- 働き方改革
- 2019.09.29 (最終更新日:2022.04.07)
働き方改革の目的とは。関連法案と中小企業への導入方法
働き方改革とは。わかりやすく簡単に解説
働き方改革とは、一億総活躍社会の実現に向け、私たちが意欲的に働けるような環境作りを行う改革のことです。2019年4月からは働き方改革関連法案が施行され、様々な点において今までとの労働の形が変化するようになります。
ここでは、働き方改革の目的と概要について詳しくご説明します。
働き方改革の目的
今日本は、少子高齢社会による労働人口の減少や、働く人のニーズが多様化しているという状況にあります。生産性を向上させるのと同時に、各々が意欲的に自分の力を発揮できるような環境作りをすることが求められており、時代に即した法整備をする必要がありました。
そこで出てきたのが働き方改革です。働き方改革の目的としては以下が挙げられます。
課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること
引用元:厚生労働省HP
例えば、今は介護や育児をしながら働いている人や、その他の事情で在宅ワークをしている人、リタイア後の再雇用の人など、いろいろな人が働いています。このような人たちが損をすることなく、それどころか積極的に働き、自分が輝くことができる仕事を見つけられるように支援するのが働き方改革というわけです。 働きやすい環境が整い、いろいろな労働の形が認められるようになるわけですから、労働者にとって嬉しい改革であると言えるでしょう。
働き方改革の概要
働き方改革によって環境作りをすると言っても、具体的にどのようなことを行うのか気になるところです。働き方改革は、以下の2点を柱にして構成されています。
(1)労働時間法制の見直し
長時間労働や有給休暇を取得できないといった問題に対応できる法整備を行います。これによって、労働者は働き過ぎを防ぐことができ、健康で文化的な生活を営むことができるようになります。個人の事情によって労働時間を調節し、豊かな生活を送ることができるようになるわけです。
具体的には
- 時間外労働の上限規制
- 年次有給休暇の時季指定
- フレックスタイム制
- 高度プロフェッショナル制度
- 産業医・産業保健機能の強化
- 勤務間インターバル制度
などが実施されます。詳しくは次項でご説明します。
(2)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
正規雇用労働者と、派遣やパートなどの非正規労働者の不合理な待遇の差をなくすことを目的とします。これにより、どのような働き方を選択しても納得して働けるようになり、多様な働き方を推進することにつながります。
働き方改革の関連法案リーフレットまとめ
時間外労働の上限規制
“健康の確保を困難にするとともに、仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因”(厚生労働省HP)になっている時間外労働の上限を規制します。大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から導入することが決定しています。
具体的には、時間外労働は月45時間、年360時間となり、特別な事情がない限り超えることができなくなります。また、事情がある場合でも、年720時間を超えることはできません。他にも月45時間を超えることができるのは年6ヶ月までなど、細かい規定がなされます。
さらに、時間外労働をさせるためには雇用者は労働者と労働基準法第36条に基づく36協定を結び、所轄の労働基準監督署長へ届け出をすることが必要になります。
これにより、労働者が長時間労働で苦しむことや過労死などを避けることにつながります。
年次有給休暇の時季指定
有給を取得することは労働者の正当な権利ですが、同僚との兼ね合いや上司などの目を気にしてあまり取得することができていないという現状がありました。
そこで2019年4月から、年10日以上年次有給休暇を付与される労働者に対して、使用者が5日分を時季を指定して取得させることが義務付けられました。使用者が労働者に希望を聞いたうえで時季を指定することにより、有給休暇の取得率を上げることができます。
職場の事情や周りの空気を気にして今まで全く有給休暇を取ることができなかったという人も、この改正によって安心して有給休暇を取得することができるようになります。
フレックスタイム制
フレックスタイム制度とは労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度のことです。
ある程度自分の裁量で自由に働くことができるようになることによって、介護や育児などといった個人の事情を抱えながら働くことが可能になります。
