- 健康経営
- 2021.04.09 (最終更新日:2022.04.06)
ワークエンゲージメントとは。言葉の意味や高めるメリット
ワークエンゲージメントとは
ワークエンゲージメントの意味
仕事が充実していたりポジティブな感情を持てたりする心理状態のことを、ワークエンゲージメントといいます。エンゲージメントには思い入れや愛着心という意味があるので、「ワークエンゲージメントが高まっている状態」とは従業員が会社に対してそのような感情を持っており、メンタル面の健康状態を維持しながら働ける状態のことです。3つの要素から成り立っている
ワークエンゲージメントは、「活力」「没頭」「熱意」からなる3つの要素が満ち足りている心理状態です。どのような心理状態なのか、それぞれ見ていきます。活力とは、仕事にかける努力を惜しまない気持ちや、メンタル的な回復力、厳しい状況に対峙したときの根気強さのことです。没頭とは、仕事に集中しているときの幸福感や、時間の経過が早い感覚などをいいます。熱意とは、仕事に誇りを持ってやる意味を見つけ出し、新たなことに挑戦したいとの意欲を感じている状態です。世界共通の傾向と国民性が出る傾向
ワークエンゲージメントには、世界で共通していることと、国民性が出ることがあるのです。年齢が上がって仕事の経験が豊富になるほどワークエンゲージメントが高まることや、仕事仲間が持っている仕事への意欲が他人に伝染しやすいことが、世界共通の傾向にあります。自分に厳しく自己批判の傾向が強い日本人は、ワークエンゲージメントが低くなりがちです。これに対して欧米人は自分の評価が高く自己批判の傾向も無いため、仕事へのモチベーションも上がります。自分を厳しく評価する日本人の中にワークエンゲージメントを高く見せる人はあまりいないので、実際には高い人がいたとしても得点が低い結果になるのです。
対照的な言葉は「バーンアウト」である
バーンアウトという言葉は、ワークエンゲージメントとは対照的な言葉です。「燃え尽き症候群」との言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。仕事に熱中して会社へ忠実に尽くしたけれど、満足のいく結果が伴わなかったので、大きく失望したときにバーンアウトが起こりやすいです。今まで溜めてきた疲れや不満が爆発して、無気力になり社会活動を止めることもあります。「ワーカホリズム」との違いとは
ワークエンゲージメントと迷いやすい言葉に「ワーカホリズム」があります。2つの言葉の違いを分ける点は、仕事に対して持つ感情です。ワーカホリズムの人は、活動水準は高いものの仕事に対して「働かなければならない」と考えています。仕事にポジティブな感情を持っているのがワークエンゲージメントで、仕事を否定的に捉えているのがワーカホリズムなのです。つまり仕事を進んでやっているのか、本当はしたくないのにやらされている感覚なのかの違いだと言えます。モチベーションとは
「モチベーション」もワークエンゲージメントと同じく、やる気の指標になります。モチベーションは、何かを始めるときにそれを実行するさいの意欲に繋がるもの、つまりきっかけや動機のことです。動機には行動を引き起こす2つの要素があり、動因と誘因から成り立っていると言われています。上手にモチベーションを維持できれば、自主的に取り組むことへのエネルギーになるとの考え方があるのです。ワークエンゲージメントを高めるメリットとは
組織力が高まること
ワークエンゲージメントが高まると、自分が持っている全てのスキルを活かして仕事に全力で取り組めるようになります。パフォーマンスが向上するので、生産性や業績の向上に繋がるのです。仕事に対して自信が持てるようになると自分の能力を最大限に引き出すため、恐怖心を抱くことなく課題に挑戦します。新たな課題に挑戦し続ければ可能性が広がり、積極的に行動するようになるのです。会社にこのような従業員が増えれば、今までは達成できなかった難しい課題の達成も近づきます。組織自体の可能性も広がるので、活き活きとした組織になるのです。人材育成に有利になること
仕事仲間が活き活きと働く姿には、良い刺激を受けます。仕事仲間から良い刺激を受けることも、ワークエンゲージメントを高めることに繋がるのです。刺激は別の刺激となり、やがて会社という組織全体へ連鎖していきます。ワークエンゲージメントを高めた従業員の多い会社は、やる気を持った人材が育ちやすい環境になるのです。メンタルヘルス対策に繋がること
