやりがいへの工夫・人間関係への工夫、これら3つの枠組みで考え、再定義することでモチベーションをより前向きにすることを目標とし、下記のことを仕事で実践できるように練習します。- 自身の仕事が社会にどのように役立つものなのか、自己分析や検討を行い、仕事をポジティブに捉えるための考え方を学ぶ
- 仕事をスムーズに進めたり、効果を上げたりするために、職場で取り組める創意工夫を従業員同士で意見を交わしながら発見する
- 仕事の充実度を高めるために、周りとの関わり方の見直しをしてチームワークを深める
- 考え方の工夫・仕事のやりがいへの工夫・人間関係への工夫、これら3つの観点で自身の仕事について振り返り、今後の取り組みをまとめ、実践計画を練る
期待できる効果
考え方の工夫・仕事のやりがいへの工夫・人間関係への工夫の取り組みができるようになることで、下記のような様々な効果が期待できます。- 自身の仕事に対する捉え方を再定義することによって、仕事への取り組みが慎重になる
- 仕事における人間関係の関わり方を自分仕様に変えることができ、自ら関係構築できる
- 与えられた業務を機械的にこなすのではなく、自身の考えを交えながらひと工夫することができる
- エンゲージメントを高めることによって生き生きとした従業員が増え、心理的ストレス反応の低減に繋がる
- 仕事を楽しく行う従業員が増えることによって、仕事に対して積極的な姿勢になる
ジョブ・クラフティングの実践方法
ジョブ・クラフティングの実践方法について、企業と個人それぞれどのような方法があるのか見ていきましょう。
企業の実践方法
企業の一般的な実践方法として、仕事内容と自分自身の動機や強みを繋げていく、という方法があります。しかし、多くの人は今まで「仕事内容」や「自分自身」について深く考えるという経験がないため、この方法を簡単に取り入れられるかというと中々難しいのです。ジョブ・クラフティングを実行するうえで、自身の価値観や仕事内容を理解することはとても重要です。そこで、今回はワークシートを用いた実践方法をご紹介します。
ワークシートの項目例
- 仕事内容(単純なタスクの記入)
- 仕事内容の抽象度を上げた要約
- 何のために行うのか
- 現在の仕事を通じて得たいものや自分自身にとっての意味(3つの要素の観点で考える)
- ありのまま感じたこと
また、その後の流れとして上司は、ワークシートを見ながら定期的に従業員と1対1での面談を実施し、どのように従業員に寄り添っていくかを計画することが重要になります。
個人の実践方法
個人での実践方法には下記のような手順があります。考えて実践していくという手順はビジネスにおいてごく一般的なやり方ですが、忠実に自身の業務を振り返ること、手順を何度も繰り返すことがこの方法では重要になります。自身のどの担当業務にジョブ・クラフティングを取り入れるか考える
↓
考え方の工夫・仕事のやりがいへの工夫・人間関係への工夫の観点から担当業務に対して出来る工夫を考える
↓
計画カードなどを作成し、ジョブ・クラフティング実行への意識を高める
↓
実行したことを振り返り、上記の流れを繰り返し行う
企業が気を付けるべきポイント
ジョブ・クラフティングは、従業員一人ひとりが主体的に仕事に取り組めるよう、仕事へのモチベーションを高めることが目的であるということを踏まえて、下記のポイントに気をつけて実行することが重要です。
- 心理的な安全性を確保する
- 価値観の共有
- 従業員が主体的に業務できる環境づくり
- 企業理念や組織文化を浸透させ、コミュニケーションを取りやすくする
まとめ
今回は、仕事へのやりがいを高めるために必要なジョブ・クラフティングについて解説しました。
ジョブ・クラフティングを実行するにあたり、考え方の工夫・仕事のやりがいへの工夫・人間関係への工夫、これら3つの要素が考え方の基盤になることが分かりました。
また、個人でも行える取り組みなので、今の仕事で退屈さや、機械的な作業になっていると感じている方はジョブ・クラフティングを実行して、仕事へのやりがいを高めてみてはいかがでしょうか。
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