• 健康経営アドバイザー
  • 2021.11.01 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営オフィスとは?労働生産性向上との関係について

目次

健康経営オフィスと人材の定着

悩み 「健康経営オフィス」という言葉をご存じですか?
企業を経営している皆さんは「労働生産性向上」に日々頭を悩ませていませんか?
現在では「働き方改革」によって多様な働き方を求められる時代になってきました。
給料を払えば人は働くという考え方は通用しなくなりました。

さらに少子高齢化社会などの労働人口の減少など、限られた人材と限られた時間で、業務効率と生産性をどう上げていくか、経営者は頭の痛い問題です。
今回は、健康経営オフィスの必要性とポイントを紹介します。

健康経営オフィスの必要性とは?

健康経営オフィス たとえば、パソコンの動作が遅いと仕事の効率も下がってしまったり、整理されていないデスクでの仕事は書類を探したりするのに時間がかかりストレスがかかったりしませんか?
または、管理者自身が忙しすぎて部下の状況に気づかず、メンタル不調が起こってしまっていた……というのはよく起きがちです。

なぜ従業員がストレスを抱えた状態がよくないのか。
ストレス反応は様々なところに表れてきます。それは人によって様々です。
具体的には、不安や気の弱りのような心理面・頭痛や不眠などの身体面・仕事でミスが多くなるといった行動面などです。

働く環境は、働きやすさや働く人のストレスにつながります。
従業員の健康は労働生産性に直結してきます。
そのために職場環境を整えることで働きやすさを実現し、生産性向上につながると考えられます。

健康経営オフィスとは?

健康経営の施策としての職場環境の整備は、その職場で働く従業員全体の健康づくりに直接はたきかけることができる有効な施策です。

経済産業省オフィスレポートより

健康経営オフィスとは、健康を保持・増進する行動を誘発することで、働く人の心身の調和と活力の向上を図り、ひとりひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる場のことです。
WHO(世界保健機関)によると、「健康とは単に病気でないでない、虚弱ではないというのみならず、身体的、精神的そして社会的に完全に良好な状態」と定義されています。
健康経営オフィスも、単に疾病予防に貢献するだけでなく、従業員、そして企業がよりイキイキと活気溢れる状態へ導くことを目指しています。

健康経営とは?

「企業の経営目的達成のために、企業で働く人たち一人ひとりの健康を大切にしよう」という取り組みになります。健康経営の施策として職場環境を整えることで、働きやすい環境づくりをして生産性向上の目的を有効にします。
もともと健康経営は労働生産性の向上をし、そこから業績アップを図ろうという戦略的な取り組みでもあります。
そのため生産性の向上というものは、健康経営のメリットであると同時に、健康経営の大きなゴールでもあります。

健康経営オフィスと労働生産性

日本の労働生産性 なにが労働生産性に影響を及ぼしているのでしょうか。

健康の3大柱の「栄養・睡眠・運動」がカギを握っています。

シカゴ大学フォーゲル教授は「1人あたりの労働生産性向上の30%は栄養によって説明できる」と述べています。栄養状況の改善が、免疫力を高め、感染症を予防し、病気による労働生産性の減少を予防することにつながります。
働くためには、健康の基盤となる「食」が必要不可欠であるといういうことです。

日本の労働生産性は、先進国の中で最下位となっています。また労働生産性に影響を与えている睡眠は世界で最も短い国です。
朝食ハードワーカーの中には朝食をとるより1分でも多く寝ることを選択し、日中の眠気を我慢して仕事を継続する人が多い傾向です。
起床後の眠気やだるさは、午前中の仕事の効率を低下させ、運転中の眠気を引き起こすことで事故に直結する重大な健康問題となります。また運動不足は様々な病気を引き起こす原因となります。
適度に運動をすることで気分がリフレッシュできるだけでなく、睡眠の手助けとなります。

労働生産性を高めるためには、労働時間を短くして、睡眠時間を増やすことであると考えられます。睡眠の質や量を改善し労働生産性が向上すれば、今まで残業していた業務が、もしかすると残業をしなくてもよくなるかもしれません。

現代は生活習慣病から、労働環境病へと移りつつあります。その予防のためには従業員個人の力では及ばないことが多くあります。
企業が従業員ひとりひとりの健康を管理し、労働意欲を高めることが労働生産性向上につながっていくでしょう。

企業損失を生むアブセンティーズム・プレゼンティーズム

アブセンティーズムプレゼンティーズム 労働生産性というと、はずせないキーワードがあります。
従業員の健康問題によるパフォーマンスの企業損失の指標として、アブセンティーズム・プレゼンティーズムです。

アブセンティーズムは健康問題による仕事の欠勤(病欠)を意味しており、プレゼンティーズムとは、出勤はしているものの心身の健康問題によりパフォーマンスが低下している、健康問題が理由で生産性が低下している状態となります。

