- 取組事例
- 2021.11.23 (最終更新日:2022.03.26)
文部科学省が進めるリカレント教育とは?その意義とメリットについて
リカレント教育でスキルを積み上げよう
会社の大事な知識や業務で必要なスキルは、社員にしっかりと教育していかなければいけません。
しかし、一度教わったことでも時間が経てばその内容は忘れてしまいがちです。
社員にしっかりと内容を把握してもらいたいことは、何度も繰り返し教育する必要があります。
こうした、繰り返しの教育をリカレント教育と呼びます。
今回はリカレント訓練の内容とメリットを深掘りし、導入方法を解説します。
リカレント教育とは
ここからは大学や企業で導入されているリカレント教育の詳細を解説します。
概要
リカレント教育とは、「再発する」や「再周期」といった意味がある「recurrent」が由来です。
すでに知っている知識や一度受けた教育を再び習いなおすことを指します。
リカレント教育が導入される場所は、大学や企業、一度社会から離れた人が再び社会に戻る時など幅広く取り入れられている現状です。
大学では、社会人になる前にビジネスマナーを再教育が実施されており、企業では育児休暇や長期休暇を取っていた社員を対象に、業務復帰前の再教育でリカレント教育を行っています。
企業でリカレント訓練を実施した場合、国から教育訓練給付金や人材開発支援助成金などの補助金の対象となるケースもあり、導入する企業が増加中です。
生涯学習とは違う?
リカレント教育と似ている教育に生涯学習があります。
リカレント教育は一度教わった内容を何度も繰り返し学ぶことから生涯学習と同じ内容であると勘違いされることもありますが、その内容と目的は明確に異なります。
生涯学習は、人が生涯にわたり学習できる環境を整える要素を含んでいるのが一般的です。
取り扱う内容は、自発的に学ぶ内容を決断するため、その人が身に着けたい分野が対象です。
一方リカレント教育は、会社で必要な知識の教育になり、自発性はありません。
リカレント教育は、身に着けた知識をブラッシュアップする要素を含んでいます。
企業での導入例
ここからは企業にスポットライトを当て、企業でどういう導入が行われているのか解説します。
会社理解教育
一般的に新入社員時代に企業理念や就業規則・福利厚生などの教育が行われますが、すでに何年も働いている社員にリカレント教育でこうした内容を振り返ります。
入社時に一度教育された内容であっても、まだ働いたことのない状況ではイメージできなかった会社の情報もあるかもしれません。
社員が改めて企業理念を理解する場を設けることで、企業が目指すビジョンに沿った働き方を社員に意識させられます。
また、就業規則や福利厚生制度を再度理解させることで、社員自身望む働き方へシフトさせ、働きやすさ・やりがいを改善できます。
スキルアップ教育
入社して、経験を積むことで日々取り扱う業務が変わる職場が存在します。
例えば販売業で、入社してしばらくはレジ担当で徐々に売り場担当、全体管理担当などにステップアップするケースがあり、こうした業種の場合、ある程度の年次の社員が、ステップアップとして組織の管理・監督役に昇進する際に、今までの行ってきた業務を改めて学びなおします。
今まで担当者として見ていた業務も、立場が変わると違った面が見えることもあり、繰り返し学びなおす機会も重要です。
再発防止訓練
安全が最優先となる業種では、リカレント教育を再発防止訓練として実施するケースがあります。
工場や倉庫、車両を運転する業務を担う企業が安全を最優先する傾向にありますが、今まで発生した事故や事故に繋がる不安全事象をリカレント教育として周知することで、より安全作業を継続できるかもしれません。
安全に関するリカレント教育を行う場合、過去の不安事象を紹介するだけでなく、今の環境で不安全回避ができるのかを議論させることで社員一人ひとりが安全を意識して業務を行えます。
人事制度後のリカレント教育
近年では出産後も企業に戻り業務を続ける人も増加中です。
また出産休暇や育児休暇のみならず、あらゆる休暇制度を利用する人が増えている傾向にあり、そうした人に対して業務復帰できるようにリカレント教育を行います。
復帰する社員にとっても、久しぶりの業務に復帰してすぐに行う場合、緊張して本来の実力を発揮できない可能性があり、一度業務内容をおさらいできる環境を与えることで、落ち着いて業務あたれるでしょう。
企業にとってのメリット
ここからはリカレント教育を行う場合、企業にとってどういうメリットがあるのか解説します。
品質・安全性が向上する
日々働く従業員は、目の前の業務に一生懸命向き合い、仕事をしています。
しかし目の前の業務に集中するあまり、企業が掲げる目指すべき品質や安全への意識が薄くなることもあり、リマインド教育を実施することで、企業が求める理念や安全品質を従業員に再確認させられます。
ミスやトラブルを回避できる
人間は、はじめて行う業務の時は集中してできますが、業務に慣れてきて、余裕ができ始めると安全に対する意識も薄れてしまうこともあります。
例えば車を運転する業務で、業務をはじめた当初は周りをしっかりと確認し運転していたのに、慣れてくると近道をするようになったり、確認行為を省いたりしてしまう人もいるかもしれません。