今回の法改正ではフレックスタイムの清算期間が1ヶ月から3ヶ月へと延長されます。これによって、より柔軟にライフスタイルに合わせて働くことができるようになりました。例えば6月は多めに働き、子供が夏休みになる8月は労働時間を短くするということが可能になります。
高度プロフェッショナル制度
高度プロフェッショナル制度とは高度な専門知識があり、年収1075万円以上など一定の条件を満たしている労働者に対し、労働基準法の労働時間、休憩、割増賃金といった規定が適用されなくなる制度のことです。もちろん強制ではなく、労働者の同意を取ることが前提になっています。
始業・終業時刻がなくなり、残業代も出ないことから、労働時間に縛られなくなるので、時間を気にせず専門知識を生かして成果を出すことができるようになります。働く時間帯の選択や時間配分について自らが決定できる広範な裁量が認められるようになり、意欲的に仕事に取り組むことができるようになるというメリットがあります。
雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
2020年4月(中小企業は2021年4月)よりパートタイム・有期雇用労働法が施行されます。これにより、正規雇用と非正規雇用で基本給や賞与などで不合理に待遇に差をつけることが禁止されます。また、非正規社員は、正社員との待遇の差について雇用主に説明を求めることができるようになります。
他には行政による指導や裁判外紛争解決手続の規定の整備などが行われ、非正規雇用の労働者が正規雇用の労働者に比べて不当な扱いを受けないような環境作りがなされます。
産業医・産業保健機能の強化
産業医の情報提供や衛生委員会との関係、労働者の健康相談や面接指導を強化することによって、メンタルヘルスのリスクが高い労働者を見逃さない体制作りを行います。
産業医の影響力が増し、事業主が社員のメンタルヘルスに気遣うようになるため、労働者は安心して働けるようになります。
勤務間インターバル制度
勤務間インターバル制度とは、業務終了から翌日の勤務開始までに一定の時間、つまりインターバルを設けることを事業主の努力義務としたものです。
これにより労働者は睡眠時間と業務後のプライベートな時間を確保することができるようになり、効率良い業務と健康的で豊かな生活を営むことが可能になります。メンタルヘルスのケアにもつながるなど、労働者にとっても無視できない大事な制度です。
中小企業の働き方改革の進め方
中小企業は大企業よりも人材不足の影響を受けやすいです。人員に余裕がなく一部の社員に業務が偏り、労働時間も自然と長期化する傾向にあります。
働き方改革は中小企業には難しいと思ってしまいがちですが、むしろ中小企業こそ、働き方改革を実施するべきなのです。
なぜなら、働き方改革は多様な働き方を認め、多くの人材を受け入れることにつながるからです。労働環境を改善して魅力的な職場を作り上げることは、人材不足解消の第一歩です。
職場に魅力を感じる社員が増えれば、離職率も減ります。社員のスキルが向上することにつながり、生産性も向上していくことになります。
中小企業は大企業に比べて社員が一丸になって働き方改革に取り組むことができるというメリットもあります。働き方改革を行い、社員が働きたくなる職場環境を作ることで、人材が集まり、育ち、利益が増すことにつながるのです。
中小企業の経営者や管理職の方は、働き方改革をしなければならないものとしてとらえるのではなく、社員に気持ち良く働いてもらって「会社を大きくしていくきっかけ作りにする」という意識で行うといいでしょう。
初めから無理だと断じるのではなく、もっと効率良く業務をこなすことはできないか、無駄を排除して働き方改革を進めることができないか、よく検討することが大切です。そのことが、会社と社員の明るい未来につながるのです。
まとめ
働き方改革とは、労働者の確保と多様な働き方を認め、労働者が豊かな生活を送るために実施される政策のことです。労働時間の法制の見直しと雇用形態に関わらない公正な待遇の確保を2本の柱として法整備を行っています。
働き方改革によって、労働者は自分の健康が維持され、意欲的に働けるようになることが期待できます。
自分の会社が働き方改革によってどのように環境が変わるのか知ることは、とても大事なことです。転職を検討している会社を含めて、どのような取り組みをしているのか調べてみるといいでしょう。
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タイトル:健康経営に係る顕彰制度について
URL :https://www.niziiro.jp/article/13
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