企業としては欠勤や病欠などに注目しがちですが、実はプレゼンティーズムの方が企業損失は大きいのです。
パフォーマンスの低下だけでなく、ミスの増加や他の従業員へのしわ寄せや職場全体の士気の低下など大きく影響を与えます。

労働生産性は、職場環境と職場の人間関係や目標意識によって大きな影響を受けています。それらによって労働意欲が高まり、労働生産性も向上していきます。

「従業員の健康」はプレゼンティーズムやアブセンティーズムがもたらす経営損失を改善することにつながります。企業が従業員の健康づくりに取り組む方法のひとつとして「健康経営オフィス」があります。
そのため多くの企業では職場環境を改善する「健康経営オフィス」を導入し始めています。

健康経営オフィスの進め方

健康経営オフィス 快適な職場環境を提供していくうえで、会社はお金や設備、人材など限られたリソースによって改善を図らなければいけません。
効率的に改善するために、解決すべき課題を見極めることが重要です。

職場内での現状の働き方を把握するために「健康を保持・増進7つの行動」チェックシートを活用するとよいでしょう。(健康経営オフィスレポートより)

健康経営オフィス「7つの行動」

快適性を感じる(A)
コミュニケーションする(B)
休憩・気分転換する(C)
体を動かす(D)
適切な食行動をとる(E)
清潔にする(F)
健康意識を高める(G)

「健康を保持・増進7つの行動」簡易チェックシート

①(A)自分の体に合わせて椅子の機能を調節している
②(A)室温が快適である
③(A)作業面が十分に明るい
④(A)タバコや強い香水など不快なにおいを感じない
⑤(A)自分の居場所が確保されていると感じる
➅(B)雰囲気が友好的である
⑦(B)周囲の人の仕事の内容を把握している
⑧(B)いつも挨拶をしている
⑨(B)よく笑う機会がある
⑩(C)仕事の合間に雑談することがある
⑪(C)仕事の合間に机や身の回りの整理整頓をすることがある
⑫(C)昼休みは規定通りしっかり休んでいる
⑬(C)離席するのに周囲の人に気を使わない
⑭(D)オフィス内をよく歩いている
⑮(E)仕事中に間食を時々摂っている
⑯(F)手洗い、うがいをしている
⑰(G)自分の健康状態をチェックしている

自社での健康課題とそのためにすべき改善策を検討してみてはいかがでしょう。

健康経営オフィス「7つの行動」のポイント

快適性を感じる

  • 運動器・感覚器障害・メンタルヘルス不調・ストレス性内科疾患の予防改善につながります。
  • 周囲の人との適切な距離に配慮したスペースを確保
  • 体格にあわせて調節できる家具や設備
  • 五感を通じて得られる快適さを工夫する(遮光・換気・植木)

コミュニケーション

適切にコミュニケーションすることは、メンタルヘルス不調・ストレス性内科疾患の予防・改善につながります。
  • 挨拶をする・笑う・感謝をする
  • 食事や休憩にも使えるカフェを設ける
  • 部署や職位を横断したメンバーで行う掃除

休憩・気分転換する

ストレス性の疾患の予防改善につながります。
  • 昼休みなどの決まった休憩をきちんと取る
  • 整理整頓などの作業で気分転換を図る
  • 疲労を回復し、作業効率を高める工夫(昼寝やマッサージなど)
  • 雰囲気づくり(雑談する・少しの間離席など)

体を動かす

仕事中に体を動かすことは運動器・感覚器障害との生活習慣病の予防改善につながります。適度な運動は良質な睡眠の手助けとなります。
  • 長時間の連続座位を避ける
  • こまめに歩くことや階段の利用を促す
  • 軽い運動をする

適切な食行動をとる

できるだけ身体に良い飲み物や食べ物をとることは生活習慣病の予防改善につながります。
  • 健康意識を向上させるように内容・情報提供の工夫
  • コミュニケーションや休憩もかねて間食を取れるような場所の設置

清潔にする

快適で衛生的な職場をすることで感染症アレルギーの予防改善につながります。
オフィスと従業員が常に清潔な状態を保てるようにオフィスの環境を整備します。
  • トイレタリーを充実させる
  • ロッカースペースをつくる
  • 手洗い・うがいを徹底する

健康意識を高める

健康意識を高めることは健康づくりの基本です。
また検診以外でも自分の健康状態を確認できるよう休憩スペース等に測定機器を置くのも有効です。
 
※7つの行動を中心とした活動の前提には、従業員の安全性や快適性を守るための労働安全衛生にかかる種々の環境基準やガイドラインも併せて満たすように配慮することが大切です。
 

まとめ

スタートとゴール 今回は健康経営オフィスを紹介しました。
従業員の健康は企業の労働生産性に直結していることがお分かりいただけましたでしょうか?
「健康経営オフィス」導入は、問題解決という側面もありますが、事前予防とう観点でも有効です。労働生産性向上はもちろんリスクマネジメントとしても導入価値があります。
ぜひ自社に検討してみてはいかがでしょうか。
 
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