• 働き方改革
  • 2021.04.16 (最終更新日:2022.04.06)

SDGsをわかりやすく解説。個人も他人事ではない理由とは。

目次

SDGsとは。わかりやすく解説

世界 SDGsのことを知っていますか。名前を聞いたことがある程度で、内容までは分からない人も多いことでしょう。ここではSDGsという言葉の意味や、作られた理由、健康経営との関係性を見ていきます。

SDGsの意味とは

SDGsとは「Sustainable Development Goals」 の略で、持続可能な開発目標という意味があります。2015年の9月に、193か国が達成する目標として国連サミットで採択されました。全ての人の健康的な生活を確保することや、ジェンダー平等の実現などを合わせて17の大きな目標があります。17の目標にはそれぞれ細かくターゲットが設定されており、全て合わせると169個になるのです。日本の男女格差はG7内で最下位であったり貧困の子どもが多かったりするなど、日本も未達成の目標が多くあるといえます。

SDGsはなぜ作られたのか

持続可能な開発目標という説明だけでは、どういう内容なのか分からない人も多いことでしょう。SDGsは未来の世代の暮らしを守るために、今正しい選択をしようと考えて作られました。現在、著しい地球温暖化によって世界中に深刻な問題が発生しています。最近では、異常気象を体感している方も多いのではないでしょうか。地球温暖化が続けば、2030年から22年後には1.5℃も気温が上昇する、と言われています。地球温暖化によって、未来の世代が暮らしにくくなってしまうのです。またエネルギー資源を無計画に使い続ければ、いずれ奪い合わなければならない可能性もあるのです。未来の世代の暮らしを維持するためには、地球温暖化のことだけ考えればいいわけではありません。貧困のない世界を実現するためには、全ての人に健康と福祉が行きわたるようにする必要がありますし、人や国の不平等をなくすことも大切です。

SDGsと健康経営の関係性とは

健康経営は経済産業省が推進しています。社員の健康問題に会社が取り組むことは経営戦略の一環であり、社員側も会社側もメリットが得られるという考えです。SDGsと健康経営には、深い関りがあります。会社が健康経営を行うことで、SDGsで掲げている17の目標のうち「全ての人の健康と福祉の確保」に直接繋がるからです。社員がワークライフバランスを実現できる環境作りを行えば、「働きがいのある人間らしい仕事の増進」に繋がります。

社員の健康問題に会社が取り組むと聞いただけでは、いまいち不信感がぬぐえない人もいるのではないでしょうか。社員が健康な状態だと仕事に集中できるので、パフォーマンスの向上に繋がります。仕事におけるパフォーマンスとは、仕事ぶりや成績などの意味があるのです。つまり体調不良の社員が減ってパフォーマンスが向上すると、結果的に会社自体の業績の向上に繋がるというわけですね。
健康経営にはほかにもメリットがありますので、以下のコラムも合わせてご覧ください。

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会社がSDGsに取り組むメリットとは

WinWin メリット

SDGsに取り組むメリット

会社は、SDGsに必ず取り組まなければならないわけではありません。取り組み内容によってはコストがかかるものもあります。それでもSDGsに取り組む会社が増えているのは、メリットがあるからです。SDGsで掲げている目標は、エネルギーの確保や貧困をなくすことなど、世界的な課題といえます。SDGsの問題に取り組めば、新たなビジネスの機会ができるわけです。SDGsは未来のことを考えた取り組みなので、参加することにより未来のことを考えた戦略になるでしょう。

世界共通の課題と言えるSDGsに参加すると、会社を運営するにあたって有益なものになります。会社がSDGsに取り組むと、ステークホルダーとの関係が良好になるのです。ステークホルダーとは利害関係者という意味で、顧客や社員のほかに取引先や株主なども含みます。つまり、会社が関わる多くの人との関係が良好になるというわけですね。SDGsに取り組まなければ、世界的な課題に関心を持たない会社だと思われる可能性があり、将来的に流通から外されることもあります。

