• 健康経営
  • 2021.05.27 (最終更新日:2022.04.06)

産業医面談では何を話せばいいのか。復職面談のポイントを解説

目次

産業医面談はどんな時に行うのか

産業医

長時間労働での面談

長時間労働が健康に悪影響を及ぼすことは、ほとんどの人が知っていることと思います。しかし中には、長時間労働をしていても心身へ影響が出ていない段階の人もおり、活発に仕事ができる人もいるわけです。仕事ができる人が長時間労働をしていた場合、周囲にも自分と同じ能力を求めてしまうときがあります。そのため産業医によっては、長時間労働をしている本人だけに限らず、周囲にそのような人がいることを気に留めています。

普段からの仕事のやり方が、長時間労働に繋がっている例が多いです。たとえば、管理職が部下の進捗状況や仕事量を理解できていないことがあります。また無駄な打ち合わせや会議が多い場合もあります。当コラムでは、長時間労働の原因や危険性を解説していますので、合わせてご覧ください。

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普段からの仕事のやり方が主な原因のため、産業医が長時間労働の相談に乗るのはいつも同じ人になりがちです。この場合いつも同じ人と話すのは良い傾向ではありません。しかし産業医と信頼関係を築くことができれば、自覚があるのに治せない生活習慣に対してもアドバイスが可能になります。産業医と2人で抱えている課題のことを考えていくためにも、1度ではなく続けて面談の機会があることには、メリットがあるわけです。

ストレスチェックで高ストレスだったとき

ストレスチェックで高ストレスだと診断されたうえ面談を希望したときは、産業医面談が行われます。産業医面談では、仕事の状況を素直に話してください。ストレスによる症状の具合や持続時間、仕事で悩んでいること、生活の支障はあるかどうかなどを産業医から質問されます。産業医は面談の内容を受けて、就業上の対処の必要性について会社へ意見を述べるわけです。

中にはこのような相談内容もある

産業医に対する相談で、職場でのストレスは一切ないが、プライベートでストレスを受けたという内容もあります。恋人との関係が悪くなると多くのストレスを受けるので、仕事にも影響が出てしまうとの内容でした。産業医によっては、ストレスの原因がプライベートのことであっても、親身に聞いてもらえる可能性があります。

不安があるのなら気軽に相談できる

産業医に何を話せばいいのか分からない人もいれば、話し始めたら止まらなくなる人など、さまざまです。親身になって話を聞くと、体調が少しずつ悪くなっているのに見て見ぬふりをしてしまう人や、健康に関するテレビを見て内容を実践している人などがいます。産業医からは生活習慣についてアドバイスをしながら、「常に頭の片隅にある状態なら、病院を受診してみてはどうか。」と伝えることもあるわけです。中には医学的に根拠のない民間療法に頼る人もいるので、そのようなときは「それは根拠がないものだ」と伝えられます。体調に関して少しでも不安があれば産業医に気軽に相談することで、意外なことが聞けるかもしれません。

復職面談をする前にしておきたいこと

通勤

主治医から診断書を出してもらう

休職していた労働者は、自分の状況を冷静に判断できない可能性もあります。そのため多くの場合、労働者本人の意思のみで復職できることはありません。けがや病気をして休職し復職するときは、主治医に診断書を出してもらってください。このとき、なるべく休職者本人が診断書を持参することが大切です。休職者が直接診断書を持参すれば、本人の体調や今の状況などについて、詳細に話すことができるからです。会社は休職者から聞いた内容をメモなどで記録し、復職面談に活用します。

周囲の意見を聞いておく

家族がいる場合は、家族からもあらかじめ精神状態や生活リズムなどを聞いておくことをおすすめします。家族は休職者にとって一番身近な存在なので、休職者の状況を詳しく把握しているわけです。家族が「まだ休職はしない方が良い。」と判断すれば、大事な意見だと考えて、会社にも伝えます。責任のある役職に就いている場合は、無理をしてでも早く戻りたいと思うかもしれませんが、家族の意見を聞いてしっかり療養するようにしてください。