お伝えした通り仕事に関心を持ち熱中している状態が、ワークエンゲージメントが高まった状態です。誰でもやらされている感覚を持って仕事をするよりは、積極的に楽しんで仕事をしたいと思いますよね。ポジティブな感情を持って仕事をすると、課題が発生したとしてもポジティブな気持ちで解決へ繋げられます。ネガティブな気持ちを持って対応した人より、ストレスを感じる度合いが減るのです。近年、従業員のメンタルヘルス対策に重きを置かれるようになってきました。しかしまだまだ表面上の対策だと感じる人も多いのが、現状です。強くストレスを感じている人を早期に発見して対策を取ることも大事ですが、これでは会社にストレスを感じる人がいることを踏まえた対策になります。このような対策と同時に、心の健康を維持する根本的な対策を取り、ストレスに強くなることも大事だと思うのです。ワークエンゲージメントが高まれば、積極的に集中して仕事に取り組むことになるので、明るくポジティブな気持ちに繋がります。
当コラムではストレスチェックについての情報を発信しています。以下のコラムも合わせてご覧ください。
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ストレスチェックは意味がないのか。そう感じる理由や不安について
顧客満足度の上昇に繋がること
ワークエンゲージメントが高まることによってメリットがあるのは、従業員や会社だけではありません。たとえば営業に来た人が、自信を持って活き活きと自社の商品を説明していたら、その人から商品を購入したいと思いませんか。自信を持った人が営業すると、その人個人だけに限らず会社を信頼できるので、安心感を抱きます。質が高く感動できる商品を作るのは、熱心さと強いこだわりを持った職人です。ワークエンゲージメントが高まると仕事に対して熱心になるので、顧客満足度の上昇にも繋がります。仕事にやる気が出ないときの対策とは
何が原因で仕事にやる気が出ないのかを考えましょう。
働く目的や意味を失った
新入社員の頃は仕事や働く自分に対して目的や将来像を持っているなど、希望のようなものがあったことでしょう。「さまざまな商品を企画して困っている人の役に立ちたい」や「たくさんの技術を身につけて会社の役に立ちたい」かもしれません。しかし長期的に仕事を続けているうちに、理不尽な場面に直面したり仕事仲間と合わなかったりして、モチベーションが低下することがあるのです。社会人になったら正社員で働くものだと考え、仕事をするうえでの目標や計画を立てずに就職活動をした人は、仕事への意欲を失う傾向にあります。合わない仕事をしている
どれだけ性格が良く高いスキルを持ち合わせている人でも、合わない仕事というものがあるのです。経験やスキルを思い通りに発揮できない仕事内容では、ミスを引き起こしストレスに繋がります。合わない仕事を無理して続けると、モチベーションの低下に繋がるのです。仕事で達成感が得られない
同じ仕事を長期的に続けるとスキルが身に付き、始めの頃と比較して作業効率が上がることもあります。1年前は大変な作業だと感じていた仕事でも、ミスがなくなったり短時間でこなしたりすることが可能になるのです。仕事に慣れれば慣れるほど作業で得られる達成感が減ってしまうので、毎日「なんとなくこなす作業」になります。新入社員の頃は要領よく仕事ができるようになれば上達していきますが、仕事に慣れると上達を感じる場面が減るのです。その結果流れ作業的に仕事をこなすことになり、ルーチン化した仕事に対してやる気を感じられなくなります。季節によるもの
仕事にやる気が出ない原因には、季節的なものもあるのです。とくに4月の環境が変わるときや長い休みが明けて休み気分が取れないときに、起こりがちだと言われています。また、梅雨の時期は体調不良になる人も多く、5月に続いてやる気が低下する人が多いのです。休みにくく疲れが取れない
働いていると大変な内容や量が多い仕事をこなすため、長時間労働をすることがあります。近年は慢性的な人手不足により、長時間労働が問題となっている業種が多いです。休日出勤や終電で帰ることが常習化すると、疲労が蓄積しメンタル的にも悪影響を及ぼします。無理をして長時間労働をし続けると、病気になる可能性もあるのです。長時間労働は改善されつつあるものの、まだまだサービス残業が横行していますし、ブラック企業もあります。仕事の効率が悪い
働いていると、「この業務は、もう少しこうすれば良くなりそうなのに」と感じることがあるのではないでしょうか。仕事に慣れてくると、始めの頃には見えなかった視点で業務を見ることが可能になります。最近はいろいろな場面でアナログからデジタルに変化しているので入力作業も手作業が減りつつあり、生産性の向上が図れるようになったのです。従業員が効率の良い仕事のやり方を考えついたとしても、昔からこのやり方でやってきたからと、アナログなやり方を変えようとしない会社もあります。効率の良い方法を思いついても反映されなかったり今までのやり方を変えなかったりする場合、モチベーションの低下に繋がるのです。通勤時間が長い