会社がSDGsに取り組めば、イメージの向上に繋がるのです。世界的な課題に関心を持って取り組むことで、社会に対して責任を果たす会社だと認識されます。先進的な考えに積極的な姿勢を見せれば、先進的な考えを持つ人材を集められるのです。そのため雇用の視点から見ても、有利に運ぶと言えます。

最近では、ESGを考えた投資が広まっています。ESGとは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を取って作られた言葉です。世界的な環境問題や社会問題を解決するために、投資家の投資判断の基準を変えようとして提唱されました。お伝えした通りSDGsでは、環境問題を解決するための目標も掲げています。ESG投資と会社の長期的な成長は関係が深いので、会社がSDGsに取り組めば、ESG投資にも有利になるのです。

SDGsに取り組むさいに注意すること

世界的にも会社で働く社員にもメリットのあるSDGsですが、なぜすぐに取り組まない会社があるのでしょうか。ここでは、取り組む際に注意することを確認しましょう。会社の経営理念とSDGsの目標に違いがあれば、その歪みは徐々に目立ってきます。経営理念とSDGsの間にギャップができないように、戦略を練る必要があるのです。

1つの課題を解決するにあたり、新たな課題が発生することも防がなければなりません。身近なところで例を挙げれば、家庭を持つ会社員を優先して休ませるようにすると、家庭を持たない社員の負担が増えてしまうようなことです。特定の層の貧困をなくすために別の層へ重税を課すと、別の層が貧困になる例もあります。このことをトレードオフといいますが、分かりにくい例もありますので、さまざまな視点から考える必要があるのです。

SDGsの取り組みが表面的なものにならないよう、気をつける必要もあります。たとえば、環境に配慮した経営をしていると言いながら、社員が悪い職場環境で働いているようなことです。社会は表面的な提唱に敏感な傾向にあるので、せっかく目標を掲げても中身が伴わなければ、悪いイメージになります。

SDGsは社内全体で取り組むものですから、会社が提唱すれば社員も他人事ではありません。現場で働いている場合も、経営層の考えを理解するためにコミュニケーションが大切です。投資家向けにSDGsの情報発信をする会社がありますが、自社の社員の理解が進んでいないこともよくあります。SDGsをきっかけに会社へ良い変化をもたらすためにも、社員の共感を得ることが必要不可欠です。

SDGsの達成状況とは

日本 日本はSDGsをどれぐらい達成しているのでしょうか。実際のレポートを見ながら、確認しましょう。

日本の達成状況

2020年の日本の達成状況は、166ヶ国の中で17位でした。以下のレポートをご覧ください。国ごとに赤や黄などの色付きで、17の課題のイラストが描かれています。目標達成したものは緑、課題が残っているのは黄色、重要な課題が残っているのがオレンジ、主要な課題が残っているのは赤という意味があります。日本は280ページ目ですが、これを見ると「ジェンダー平等の実現」「気候変動の具体的な対策」「海の豊かさを守る」などが主要な課題として残っていることが分かるのです。表の下には矢印がありますが、オレンジの矢印は停滞している目標を意味しており、黄色の矢印は適度に改善している矢印を意味しています。主要な課題については適度に改善している課題があるものの、ほとんどは停滞していることが分かるのです。

今後は達成できている目標の現状を維持しつつ、達成していない目標に取り組む必要があります。政府や自治体、会社だけに限らず、個人の意識変革も大切なことです。

参照:外部リンク
SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2020

個人でできる取り組みとは

SDGsは世界的な課題のため、個人には直接関係がないように感じてしまうかもしれません。1人の人間が行動を起こしたからといって、すぐに状況が変わるものではありませんよね。とはいうものの、たくさんの人がSDGsのことを意識して行動を起こせば、国や社会を変えるきっかけに繋がるのではないでしょうか。ここでは、会社でも可能な取り組みを紹介します。

エアコンの設定温度に注意することは、環境への配慮に繋がるのです。エアコンは設定温度で消費電力が変動するので、冬は低く夏は高く設定するのがポイントになります。フィルターにゴミがたまった状態でエアコンを動かすと、ファンに余計な負担がかかって電気代が上昇するのです。2週間に1回の頻度でエアコンを掃除すると、電気代の節約にも繋がります。忘れがちなのが室外機です。室外機が温まる環境に置かれている場合、エアコン稼働に悪影響を及ぼします。すだれで日陰を作るなどして、室外機を熱から守ってください。