そういった、慣れてきた社員にリカレント訓練を行い、もう一度初心に戻るように注意喚起ができます。
従業員にとってのメリット
リカレント教育は、企業だけではなく従業員にもメリットがあります。
詳細をわかりやすくご紹介します。
スキルと知識を磨ける
リカレント教育は、日々の業務内で学べない知識やスキルを磨く場にもなります。
過去に教わった時ではイメージできなかったことも経験を積むことでようやく理解できるようになることもあり、何度も繰り返し教育する機会を設けてもらうのは、従業員にとっても大切な取り組みと言えます。
リタイア後も活躍できる
リカレント教育の講師として定年後の社員が再雇用して活躍できます。
特に安全を最優先にしている企業では、ベテラン社員の過去の経験を若手社員に伝えることで高い安全品質を継承につながるでしょう。
特に多くの経験を積んでいる社員がリカレント教育の教官として設定し、実際に働いている社員が教官と同じような視点で業務を行う環境を整えられます。
健康経営との繋がり
近年注目されている健康経営とリカレント教育を繋げることで、企業の商品・サービスの品質が上がり、社員も働きやすさを実感できるかもしれません。
ここからは、健康経営としてリカレント教育を導入する方法について解説します。
健康経営とリカレント教育
健康経営は、企業が社員の健康をサポートするために企画やイベントを開催したり、福利厚生などの制度を導入したりします。
近年注目が集まっている理由は、働き方改革を取り入れる企業が増加傾向にあり、社員の働く環境を見直す動きがあります。
また、コロナ課で、心と体の健康を維持しにくくなり、社員が健康的に業務にあたれなければ企業の安定した品質は保てないと経営者の方が感じつつあるかもしれません。
こうした健康経営に注目が集まっている現代で、健康経営の一環として、リカレント教育を導入し、社員が健康を維持できるような知識を従業員に与えてみるのはいかがでしょうか。
ただし、リカレント教育で知識を与えるだけでは社員が健康を維持できない可能性もあるため、実際に健康を意識した行動ができる環境整備が必要です。
導入方法
ここからは実際に導入する場合の手段をご紹介します。
健康診断結果に反映させた手当
日々の生活で健康を維持するために必要な知識を教育し、健康診断で結果を出せた社員に手当を支給するやり方です。
健康の知識は、食生活や睡眠の重要性、飲酒喫煙のリスクを取り扱います。
こうした知識だけを伝えるのではなく、実際に取り組む上でゴールを設定しなければ行動に移せない社員も発生してしまうため、手当や表彰などを併せて取り入れましょう。
例えば健康診断の総合評価がAであれば健康手当として毎月1千円支給するなど、従業員が健康を意識した生活を送れるようにゴールが必要です。
こうした手当を導入し、会社側として従業員が努力できる、効果的なサポートをおすすめします。
メンタルヘルス教育
近年では、精神的な不調を訴える人が増加傾向にあります。
身体的な不調では回復後に業務復帰でき、復帰までの見通しができますが、精神的な不調は復帰の見通しが立ちにくい傾向にあります。
精神的な不調は早めのケアが重要で、社員にもケアの方法を教育する必要です。
しかし、気を付けていても防げない可能性があり、また自分自身では不調に気づけない場合もあります。
そうしたことが無いように、相談できる機会を会社として用意し、精神的な健康を維持できるようにサポートしてみてはいかがでしょうか。
禁煙教育
喫煙者は減少傾向にあるものの、社内で喫煙する人はある程度いるのではないでしょうか。
たばこが健康にもたらすリスクは一般的に普及しつつありますが、改めて喫煙に関する知識を教育し、禁煙が進むように取り組んでいる企業が存在します。
また、たばこのリスクは喫煙者だけではなく非喫煙者にも襲います。
受動喫煙と言い、たばこの先からでる主流煙と喫煙者から吐き出された副流煙を吸い込むことで、非喫煙者であっても肺がんなどの健康被害が報告さており、注意が必要です。
たばこを吸う人も吸わない人も自身の健康を維持できるように、お互いに知識を積み上げ、気を付けて行動しなければいけません。
たばこに関するリカレント教育を行い、会社として社員の健康をサポートしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回はリカレント訓練について、その概要や導入方法、メリットを紹介しました。
リカレント教育導入する目的はその企業ごとで異なりますが、社員のスキルアップや企業理解、また品質安全の維持のために取り入れられる傾向にあります。
自社で抱えている課題を解決するために、リカレント教育を導入したいと考えている経営者の方は、今回紹介した導入例を取り入れ、試してみてはいかがでしょうか。
また、近年注目されている健康経営と併せてリカレント教育を取り入れることで、企業と社員が安全で健康的に成長していけるかもしれません。
一度教育したことでも忘れていたり、意識が薄くなっていたりしてしまうので、リカレント教育は企業が望むあるべき姿へと修正してくれる有益な教育になるでしょう。
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