会社の場所によって、通勤時間は大きく異なります。10分程度自転車に乗れば行ける人もいますし、2時間ほどかかる人もいるでしょう。通勤ラッシュに巻き込まれたり複数の交通機関を乗り継いだりする必要がある場合、通勤時間はストレスになります。始めの頃は仕事や会社に希望を持っており、多少通勤時間が長くてもストレスを感じにくいです。ところが仕事に慣れるとモチベーションが低下するので、長い通勤時間が辛くなります。通勤時間が苦痛なため、会社に行きたくないと感じる人は多いのです。やる気が出ないときの対策
仕事は意欲的に楽しんでやっている人ばかりではないですから、やる気が出ないときもあります。ここでは、やる気が出ないときの対策を考えましょう。
効率よく作業ができないか考えること
今の仕事を効率化することで、ワークエンゲージメントの向上に繋がるかもしれません。今はペーパーレス化ツールやコミュニケーションツールなど、仕事の効率化を図れるツールが豊富です。口頭や紙でやりとりすると、情報を手早く処理できません。このような時にチャットツールのグループ機能を使えば、瞬間的にたくさんの人とやり取りができますし、やり取りした内容を記録しておくことも可能です。仕事のミスも少なくなるので、質の高い仕事ができます。積極的に人と話すこと
1人で黙々と仕事をしていると、考え込むことになりやすいです。そんなときは定期的に人と話す時間を作って、気分転換をしてください。仕事仲間と仕事の話をするだけではなく、プライベートの話題でもいいのです。仕事仲間と話をすれば、ストレス解消に繋がる以外に、悩みを解決する手段が見つかることもあります。相手が家族や友人でも、仕事の話をすれば溜め込んだ不安が解消されるかもしれません。普段は人に言えない内容でも、親しい間柄の人に話せば、モヤモヤした気持ちが晴れることに繋がります。短い時間で集中すること
今の会社で長期的に同じ作業をすることを思えば、将来的に不安になってモチベーションが低下することがあります。繰り返しの作業を我慢しながら続けるのは、仕事の意味を見つけられない状態を続けるわけですから、ストレスが溜まるのです。こんなときには、自分で短い時間を決めて集中する方法があります。「とりあえず3日続ける」でも「1ヵ月は頑張る」でもいいのです。決めた期間は仕事に集中することで、モチベーション向上のきっかけに繋がります。終了する時期を定めるということは、同じ仕事を永遠に続けるという不安を払拭することにもなるのです。ワークエンゲージメントと健康経営の関係
健康経営という言葉をご存知でしょうか。健康経営では従業員の健康課題は会社を経営するうえでの戦略の一環と捉えて、取り組みます。会社が健康経営に取り組めば、会社と従業員の両方にメリットがあるのです。従業員は働きながら健康維持ができますし、会社は健康的な従業員が増えることで離職率の低下や生産性の向上に繋がります。
アンケートやストレスチェックへの回答に手間がかかったりデータ収集や情報管理にコストがかかったりするのが、健康経営のデメリットです。デメリットがあるため健康経営が必要な会社だからと、すぐに始められるものではありません。
また、ほかの会社の真似をするのではなく自社の課題を見極めて取り組む必要がありますが、上手に運営できれば双方にメリットがあるのです。従業員が積極的に働きたくなる充実した環境を会社が作れば、ワークエンゲージメントの向上にも健康経営にも繋がるのです。
アンケートやストレスチェックへの回答に手間がかかったりデータ収集や情報管理にコストがかかったりするのが、健康経営のデメリットです。デメリットがあるため健康経営が必要な会社だからと、すぐに始められるものではありません。
また、ほかの会社の真似をするのではなく自社の課題を見極めて取り組む必要がありますが、上手に運営できれば双方にメリットがあるのです。従業員が積極的に働きたくなる充実した環境を会社が作れば、ワークエンゲージメントの向上にも健康経営にも繋がるのです。
まとめ
ワークエンゲージメントについて解説しました。同じような言葉がたくさんあり、ややこしいと感じた人もいるのではないでしょうか。従業員が仕事に意欲を持って熱中できる状態のことなので、バーンアウトやワーカホリックなどとは意味が異なるのです。お伝えした通りワークエンゲージメントが高まれば、従業員にも会社にもメリットがあるだけに限らず、顧客満足度にも繋がります。会社が実施する取り組みに頼るのもいいですが、どうすれば自分が充実できるのかについて考えるのも、大事なのではないでしょうか。
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