• 健康経営アドバイザー
  • 2021.08.11 (最終更新日:2022.03.26)

健康経営はビジネスの棚卸に有効なわけとは?

目次

働き甲斐も健康も

幸せ 元気に働くことができる社会は、一人一人が健康でかつ活気あふれる企業が存在することが必要です。入社から退社までの長い労働生活はその後の豊かなセカンドライフを構築することになり、ゆとりある人生を送ることが幸せの条件の一つでもあります。
しかし現在は単に疫病がないということだけでは十分でないことはすでに WHOの定義が示めしています。働きがいや仕事の達成感が人生を充実させ未来に対する希望を想像することができるのです。その基盤となるものが労働生活における健康と働きがいと言えます。そのための必要な取り組みが健康経営です。

「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。

健康経営は、学校生活を終え企業に就職することによって、さらにその人の持つ能力を高め、その能力を生かすための健康を育むことによって、一人一人が持つ夢を手助けすることになります。健康経営

棚卸のツールに有効

PCDA 健康経営はビジネスの棚卸を助けてくれるツールでもあります。企業は決算によって自社の現状を把握し、今後のビジネスの展望を想像します。
しかし健康問題がビジネスの成長の制約要因となっている現在、企業の棚卸はもはや経済性の棚卸だけでは不十分です。これからの企業は健康の取り組みを通じて不健康問題への対応を想定した社会性の棚卸を行う必要があるのです。従業員の不健康問題は自社のビジネスにどのようなものがあるかを知ることです。これに対して以下のようなチェックが大切です。
  1. 自社のビジネスに影響を与える健康問題を知る
  2. 自社の取り組みを枠組みでチェックし、実践できてる目標と実践できなかった目標を整理する
  3. 整理し取り組みの改善に活用する

ビジネスの定義は?

CSR

健康経営において法令遵守はその基盤をなすものです。法令遵守からCSR(企業の社会的責任)、そして健康経営へと進んでいきます。労働者の健康管理上の問題に関する企業の取り組み方をスローガン的にいうならばそのように表現できます。しかし雇用・納税・法令遵守だけでオッケーという考え方はとても危険です。雇用・納税・法令遵守は企業として重要なCSRです。これら3つの責任は企業の存続に不可欠なCSRの根幹を成しています。しかしビジネスの成長とリスク低減という観点から見れば3つの責任だけを果たせば安心だと考えてしまうのは次の理由から危険だといえます。

  • 企業内での過労自殺等
  • 業務に起因して労働者に健康障害が発生した場合の責任
  • 高額の損害賠償責任の負担リスク
  • 企業内でのモラルの低下
  • 体外的な企業のイメージの低落

3つの責任の横行はビジネスを行う際の最低限のリスクマネジメントに過ぎません。持続可能な企業には守るCSRと伸ばすCSRの両方が不可欠なのです。重要なことは守るCSRを基礎としながら、伸ばす CSRによって新しい成長機会を追求することです。いつまでも最低限のリスクマネジメントに留まっていると 企業内に潜む問題の深刻さに伴って登場する新しいリスクや社会的責任要請に対応できません。働き方
だからこそ雇用・納税・法令遵守だけに自社の責任を限定して安心するという危険な考え方から訣別する必要があります。自社を存続させビジネスの持続性を高めるためには、これからこれから3つの基礎責任を基礎としつつ自社が対処すべき経営課題を健康経営の観点から見直すことが不可欠となります。

経営課題を見直して次のステージへ

働き方 人は社会的な生物です。だからこそ仕事という社会的な行為を通じて、人生の目標へと近づくことができなかったり他者から認められなければモチベーションを失い仕事のパフォーマンスも低下します。
つまりいくら給料を支払っても従業員のやりがいにつながる働き方や労働環境を提供できなければ、人材の定着や育成に困難が生じます。そして組織的なパフォーマンスを発揮できず企業価値の低下になりやすいのです。

現在社会でのリスクとは?

このやりがいの提供は不況期では平時以上に重要性が増すことになります。不当な労働力の買い叩きが発生しやすくなります。それは不況期を共に耐え抜くパートナーであるはずの従業員のやりがいを奪うだけでなく、反感を買うことになります。その結果企業は厳しい社会的批判にさらされ企業価値が損なわれることになるのです。特に従業員個人が SNS で高範囲に情報発信することが可能な現代社会においてそのリスクは現実的なものです。 現代において企業の平時の給料を支払えば人は働く、雇ってもらえるだけでもありがたいと思え、などという考え方をしていては人的持続性が欠けてきます。常に従業員に対して具体的な敬意を払うことが求められるのです。

働き方改革の意味を問われる時代

誰しもお金がなければ生活することができません。そして多くの人にとって金を稼ぐ手段は急務なので従業員として働くことです。しかし人は金だけを目的に空いてるわけではありません。人は仕事を通じた自己実現や承認欲求の重複を求めています。これは一般的にやりがいと呼ばれるものであり正確な賃金の支払いと同じく労務管理の根幹にあるものなのです。

企業理念は実用性重視すべき理由

健康経営を実践する上で大切になるのが企業理念です。組織である以上、企業にはパーパス存在意義【何のためにこの会社があり、何を実現するために事業をするのか】やメンバー間で共有すべき中核的な価値観が求められます。企業理念はこのようなパーパスや価値観を端的に表現したものですが、もしこの企業理念が 健康経営の実践の即推進力となっていない場合は見直しが必要となります。企業理念の見直しには次のポイントが重要になります。
  • ビジネスによって実践すべき社会的な目標を見出せているか?
  • 目標実現のために望ましい組織の在り方を見出だせるか?
  • 目標実現の担い手として努力すべき事柄を見い出せるか?
企業理念はメンバーの行動指数や判断基準となるものです。それゆえ企業理念からはメンバーが共感できる社会的な目標を見出せることが必要です。健康問題によって人々の意識が変わりつつある現在、取り組みを考えることはありその企業のあり方を考える上で重要な意義を持ちます。

企業理念の在り方の見直しからスタート

また目標を掲げるだけでは不十分です。目標実現のための組織のあり方目標実現の担い手が努力すべき事柄を見出せるかも重要です。目標に対する取り組みの方向性も重要です。掲げる目標の中に自社の進むべき方向性が見いだせなければ企業理念に判断基準としての実用性が伴わず空文化してしまいます。これは組織の本音と建前のギャップを大きくし、企業として意思決定が組織の各レベルで骨抜きにされるなどのリスクを高めます。

健康経営の健康宣言の大切さ

有言実行の組織を作り健康経営を着実に実践するためにも今一度企業理念のあり方を見直してみましょう。そのうえで経営者自身が健康づくりに取り組むこと自社になぜ健康経営が必要だと思っているのか、それを経営者の言葉で従業員に語ることが重要ですこの経営者のメッセージ=健康宣言を発信することが大切です。

まとめ

健康経営 多種多様な業種の企業が、それぞれの特性を活かして、そこで働く人たちの健康と幸せを創造する役割を果たす手法の一つが健康経営です。経営者が原動力となってトップダウンで健康経営を推進することで、働く人のヘルスリテラシー(健康に関する知識を習得する能力とその知識を生かして実践する能力を持ち合わせること)が向上し、従業員の元気を基盤として企業経営の活性化を図ることが可能となるのです。企業経営者と従業員の健康を両立させることを目的とし、かつコストパフォーマンスが満たされる健康経営を実現しなければなりません。そのためにビジネスの棚卸のツールとして「健康経営」を活用してはいかがでしょうか。
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