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  • 2021.10.01 (最終更新日:2022.03.26)

就業規則とは?トラブルを起こさないための作成方法について

目次

使用者と労働者を結ぶ就業規則について

就業規則 とは 会社員の方であれば、自身が働く環境の中で、少なからず会社に自由を求めていませんか?
例えば、転勤をなるべく避けたい、副業して本業以外でも収入を得たいなど、個々人で望むことは多種多様ではないでしょうか。
そんな自由を求めている労働者にとって、就業規則はとても大事なものになります。
併せて、従業員が満足して働く環境を作るためにも、しっかりとした就業規則の作成は必要不可欠です。
今回この記事では、就業規則の概要を説明し、会社と労働者間でトラブルを生じさせないために、規則の作成時に気を付けるべきポイントを解説します。
就業規則をまだ設定していない企業、あるいは作成に苦戦している方にとっても有益な情報をお伝えします。

就業規則とは?

就業規則 概要 ここからは就業規則の概要を説明し、どういった内容が記載されているのか、作成時に気を付けるポイントを解説します。

概要

就業規則とは、使用者と労働者の間で定められたルールです。
従業員が10名以上在籍する企業には、労働基準法で就業規則の設定と、作成が完了したのち、労働基準監督署へ届け出を提出することが義務付けられています。
従業員がその企業で充実したワークライフを送る為にも必要なルールで、労働条件や労働者が守らなければならない会社の規定などが記述されています。
会社側が就業規則にしっかりとした説明を記載していない場合、従業員との間でトラブルが発生しやすくなるでしょう。
従業員の働きやすい環境を作るためにも、しっかりとしたルールを提示が求められます。

記載内容

就業規則に記載されている項目を以下の3種類に分けて紹介します。

必須記載事項

以下の項目は就業規則に必ず記載する必要があります。
もし一部に書き漏れがあった場合、就業規則がすべて無効になるわけではありませんが、届け出の義務に違反したことになるため、十分に注意しましょう。

・賃金に関する事項
臨時の賃金を除く給料の計算方法や決定方法、支払い時期や昇給について記載

・労働条件に関する事項
始業・就業時刻や休憩時間、休暇や休日について記載

・退職に関する事項
解雇を含む退職の項目について記載

準必須記載事項

以下の制度を導入していなければ記載する必要はありませんが、導入する場合は記載しましょう。

・臨時の賃金及び最低賃金について
退職金を支給する場合は、金額の計算方法や決定方法を記載。
また、定める場合は、金額などの項目を明記します。

・退職手当について
退職金を支給する場合は、対象となる従業員や計算方法を記載します。

・会社が負担する様々な費用について
社員の食費や、仕事で使用する備品の費用を会社が負担する場合、上限金額や対象を明記します。

・災害時の補填について
業務内外での従業員の災害に対して、傷病手当を支給する場合は、内容を細かく記載します。

任意記載事項

必須記載事項にも準必須記載事項にも該当しないものを記載することも可能です。
定めるか定めないかは企業の判断により、自由な項目になります。

モデル就業規則

厚生労働省は、就業規則の見本となる、モデル就業規則というものを公開しています。
初めて作成する方は参考にしましょう。
しかし、気を付けなければいけないことは、モデル就業規則をそのまま使用する事です。
会社の規模や制度、労働条件によって記載する内容は異なるため、その企業ごとで適切な就業規則を作成しましょう。

就業規則を作成するメリット

就業規則 メリット 前述したように、ある基準を達している企業は、就業規則の作成が義務付けられており、作成しなければいけないイメージが付いたのではないでしょうか。
しかし、就業規則の作成には企業側にとっても、経営者と従業員にとってもメリットがあります。
ここからは就業規則を作成する意外なメリットについて解説します。

会社側のメリット

まずは会社側のメリットをご紹介します。

従業員のモラル向上に繋がる

就業規則に会社内の禁止事項を明記することで、明文化されたルールを守って従業員が働けます。

しっかりとした労務管理が行える

休憩時間や休暇、残業については、従業員とのトラブルにつながりやすいため、それらの定義やルールをしっかりと記載することで、トラブルの発生抑制に繋がります。

外部へのアピールにもなる

会社で就業規則をしっかりと設定し、社員の働きやすい環境を提供することや、社員を大切にする姿勢がアピールでき、採用時の有利になる場合もあります。

会社の課題に活用できる

就業規則を作成する際に、会社の課題が可視化され、課題解決に活用できます。
例えば、労働時間や休憩時間の設定時に、ある部署では設定するルール内では休憩が取れないほどの忙しい部署が見つかるなど、人事の課題にも活用できます。