復職面談で会社が見るポイントとは

産業医 早く復職したいと思っていても、体調が回復していないこともあります。会社は、面談で労働者のどのような部分を見ているのでしょうか。

体力が回復しているかどうか

精神面のこと以外に体力が回復しているかどうかも、復職に欠かせない条件です。体力が落ちると、集中力にも悪影響を及ぼします。重大なミスに繋がるなど、復職をしても結果的にデメリットになる可能性が高いときは、復職の延期も考えてください。主治医の診断書を参考にして、体力が回復しているかどうかを見極めましょう。精神面の疾患は、身だしなみに現れる例も多いです。清潔感に気を配れる体力があるかどうかは、大切なポイントになります。

働く意欲があるかどうか

会社が労働者の働く意欲を見極めるのは、とても難しいことです。復職面談を行うということは、復職したいと考えているのではないでしょうか。そのため働く意欲があると考えたいところですが、精神面の不調の場合は慎重になるべきです。一見体調が改善したように見えても、状況によって再び休職してしまう例は少なくありません。面談でしっかりと話をして、働く意欲があることや体調に関する情報を伝えてください。

生活リズムは規則正しいかどうか

生活リズムが規則正しいかどうかも、確認すべきところです。生活記録表などを書いて、規則正しい生活ができているかどうかを確認してください。休職後すぐの生活記録にはほとんど意味がありませんから、日中の過ごし方なども確認されています。早く復職したいからと偽った記録を書かずに、そのままの生活記録を書いてください。

職場に適応可能かどうか

休職者の状況によって、復職したと思ったらすぐに休職することがあります。職場に適応可能かどうかを確認することは、復職面談で最も大切だと言っても過言ではありません。本当に復職可能かどうかを判断するために、休職になった原因をしっかり考えましょう。精神面の不調の場合は特に、在籍しているほかの社員に迷惑をかけてしまいます。そのため無理して復職すると、反感を買ってしまう例もあるわけです。会社はほかの社員のことも考えたうえで、休職者が復帰できるかを考えます。

通勤が可能かどうか

復職できると判断されていよいよ通勤が始まると、電車に乗るだけで気分が悪化する人も多いです。そのため通勤能力の有無を確認されます。復職する前に、復職したときの生活をイメージしておきましょう。通勤時と同じ時間に起きて、同じ道を使って通勤すれば、自分自身も今の状況を正確に見極められます。そのときのシミュレーション結果は、会社側の判断材料になります。
産業医にどんな役割があって、どんな仕事をしているのかよく分からない人も多いのではないでしょうか。以下のコラムでは、産業医の仕事内容や医師との違いを解説しているので、合わせてご覧ください。

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産業医の面談は拒否できるのか

産業医

産業医面談の実施は絶対するものではない

産業医面談は労働者本人の申し出によって行うので、法的な強制力があるわけではありません。労働者が産業医面談を希望していないのに、会社が無理に受けさせることは不可能です。しかし労働者の健康維持を考えている会社なら、健康に影響があると判断した労働者をそのままにするわけにもいきません。生産性の低下に繋がるだけではなく、労働者の休職や退職となる可能性もあり、健康経営の実施が困難になります。労働者のためにも会社のためにも、健康リスクがあると判断された場合は産業医面談を受けるのがいいでしょう。

会社に産業医面談を拒否する理由を確認される

たとえば仕事が忙しすぎて面談を受けている暇がなかったり、医師に対して苦手意識を持っていたりして産業医面談を受けたくない人もいるのではないでしょうか。子どものときのトラウマや理不尽に怒られた経験など、さまざまな理由で医師に対して苦手意識を持つ人は多いです。しかし産業医面談を断ると、会社からどうして受けないのか尋ねられることがあります。会社側には、労働者に産業医面談を受けてもらう義務があるからです。

医師に対して苦手意識がある人が多ければ、日常的に産業医の役割や人柄を周知するなどして、会社側が対策をする例があります。健康リスクを周囲に知られたくないときは、産業医の守秘義務を解説してもらえたり会社以外の医療機関を受診したりするなど、ほかの対処法もあるわけです。

会社には面談を受けさせる義務がある

先ほど少しお伝えしましたが、労働者側は拒否できるものの、会社側には義務付けられているのが産業医面談です。強制力はなくても、法律が関わる制度だということになります。また労働者には自己保険義務といって、自分の健康状態を管理して安全に働けるよう協力する義務があるわけです。会社がきちんと労働者の安全に配慮しているかどうか見極めるためにも、産業医面談が必須になります。会社と労働者は、お互い気持ち良く働くために協力し合う関係なのです。

