- 健康経営
- 2021.11.09 (最終更新日:2022.03.26)
健康経営が会社を救う?経営者が抱える悩みと解決法とは

悩みが尽きない経営者

会社の利益はもちろん従業員の就業環境、彼らを雇用する・養うことに伴う責任と彼らの家族まで背負う感覚、気にかけることは非常に膨大です。
大手の企業の経営者にも、中小企業の経営者にも、双方同じような悩みからそれぞれ特有の悩みまで多岐にわたります。
今回ご紹介するのはそんな経営者の抱える悩みとそれらの解決策です。
また「健康経営」という考えも悩みの一因、解決策の一例どちらにも関連してくるため、それぞれ触れながらご紹介します。
経営者全般によくある悩み

まずは経営者全般の悩みということで、経営者の方に対するアンケート結果をランキング形式で発表し、実際の声もいくつかご紹介します。
1位.売上が上がらない
- 毎年売上が横ばい状態。リピーターを増やしたいが競争も激しい業界で難しい。
- コロナ禍で大きく落ちた売上がなかなか戻らない。新事業を始めようと思っても経験がないため難しい。
2位.新規開拓が困難
- 既存の取引先は多くあるが新規の開拓が進まない。
- 営業手法も昔と比べて多岐にわたるため対応が困難。
- 優良顧客もいつ他社に乗り換えるか分からないため新規開拓を進めたいが、実際のところ社員一人ひとりがその時抱える案件に時間を取られてしまい、新規開拓まで手が回らない。
3位.優秀な人材の確保
-
優秀な社員を採用したいが思うようにいかない。
待遇面を上げようにもそこまでの資金力がなく困難。
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中小企業であれば会社に知名度が低く、なかなか優秀な人材からの応募が来ない。そもそもの応募の絶対数が大手と比べて少ないため困難を極める。
4位.社員と経営者との考えの乖離
- 社員に経営視点を持ってほしい。
- 指示されたとおりに動くだけでなく、自分が経営者だったらどうするかを考えながら仕事をしてほしい。
- 雇用する立場と雇用される立場で異なって当然だが、経営者の考えに対する理解がほしい。
5位.孤独感
- 社内に同じ立場の人がいないため孤独を感じ、社員同士仲がいいと少し羨ましくもある。
- 業績が好調な時は気にならないが、厳しくなってくると孤独感が一番辛い。
6位.新規事業・新規サービスの成功が困難
- 新しいアイデアが出ても、いざ実行するとうまくいかないことが多い。
- なかなか軌道に乗らず、収益となっていかない。
7位.社員の離職問題
- 入社数ヶ月で辞める社員もおり、職務内容・職場環境など理由も人それぞれで、どこから手をつけたらいいか分からない。
- 出入りの激しい業界とは言え、将来会社を背負ってほしいと期待していた社員に辞められるとショックが大きい。
8位.相談相手がいない
- 従業員には相談しづらく、かといってコンサルタントや顧問税理士も、経営の全てに明るいわけではないため相談できる相手がいない。
- 正社員がおらずアルバイトばかりで相談できることが少ない。
9位.コスト削減が困難
- 利益率を高めたいが、社員の毎年の給与アップに加え、増税・物価上昇など外的要因もあり、上手くコスト削減ができない。
- 創業期は消費税の免除等あったが、業績の向上に伴いこれらの負担も増える分、年々コストは増える一方。
10位.社員との関係性の構築
- 友人のような関係になる必要はないが、社長と社員で距離を感じる。
- 人付き合いの苦手さもあり、社員といい関係を築けていない。
ざっと1位から10位までのランキングを紹介してきましたが、悩みは大きく分けて「お金について」・「人材について」・「社内環境について」の3つです。
そしてこれらは中小企業に焦点を当てるとさらにシビアな問題となってくるため、次の章では中小企業と大手を比較しながら、これらの悩みについて補足していきます。
中小企業はここが辛い

大手と比べて売上規模や社員数、給与水準などあらゆる面で低くなりがちな中小企業は、それだけ人材の確保も大変で社内環境も悪化しやすいと言えます。
売上も大手ほど常に安定した数字を残せるわけでもなく、どうしても大手の売上や景気そのものなど外部の要因に左右されがちです。
先ほどランキングとして紹介した悩みのいくつかを、中小企業の場合として補足していきたいと思います。
お金の悩み
資金力がどうしても大手より劣るでしょうから、お金にまつわる悩みは中小企業につきものです。
大手とは比べ物にならないほど、売上の減少は倒産の不安に直結してきます。
経営のコストに対して売上が低ければ、当然従業員の給与や会社の設備投資にお金を十分にかけられず、それによりますます売上が上がらないという悪循環を生んでしまうでしょう。
そのコストの削減こそ、資金力が乏しい中小企業にとって重要な施策ですが、むやみにカットしすぎれば逆に収益が低下します。
利益を生むためには最低限コストは必要なため、削減する箇所を間違えれば修復が困難になり、大ダメージになりかねません。
そのため分かってはいてもなかなか手をつけられないでいる経営者が多くいるのが現状です。
さらに資金調達でも中小企業は困難で、例えば事業拡大をしたい時に金融機関から融資を受けられなければそのチャンスを逃してしまいます。
金融機関が融資をする際、「定量評価」と「定性評価」という基準で審査を行います。
定性評価は会社の経営方針や経営者の人柄が目安なのですが、定量評価の方は会社の売上や経費といった数字面が基準です。
この定量評価から収益性・安全性・成長性・債務返済能力がシビアに分かるため、融資を受けられない場合はそもそもこの基準に達していないというケースが考えられます。
人材の悩み
離職に対しての理由は人それぞれですが、中小企業の場合どうしても、給与水準が低い・就業環境が悪い・業務量が過多といった辺りは現実として出てきやすいため、人材の定着が困難になりがちです。
求職者からしても、行きたい業種がありその中で大手企業に入れるならそれが一番安心でしょう。
そのためそもそも中小企業はファーストチョイスにはなりにくく、その時点で人材が集まりにくいという難点があります。
社内環境の悩み
人材とかぶる部分もありますが、中小企業は慢性的に人手不足に陥りやすく、その結果就業環境がどうしても悪化しやすくなります。
人手不足は従業員一人ひとりの負担が増えることにもつながり、それに不満を抱く従業員が退職を申し出ることで、人手が減りさらなる負担増につながるのです。
一人ひとりストレスが増えれば職場の空気も悪くなるため、コミュニケーションが不足することで生産性が下がり、それだけ業務にも支障をきたす可能性があります。
解決法の一例