問題社員を処分の対象にできる

就業規則に懲戒規定を定めることで、問題社員がいた場合正当な手段で解雇できます。
逆に、しっかりと規定を設けておらず、社員を解雇した場合、不当解雇として訴えられることもあるため、十分注意が必要です。

使用者のメリット

続けて、使用者側のメリットを見ていきましょう。

従業員を公平に扱える

昇格や昇給、あるいは処罰など、従業員一人ひとりへの判断が必要となる場合、会社での評判や評価に左右されずに、公平に扱うための「ものさし」の役を果たしてくれます。

大きなトラブルを回避できる

従業員に会社のルール・規定を明示することにより、従業員が不満を抱いた場合、就業規則を確認することにより自己解決に繋がるケースがあります。
裁判などの大きな問題となる前に解決でき、使用者と従業員が無駄な労力を使わずに済みます。

会社のルールとして社員全員に適応できる

規模が大きい企業では、社員全員にルールを統一させることが困難になります。
しかし、就業規則は会社全体のルールになるため、ひとつの就業規則で社員全員を対象に提示できます。

従業員のメリット

最後に、従業員にとってのメリットです。

安心して働ける

就業規則には、給料に関することや転勤の有無・就業勤務地が記載されており、従業員は将来のイメージが描きやすくなります。
こうした将来の見通しは、安心して働くことにも繋がり、充実したワークライフを後押しします。

会社のルールや禁止事項が把握できる

近年では働き方が多様になり、SNS等でも働いている会社の特殊なルールを目にする機会も増えました。
知人の会社が導入している働き方が羨ましく感じ、勤めている会社でもできるかどうかは就業規則を見ればわかります。
もし会社の働き方の変更を望む場合は、しっかりと就業規則を確認し、交渉も可能です。

起こりやすいトラブル

就業規則 トラブル これまでの説明で、就業規則はしっかりと明記していれば有利に働くことがあると述べました。
しかし逆を言えば、明記していなければトラブルを招いてしまうこともあります。
ここからは、特に起こりやすいトラブルを紹介し、就業規則の作成時に気を付けるべきポイントをご紹介します。

就業規則を更新していない

会社の規模が大きくなったり、新しい制度を取り入れたり、何か変更があれば就業規則も更新する必要があります。
例えば、転勤を伴う異動は発生しないと就業規則に記載しており、会社の規模が大きくなり、違う地域にも支社を構えたとしましょう。
就業規則を更新せず、新しい支社に従業員を異動させてしまうと、従業員は拒否できる可能性があり、裁判など大きい問題に発展する場合もあります。
会社の変更時、または国の法律が変更された場合は、就業規則を見直し、更新しましょう。
ただし、変更するのであれば時代に合わせた制度も同時に導入し、就業規則に反映させることをおすすめします。
近年では、従業員の健康を大切にする企業が増えており、健康経営に着手する経営者も少なくはありません。
こうした時代に合った制度を挿入することで、社員を大切にしている企業としてアピールでき、採用時に有利になる場合もあります。

お手本の就業規則を使用している

厚労省が公開しているお手本の就業規則をはじめ、他の企業の就業規則をそのまま使用することは大変危険です。
特にお手本の就業規則は必要最低限の記載しかしていないため、そのまま使用した場合不足部分が生じる可能性があります。
就業規則には、正しい記載であれば、多く記載すること自体は問題ではないため、不足がないように記載することをおすすめします。
作成時に不安を感じる場合は、専門家に依頼し、問題がないか確認してもらいましょう。

従業員にしっかりと周知ができていない

労働基準法では、就業規則の作成と労働基準監督署への届け出だけではなく、従業員への周知も義務付けられています。
企業は従業員全員への書面やメールで周知が必要で、もし従業員が問題を指摘した際
に、従業員への周知が行き届いていないと認められた場合は、裁判に発展することもあります。
作った後は、従業員全員が就業規則に目を通せるような形で必ず周知しましょう。

まとめ

就業規則 説明会 今回は、会社員であれば一度は目を通したことがあるであろう就業規則について記事をまとめました。
しかし、就業規則にはどういった効果があるのか、目的は何かが今一つ理解できていなかった方も少なからずいるのではないでしょうか。
会社にとっても、従業員にとっても大切な会社のルールになりますので、経営者の方はその内容の管理と周知方法に気を付け、従業員の方はしっかりと把握が大切です。
どちらかの過誤により、大きなトラブルになることが無いように、お互いの相互理解を徹底し、より良い労働環境維持に勤めてみてください。
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