職場での差別に声を上げることで、17の課題の1つ、ジェンダー平等の実現に近づくこともできます。SDGsでは、全ての人々がどんな差別をも受けてはならないとしているのです。つまり出身地の違いや家庭の有無、身体能力の差などどんな違いがあれども、全ての人と平等に接することが望ましいと言えます。自分にとっては当たり前でも、相手にとっては困難なこともあるのです。ほかの人の差別的な発言に気を配ることはもちろんですが、自分の発言が差別に繋がらないかどうかも、考えるようにしてください。

会社によるSDGsの取り組み事例

省エネ ここでは、会社が行っているSDGsの取り組み事例を紹介いたします。

省エネに関する取り組み

10年以上前から使っていた空調機やLED照明を改修し、およそ80%の省エネ達成を目指す会社があります。空調機を常に使い続ける必要がある事業者にとって、電気代は毎月かかるコストなのです。現在販売されている空調機の多くは、省エネを意識した設計になっています。電気製品は改修の工事にもコストがかかるため、なかなか重い腰が上がらない事業者もいることでしょう。しかし古い空調機を改修するだけで、電気代の削減に繋がるのです。また同社では今まで主要なエネルギーはガスを使用していましたが、電気が使えるシステムへ変更したことにより、低酸素化を図っています。大規模な施設に採用することによって、大幅なCO2の削減になったのです。

地球温暖化の進行によって空調への負担が大きくなったことに配慮し、建物を熱から守る取り組みを実施しています。遮熱シートを施行することによって、部屋の温度を維持し空調の負荷を減らしたのです。倉庫や工場へは、空調機を設置できないことがあります。そんなときにはスポットクーラーを用いるなど、場所によって臨機応変に対応しているのです。

防災に関する取り組み

洪水や氾濫を予測するシステムを作っている会社があります。この会社には河川の洪水予測をリアルタイムで行えるシステムがあるのです。降雨予測情報をオンラインで入力し、水位予測計算は10分間隔で行います。同社が扱う氾濫予測システムでは、河川の氾濫リスクが高い地域を強調して表示するのです。また、防災について学べるように防災・減災の教育用教材を作成しています。ゲームで楽しみながら勉強できるものとなっており、自然に自信や津波などの知識が得られるのです。災害時には、これらのシステムが活躍することが期待できます。

不平等をなくす取り組み

性別や人種、障害の有無に限らず、全ての人が利用しやすいサービスや環境を作るため、ユニバーサル・デザインの知識を強化している会社があります。ユニバーサルデザインの身近な例として挙げられるのは、幅広く作った駅の改札です。駅の改札が狭ければ、車椅子を利用している方や荷物の多い旅行者が利用できません。改札を幅広く作ることで、どんな人でも通りやすくするのです。この会社ではユニバーサルデザインの知識を広く把握するため、関連した資格を持った社員が6名在籍しています。必要な情報が必要な人へ、少しでも多く届くように日々試行錯誤しているのです。

SDGsと深い関係のある健康経営について

健康経営 当コラムでは健康経営について情報発信しています。お伝えした通り会社が健康経営に取り組めば、SDGsの目標と直接繋がるのです。また、健康経営について学べば、就職先を選択するときの1つの目安になります。ここでは、健康経営について理解を深められるコラムを紹介しました。健康経営の顕彰制度について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

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2021年最新の健康経営優良法人の情報については、以下をご覧ください。

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まとめ

SDGsの意味や内容、会社の取り組み事例などを紹介しました。世界や会社が取り組むものですが、私たち個人が意識を変えることも大切なのです。あなたが当たり前だと考えている価値観が、未来の足を引っ張る原因になっているかもしれません。日常生活を振り返り、環境問題を引き起こす生活をしていないか、誰かを傷つけるような発言をしていないか、考えてみてはいかがでしょうか。
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