ここまで経営者がかかる悩みを紹介してきましたが、解決するためにどうすればいいのか、悩みのカテゴリー別に見ていきましょう。
お金関連に対する一例
お金の悩みを解決するにはまず、現状の分析が必要不可欠です。
例えばコストカットについては、コストを集計してその実態を詳細に分析することで、コストの構造が分かり、削減の余地があるかどうかを検討できます。
売上拡大に悩んでいる人は、一度考え方を変えて、「売上を伸ばすのではなく、利益を拡大する」という意識を持ちましょう。
売上拡大よりも利益拡大の方が、人員削減・生産性向上・粗利改善・採算の取れない事業の撤廃など手段の幅が広がります。
効果が出始めると、利益と現金が増えることで経営にゆとりが生まれますが、現金が増えるというのは資金調達の面でも非常に有効です。
売上に悩む経営者はまず考え方の転換をしましょう。
人材関連の悩みに対する一例
すぐに退職してしまう、人材の確保が難しいという点について、まず既存の従業員を知るために従業員満足度を調査することをおすすめします。
会社のサポート・職場の雰囲気・管理者のマネジメント・仕事のやりがいなどの質問を組み込んだアンケートを作り、評価してもらいます。
またアンケートを取るだけでなく、従業員としっかり面と向かって、腹を割って話す機会を設けることも非常に大切です。
会社とは「人」であり、経営にあたっては人と人とのコミュニケーションが一番重要なため、社長と社員の距離が普段から遠い職場こそ、距離感を縮めるいい機会にしましょう。
アンケートを取り実際にヒアリングもすることで、社員がどんなことに不満を持っているのかが分かれば、あとはそれらの対策を実践するだけです。
人手不足やそれに伴う就業環境の悪さなどを解決するには会社の制度や方針そのものを見直す必要があります。
これについては健康経営の視点で考えれば多くの悩みが改善できるのですが、導入にあたっては困難な点も出てくるでしょう。
最後の章で、健康経営と経営者の悩みの関連を紹介していきます。
健康経営のメリットと難しさ

従業員の心身の健康増進に取り組むことで、企業の生産性の向上や、従業員の満足度の向上に伴う離職率の低下にもつながるのが健康経営です。
例えば業務量の過多については、少ない人材でも効率よくこなせるような業務システムを構築することで、社員が無理な仕事量を強いられることなく働けるため、身体の健康を害したりストレスが増えたりして生産性が下がるのを防止できます。
あるいは女性の退職が多い場合、育児休暇や産前・産前休暇といった休暇制度、そういった時期に柔軟に働ける短時間勤務やフレックスタイム制といった福利厚生が整っていることで、女性が退職していた理由がなくなり会社に残ってくれるかもしれません。
このように制度として設けることができ、なおかつ実行ができるのであれば、従業員の働く環境は向上し離職率の低下が見込めます。
社員が健康でいてくれれば保険料のコストも減り、生産性も上がって利益も出やすくなるでしょう。
いいことずくめに見えますが、果たして中小企業が現実これらを実践できるのでしょうか。
休暇制度・柔軟な勤務制度を整えても、人手が足りないからこそ実際には休みの取得や短時間の勤務が難しかったり、業務量と人材が釣り合っていないからこそ残業も多かったりした側面があるため、大手企業と比べるとどうしても中小企業は導入と実践が困難に思えます。
中小企業の経営者はまずは何ができるかを見定めるために、会社の利益やコストといった現状調査・従業員へのアンケートを行い、無理のない程度にコツコツと、できることから始めるのが最善です。
まとめ

経営者は日夜さまざまな悩みを抱え、苦しんでいます。
職場の仲間同士で発散できる一従業員たちとは違い、社内に相談相手も少なく一人で抱え込むことも多いのが現実です。
社員の生活、彼らの家族の生活も抱える分責任も重たいため、まずは社長同士で仲のいい相談相手を見つけましょう。
経営者やフリーランスの集まるイベントに積極的に参加し、交流を深め悩みを共有することは心の健康に効果的です。
そこで経営のヒントも得られるかもしれませんし、助けてくれるビジネスパートナーにも出会えるかもしれません。
その他解決法の具体例も一部書かせていただきましたが、今回の記事が経営者の方への手助けになれば幸いです。
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