産業医面談を受けるメリットを知っておこう

労働者の中には、産業医面談の意図を理解していない人も多いのではないでしょうか。会社が労働者に対して行っている取り組みには必ず意味があるので、まずはそれを理解する必要があります。たとえば、面談を受けたことがきっかけとなり病気の発見に繋がる可能性があります。精神面の不調に関しては、健康診断では発見しにくいので注意してください。心身ともに初期の頃に感じた違和感を見て見ぬふりしてしまうと、大きな病気に繋がり退職せざるを得なくなることもあります。心身の不調に気づくきっかけとして、産業医面談は大切なことです。

産業医は健康経営の増進に必要不可欠である

産業医

社会全体的にヘルスリテラシーが向上している

健康経営優良法人に認定される企業は増えつつあります。健康経営では、仕事の作業効率や会社のイメージの向上を図るには、労働者の健康を維持することが大切だと考えます。このように聞くと、本当に労働者の健康のことを考えてくれるのか疑わしく思う人もいることでしょう。

しかしユニークな福利厚生を取り入れて、労働者が活用している事例も多くあります。たとえばある会社では、社員食堂で料理のカテゴリーごとに値段をつけて、食生活の改善を図っています。揚げ物のように身体に悪いと言われる料理は値上げをし、魚のように身体に良い料理は値下げをするわけです。健康経営の取り組みは、業務内容に関することばかりではありません。
以下では、このようなユニークな取り組み事例を紹介していますので、合わせてご確認ください。

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楽しく健康経営を行うために考えられたユニークな制度


ホワイト企業という言葉が注目されるようになったり健康経営優良法人に6,204もの法人が選出されたりと、社会全体でヘルスリテラシーが向上している傾向です。以下のコラムでは、健康経営優良法人に認定されるための各必須項目を紹介しているので、合わせてご確認ください。

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100年生きることを前提として健康経営を行う

一昔前までは、定年を迎えた後は病気やその他の原因で亡くなる方が多かった時代でした。ところが現在は人生100年時代と言われている通り、100年生きる可能性があるわけです。人生が100年あると考えれば、働いているときの健康にまで気を配ることが、いかに大切か分かります。

また少子高齢化社会において、労働者を大切にすることが特に重要です。会社が優良な健康経営に取り組むということは、若い労働者の休職や離職を防ぐことに繋がります。人手不足が解消されるわけなので、結果的に一緒に働いている労働者のためにもなります。「健康経営はよく分からない。」「会社が労働者の健康を考えるなんて、あまり信用できなくて胡散臭い。」と感じる人もいることでしょう。しかし意味を理解すれば、会社・労働者共にメリットのある取り組みなのです。産業医は健康経営を行う会社で大切な役割を担っています。

健康経営のメリットとは

医師 労働者の立場では、なかなか会社にどのようなメリットがあるのか想像できません。ここでは、会社が労働者の健康管理をすることで得られるメリットを紹介します。主要な会社のメリットは主に4つです。
  • 労働生産性の向上が図れること
  • 医療費が削減されること
  • 会社のイメージが社会的に向上すること
体調不良の労働者が多い会社と、活き活きと働く労働者の多い会社では、後者の方が生産性を向上させるのは言うまでもありません。健康経営を行って労働者の健康状態が維持されると、労働者の休業率や離職率の低下に繋がります。すると常に欠勤者のフォローに回ったり休職者が戻って来るのかどうか心配になったりするということがないので、会社で働く労働者にとってもメリットだといえます。

労働者の体調不良が増加すると、病院を受診する労働者が多くなるので、会社が負担する治療費が増加するわけです。健康経営を取り入れれば医療費の削減に繋がるので、削減できた費用は他のことに使えます。

経済産業省が運営している健康経営優良法人に認定されることで、戦略的に労働者の健康問題に取り組んでいる会社だと、社会的な評価の向上が期待できます。社内外に認定されたことを公表すれば、休職者からの評価が向上して人材の確保に繋がるのです。株主や取引先からの評価が向上すれば、いずれ株価の上昇が見込めます。

まとめ

産業医面談について解説しました。普段医師と話す機会が少ない人は、会社の産業となるとさらに話すことが分からなくなるかもしれません。しかし体調面で気になることがあれば、気軽に話していいわけです。休職していると気持ちが焦ってしまい、早く復職したくなるかもしれません。しかし慎重に行動して、同じことを繰り返さないようにするのが大切です。
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